R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日『happy endには程遠くても』【僕日サブキャラloveスト1】

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━1章【HAPPY ENDには程遠い】━

9-3 彼の欲しかったもの

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  ****♡side・美崎

 それは、翌日の放課後のことであった。学園内の見回りの任務を終え、鶴城と帰ろうと生徒会室に向かう。そもそも、いつもなら鶴城の方から迎えに来るはずなのに、何時まで経っても来ないので美崎の方から出向くこととなった。
 廊下に出ると、風紀委員室と生徒会室の間にふかふかの座り心地の良さそうな長椅子が置いてある。これは、鶴城が同じ中学出身の後輩である、片倉と霧島の為に用意したものであった。
 【片倉 葵】が入学早々クラスの男子共に輪姦されそうになり、その片倉と同じクラスである“黒川 彩都”から通報を受け、風紀委員会のメンバーで助けに行ったことがある。
 あの事件を知るものは一部であるが、心に傷を残した片倉は教室にいることを恐がって恋人である霧島といつもこの廊下でひっそりと空き時間を過ごしていた。そんな二人の為に鶴城が購入し、設置したものなのである。
 今は九月。つまり、あれから半年になる。
  
「鶴城」
 “白石と対抗しているようで嫌だから、学校では呼ばないぞ”と美崎が学校では下の名前で呼ぶのを拒否すると、鶴城は意外にも嬉しそうな顔をして“わかった”と答えた。
「あ、ごめん」
 鶴城はすぐに美崎に気づく。どうやら学園祭実行委員選出のプリント内容の最終チェックをしていたらしい。
「まだ、かかる?」
「いや、続きは明日やる」
 そういうと彼はプリント用紙に付箋をつけ、クリアファイルにしまう。
「迎えに来てもらっておいて申し訳ないが。優也、俺今日は行きたいところがあるから先に帰っててくれないか?」
 ファイルを引き出しにしまいながら鶴城はそう言った。
「は?」

 ──寄りたい所があるときは『寄っていい?』って言う鶴城が?!
  なんか、怪しい。

「俺に内緒でどこ行くんだよ」
「内緒になんてしてないし」
「浮気かぁ?」
 茶化すように言うと、鶴城は困った顔をする。
「そんなんじゃないって」
「なら、一緒に行く」
 美崎は絶対に譲らないとでも言うように鶴城を睨み付けた。
 彼は肩を竦める。
「そんじゃ、まぁ行きますか」
 渋々と言うように連れだって、まずは校門を目指す。
 昇降口では後輩たちに挨拶をされ『君たち、平和だな』などと思った。もしかしたら、自分はこれから修羅場かもしれないと思いながら。

 しかし目的地に着いてその考えは払拭される。
「え? ここ?」
 美崎は”デジャブか?”と一瞬思った。
 自分の記憶が正しければ昨日の放課後も来たはず。
「だから、先に帰っててって言ったんだ」
 鶴城はそういうと、中に入って行った。
「また、豆買うのか?」
 そこは昨日も立ち寄った珈琲店である。
「いや、こっち」
 それは昨日、美崎が見ていたマグカップの置いてあるスペースであった。

「昨日、買っただろ?」
 そんなにマグカップばかり買ってどうする気なんだと抗議すれば、鶴城は苦笑いをして、
「優也が欲しがっていたのとは違ったから」
 と言った。
「なあ、もしまた違ったら明日も買うのか?」
 と、美崎が素朴な疑問をぶつけると鶴城は顔をひきつらせた。
「まあ、そうなるな」
「えーッ」
 ”バカなのか?”と、鶴城を見つめる。
「優也が欲しかったやつ、どれ?」
 鶴城は気にしないことにしたらしい。そういう優しさが美崎は好きだった。
 しかし……
「これ」
 と、美崎が持ち上げたマグカップのセットに鶴城は固まったのだった。
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