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━2章【不器用な二人】━

0『ヤキモチ』

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 ****♡side・美崎

「はぁ……」

 鶴城に買って貰ったネコのペアマグカップはまるでラブラブの恋人たちを象徴しているかの様であるのに、美崎の心はどんよりと曇っていた。
 先ほどから、恋人である鶴城が誰かと電話口で不機嫌そうに話をしている。早く電話を切って自分に構って欲しい。

 相手なんて誰かはわかっている。
 最近何かと二人の仲を邪魔してくる、鶴城の同級生で来年は美崎の代わりに“風紀委員長”になる白石である。
 白石にはバレンタインに告白されたことがある。意思の強くはっきりとした信頼できる女子生徒であった。美崎は自分が鶴城を好きなこと、玉砕覚悟で告白することを話しお断りをした。
 彼女が二人の邪魔をするのは腹いせではない。

 そのバレンタイン時に鶴城は来るもの拒まずすべてチョコを受け取ったからである。あまりのモテっぷりと軽さに美崎はショックを受け、鶴城に渡す筈だったチョコを彼の目の前でゴミ箱に捨てた。
 幸か不幸かその事が鶴城に火をつけ、美崎に夢中にさせ最終的には強引に自分のものにしたのである。
 白石は許せないのだ。
 美崎を傷つけておきながらちゃっかり恋人の席に座る鶴城が。

「優也」
 イライラしながら電話を切った鶴城だったが、美崎を見るなり破顔する。嬉しいを通り越してデレッとしているのを見て彼がどれだけ自分に夢中なのか分かる。
「な、なんだよ」
 拗ねているのを悟られたくなくて目を逸らす。可愛くないな、自分。などと思いながら。
「好きだ」
 ぎゅっと鶴城に抱き締められて美崎は目を閉じる。鶴城のくれる温もりが好きだ。
 だが、相手は絶倫強引男。それだけで済むわけがない。
「ちょっ……やぁんッ」
 自分の声とは思えない声が出てしまい、欲情した鶴城に抱えられリビングを後にしたのだった。
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