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━2章【不器用な二人】━
1-1『君を想う時』【R】
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****♡side・美崎
「優也」
「あ…慎ッ…んッあああッ」
美崎は下から突き上げられて鶴城の首に腕を絡め、しがみつき甘い声をあげる。
「夢中になるなんて珍しいな、優也」
耳元にちゅぅッと口づけられ美崎はうっとりした。
どんなに悪態をつこうとも大好きな年下の彼に求められて嬉しくないわけが無い。
「まこと……んッ」
「可愛い」
──ねえ、もっと俺だけみて。
慎………。
好きなんだよ。
知ってるでしょ?
「優也、気持ちいい?」
「んっ」
鶴城は厭らしく美崎の脇腹から背中を撫で上げた。
美崎は合わせた肌から伝わる体温を感じ、とろんとした表情をして彼を見つめる。
「優也、愛してるよ」
「まことッ……もっと」
鶴城の舌が首筋を這う。その濡れた感触にブルッと身を揺らす。鶴城の右手の親指の腹が美崎の胸の飾りを転がし始めていた。
何度も何度も口づけを繰り返し、さらに欲情を煽る。情熱的な彼の愛撫が夢中にさせてくれる。
「イきたい?」
先ほどの時間を埋めるかのように、彼は優しく美崎に問いかけ願いを全て叶えようとした。
『夜はデートしよう? 優也』
先ほど囁かれた言葉を美崎は反芻する。
初めて身体の関係になった頃は、ただ無理矢理快楽を植えつけられ弄ばれているのではないかという不安ばかりが美崎の胸を占めていた。
だが最近は鶴城が少し変わり始めている。
不器用ながらも一所懸命、美崎のことを考えてくれるのだ。それがとても嬉しかった。
スピーカーからは二人の共通の先輩である圭一から”聴けよ”と渡された”Sugar”が流れている。なんだか甘い気分に浸りつつ彼に口づけた。
**・**
『鶴城、またコクられたらしいですよ。モテますね』
白石はなぜか鶴城のことを逐一報告をしてくる。そんなことを頼んだ覚えはないのに。
どんなつもりかは知らないが、その度不安に駈られた。
誰かに鶴城を奪われるかもしれない。
鶴城が嫌がらせに嫌気が差すかもしれない。
そう思うと美崎は不安でたまらなくなるのだ。
「ふぅ……んッ……んんッ」
自分には鶴城を繋ぎ止める術はこれしかない。理性を手放して彼を喜ばせるためによがって見せる。
しかし美崎の異変に気づかないほど彼は馬鹿ではなかった。
「あ……んんんッ」
甘ったるい声。鶴城が好きな……。
「優也、なんかあった?」
「なん……」
眉をハの字にして心配そうに鶴城は美崎を見つめる。
わざとらしかったのだろうか?
「そんな顔するなよ……優也。て、ちょっ……泣くなって」
泣くつもりなんてなかったのに。
「何があった?」
「慎がまた、告白されたって聞いて……」
鶴城は美崎の不安をぬぐい去ろうと口づけをくれる。
「んんッ」
「ちゃんとお断りしたよ? 恋人がいることもいったし」
髪を撫でる彼のその手が優しい。
「それだけじゃ不安?」
美崎は返答に困る。彼がモテるのは今に始まったことではないが、自分と付き合いだしてから彼は目に見えて変わったのか告白されることが増えた。美崎に対してはいつでも発情期の猿のようだったが、本来は真面目で頼りがいのある彼のことだ。当然かもしれない。
美崎がそんな風に一人悶々としていると想定外の言葉。
「優也、婚約しよう?」
彼からの唐突なプロポーズに美崎は固まる。
「え?」
──同棲を始めたばかりなのに。
つきあい始めたばかりなのに?
**・**
──ううーん……。
美崎には今、新しいミッションが課せられていた。
“鶴城 慎と婚約”という難題。
先日やっとおつき合いをOKしたばかりだというのに、なんとも急展開である。しかし何だかんだで美崎は“慎、一筋”と言うくらい、あの絶倫男にぞっこんであった。
彼には一目惚れ。しかし運の悪いことに他県の下級生だったので一度は諦めたものの翌年再会。
運命の出逢いと喜んだのもつかの間、彼には既に想い人がいた。
玉砕覚悟のバレンタイン。
彼がモテすぎていたため、“大勢の一人になりたくない”という想いから彼の目の前で渡そうとしていたチョコをゴミ箱へ捨てた。あれで彼が逆に自分に夢中になってしまったのだから、人生何が起きるのかわからない。
「優也、集中しないと後ろからするよ?」
「ッ! 嫌だ!」
美崎が考え事をしていることに気づいた彼が意地悪を言いながら下から突き上げる。彼にぎゅっとしがみつける対面騎乗位が美崎は好きだった。
「じゃあ、集中して」
「んッ」
美崎は鶴城の首に腕を回すと彼の筋肉質な体に胸を擦り付けた。
「んんんッ」
「擦れて気持ちい?」
頷けばぎゅっと抱きしめられる。
美崎はそっと目を閉じた。
──好きだけど、婚約は早いよ……。
まだ自分に全然自信がないのに。
「優也」
「あ…慎ッ…んッあああッ」
美崎は下から突き上げられて鶴城の首に腕を絡め、しがみつき甘い声をあげる。
「夢中になるなんて珍しいな、優也」
耳元にちゅぅッと口づけられ美崎はうっとりした。
どんなに悪態をつこうとも大好きな年下の彼に求められて嬉しくないわけが無い。
「まこと……んッ」
「可愛い」
──ねえ、もっと俺だけみて。
慎………。
好きなんだよ。
知ってるでしょ?
「優也、気持ちいい?」
「んっ」
鶴城は厭らしく美崎の脇腹から背中を撫で上げた。
美崎は合わせた肌から伝わる体温を感じ、とろんとした表情をして彼を見つめる。
「優也、愛してるよ」
「まことッ……もっと」
鶴城の舌が首筋を這う。その濡れた感触にブルッと身を揺らす。鶴城の右手の親指の腹が美崎の胸の飾りを転がし始めていた。
何度も何度も口づけを繰り返し、さらに欲情を煽る。情熱的な彼の愛撫が夢中にさせてくれる。
「イきたい?」
先ほどの時間を埋めるかのように、彼は優しく美崎に問いかけ願いを全て叶えようとした。
『夜はデートしよう? 優也』
先ほど囁かれた言葉を美崎は反芻する。
初めて身体の関係になった頃は、ただ無理矢理快楽を植えつけられ弄ばれているのではないかという不安ばかりが美崎の胸を占めていた。
だが最近は鶴城が少し変わり始めている。
不器用ながらも一所懸命、美崎のことを考えてくれるのだ。それがとても嬉しかった。
スピーカーからは二人の共通の先輩である圭一から”聴けよ”と渡された”Sugar”が流れている。なんだか甘い気分に浸りつつ彼に口づけた。
**・**
『鶴城、またコクられたらしいですよ。モテますね』
白石はなぜか鶴城のことを逐一報告をしてくる。そんなことを頼んだ覚えはないのに。
どんなつもりかは知らないが、その度不安に駈られた。
誰かに鶴城を奪われるかもしれない。
鶴城が嫌がらせに嫌気が差すかもしれない。
そう思うと美崎は不安でたまらなくなるのだ。
「ふぅ……んッ……んんッ」
自分には鶴城を繋ぎ止める術はこれしかない。理性を手放して彼を喜ばせるためによがって見せる。
しかし美崎の異変に気づかないほど彼は馬鹿ではなかった。
「あ……んんんッ」
甘ったるい声。鶴城が好きな……。
「優也、なんかあった?」
「なん……」
眉をハの字にして心配そうに鶴城は美崎を見つめる。
わざとらしかったのだろうか?
「そんな顔するなよ……優也。て、ちょっ……泣くなって」
泣くつもりなんてなかったのに。
「何があった?」
「慎がまた、告白されたって聞いて……」
鶴城は美崎の不安をぬぐい去ろうと口づけをくれる。
「んんッ」
「ちゃんとお断りしたよ? 恋人がいることもいったし」
髪を撫でる彼のその手が優しい。
「それだけじゃ不安?」
美崎は返答に困る。彼がモテるのは今に始まったことではないが、自分と付き合いだしてから彼は目に見えて変わったのか告白されることが増えた。美崎に対してはいつでも発情期の猿のようだったが、本来は真面目で頼りがいのある彼のことだ。当然かもしれない。
美崎がそんな風に一人悶々としていると想定外の言葉。
「優也、婚約しよう?」
彼からの唐突なプロポーズに美崎は固まる。
「え?」
──同棲を始めたばかりなのに。
つきあい始めたばかりなのに?
**・**
──ううーん……。
美崎には今、新しいミッションが課せられていた。
“鶴城 慎と婚約”という難題。
先日やっとおつき合いをOKしたばかりだというのに、なんとも急展開である。しかし何だかんだで美崎は“慎、一筋”と言うくらい、あの絶倫男にぞっこんであった。
彼には一目惚れ。しかし運の悪いことに他県の下級生だったので一度は諦めたものの翌年再会。
運命の出逢いと喜んだのもつかの間、彼には既に想い人がいた。
玉砕覚悟のバレンタイン。
彼がモテすぎていたため、“大勢の一人になりたくない”という想いから彼の目の前で渡そうとしていたチョコをゴミ箱へ捨てた。あれで彼が逆に自分に夢中になってしまったのだから、人生何が起きるのかわからない。
「優也、集中しないと後ろからするよ?」
「ッ! 嫌だ!」
美崎が考え事をしていることに気づいた彼が意地悪を言いながら下から突き上げる。彼にぎゅっとしがみつける対面騎乗位が美崎は好きだった。
「じゃあ、集中して」
「んッ」
美崎は鶴城の首に腕を回すと彼の筋肉質な体に胸を擦り付けた。
「んんんッ」
「擦れて気持ちい?」
頷けばぎゅっと抱きしめられる。
美崎はそっと目を閉じた。
──好きだけど、婚約は早いよ……。
まだ自分に全然自信がないのに。
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