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────3話*俺のものだから
18・塩田と電車と鼻血
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****♡Side・電車《でんま》
──えええええええ!
電車は悶絶していた。
「はい、ティッシュ」
呆れ顔の塩田にティッシュを渡され、鼻血を拭く。
「なんで鼻血出すんだよ」
「いや、こんなの見せられたら鼻血出るよ?」
「ほーう」
目の前には、スケスケピンクおパンティを履いた塩田。鼻血出さない方がおかしい。
「じゃあ、首相のバックプリントにする?」
「ダメ! ダメダメダメ!」
──これは食い破りたくなる気持ちも分からないでもない。
以前ホテルの入口で出逢った兄弟のことを思い出し、電車はそんな風に思った。部屋にはムードを出そうとお洒落な曲が流れている。
小さめな音量でかかっているのは”Something In Common”。程よいリズムで気持ちを盛り上げてくれていたのだが、鼻血を出していてはそれどころではない。
「大丈夫か?」
「ん」
片手で鼻を抑えながら、彼の髪に触れる。彼は気持ちよさそうに目を閉じた。まるでネコみたいだなと思いながら、そのまま耳たぶを弄る。
「ねえ、俺の為?」
「勝負パンツだ」
彼は電車の問いに、どや顔をした。また雑誌の受け売りかと少しがっかりしていると、
「嘘、お前が好きそうだから」
といって首に腕を巻きつけて来る。肌がふれあい、電車は更に鼻血を吹き出しそうになった。
──ちょっと、刺激が強すぎますよ。嬉しいけどね。
「なあ。鼻血止まった? 早くいちゃいちゃしよう、紀夫」
「ん、更に出そう」
「そんな出してどうしたいんだよ」
「いや、待って。どうしたいとかでは……」
抱きつく彼が電車の首筋に、ちゅっと口づけ誘惑する。
「早くあんあん言わせろよ」
「言ったことないじゃんよ!」
「の・り・お。早く」
──わざとだ。もー、悪戯好きなんだから。
「塩田」
「なんだ」
「大好きだよ」
電車がニコッと微笑むと、彼はすごく嬉しそうな顔をした。彼は電車の笑顔がとても好きらしい。自分がどんな顔で彼を見ているのか分からないが、塩田が幸せそうな表情をする、この瞬間は宝物だ。
彼は、
「俺も」
といってキスを強請る。電車は強請られるまま、彼に口づけた。
「ねえ、ずっと一緒にいようね」
電車が彼をぎゅっと抱きしめてそう言葉を発すると、彼は一瞬切なげに眉を寄せる。その表情にドキリとした。
電車は知らなかったのだ。
元彼女が社長の娘であり、別れることに不満を抱いていることを。
塩田がそのことに気づいていることに。
「塩田? 嫌なの?」
電車が不安そうに問うと、彼はぎゅっと抱きしめ返し、
「お前は誰にもやらねえよ」
と呟いた。
──えええええええ!
電車は悶絶していた。
「はい、ティッシュ」
呆れ顔の塩田にティッシュを渡され、鼻血を拭く。
「なんで鼻血出すんだよ」
「いや、こんなの見せられたら鼻血出るよ?」
「ほーう」
目の前には、スケスケピンクおパンティを履いた塩田。鼻血出さない方がおかしい。
「じゃあ、首相のバックプリントにする?」
「ダメ! ダメダメダメ!」
──これは食い破りたくなる気持ちも分からないでもない。
以前ホテルの入口で出逢った兄弟のことを思い出し、電車はそんな風に思った。部屋にはムードを出そうとお洒落な曲が流れている。
小さめな音量でかかっているのは”Something In Common”。程よいリズムで気持ちを盛り上げてくれていたのだが、鼻血を出していてはそれどころではない。
「大丈夫か?」
「ん」
片手で鼻を抑えながら、彼の髪に触れる。彼は気持ちよさそうに目を閉じた。まるでネコみたいだなと思いながら、そのまま耳たぶを弄る。
「ねえ、俺の為?」
「勝負パンツだ」
彼は電車の問いに、どや顔をした。また雑誌の受け売りかと少しがっかりしていると、
「嘘、お前が好きそうだから」
といって首に腕を巻きつけて来る。肌がふれあい、電車は更に鼻血を吹き出しそうになった。
──ちょっと、刺激が強すぎますよ。嬉しいけどね。
「なあ。鼻血止まった? 早くいちゃいちゃしよう、紀夫」
「ん、更に出そう」
「そんな出してどうしたいんだよ」
「いや、待って。どうしたいとかでは……」
抱きつく彼が電車の首筋に、ちゅっと口づけ誘惑する。
「早くあんあん言わせろよ」
「言ったことないじゃんよ!」
「の・り・お。早く」
──わざとだ。もー、悪戯好きなんだから。
「塩田」
「なんだ」
「大好きだよ」
電車がニコッと微笑むと、彼はすごく嬉しそうな顔をした。彼は電車の笑顔がとても好きらしい。自分がどんな顔で彼を見ているのか分からないが、塩田が幸せそうな表情をする、この瞬間は宝物だ。
彼は、
「俺も」
といってキスを強請る。電車は強請られるまま、彼に口づけた。
「ねえ、ずっと一緒にいようね」
電車が彼をぎゅっと抱きしめてそう言葉を発すると、彼は一瞬切なげに眉を寄せる。その表情にドキリとした。
電車は知らなかったのだ。
元彼女が社長の娘であり、別れることに不満を抱いていることを。
塩田がそのことに気づいていることに。
「塩田? 嫌なの?」
電車が不安そうに問うと、彼はぎゅっと抱きしめ返し、
「お前は誰にもやらねえよ」
と呟いた。
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