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────0話*出会いと恋
21・特別とは何か?【微R】
しおりを挟む****side■塩田
まさか自分の直属の上司にこんなことをされるとは思っていなかった。
彼はいつだって優しくて、仕事のできる男という印象だった。彼に性的なことを感じたことはなかったし、こんなことをする人だとは想像もしていなかったのだ。
唯野修二。苦情係の課長。
元後輩にあたる皇副社長からも信頼が厚く、同僚の板井は陰で忠犬とさえ呼ばれている。それほどまでに信頼を得ている人なのだ。
そんな彼が何故こんなことを自分にしようとするのか?
全く理解が出来ない。
彼には妻子がいる。仕事が忙しくて欲求不満なのだろうか?
それを部下で発散しようと思っているなら、これはセクハラであり……強制猥褻だ。彼は現状を理解しているのか?
「ん……」
「何でそんな泣きそうな顔するんだよ。お前が選んだんだぞ」
唯野は塩田を拉致した奴らからは助けてくれた、確かに。
しかしその代わりに抱かせろと言われたのである。
アイツらか自分かの、どちらかを選べと。
──選んだ?
これは脅迫だ。
「ほら、聞いてみろよ。凄い卑猥な音がする」
後ろから抱き締められ、蕾にジェルと指が挿入される。唯野はくちゅくちゅと蕾に指を出し入れしつつ、そこを覗き込む。
「塩田、ホントエロい。電車とはやりまくってるのか?」
「何言って……」
胸を撫でられ、ぎゅっと目を閉じる。ゆっくりと解されてゆく。それはまるで絶望へのカウントダウン。
「声出してもいいぞ」
「断る」
胸の突起をクニクニと弄られ、身を捩る。
──今更、分かった。
特別が何かってコト。
「はあッ……」
指を抜かれ、反転された。正常位で入れるつもりらしい。塩田を恐怖心が襲う。
「力抜けよ」
──怖い。
もう遅いんだ。
こんな……。
唯野自身を蕾にあてがわれ、涙が伝う。
「泣くなよ、苛めたくなるだろ?」
「やめ……」
「電車なんかよりずっと、良いって言わせてやるよ」
「イヤだ……いやッ……」
本気で胸を押し返そうとするが、びくともしない。
「往生際悪いな……痛ッ!」
「塩田!」
「電車?」
「塩田が嫌がってるだろ! やめろよっ」
もうダメだと目を閉じ横を向いていたら、一番会いたい人の声が聞こえた。恐る恐る目を開けると、ぐいっと腕を捕まれ抱き締められる。
「塩田、大丈夫?」
塩田は何も言わず、ただぎゅっと彼に抱きついた。
「何、すごく可愛いんだけど?」
「遅い」
「ごめん」
彼の背中を撫でる手が熱い。走って来たのかも知れない。
「なんだよ、やっぱりデキてるのか」
唯野の言葉に電車は困った顔をする。残念ながらまだ、恋人ではない。
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