久遠の魔術師は銀の魔剣を騎士に捧ぐ

ゆらり

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遠く離れた地で

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 ――それは、一生に一度、あるかないかの本気の恋だった。




 だが、永久に叶うことのない恋でもあった。


「――お前、自由が欲しくないか」


 その声は甘く柔らかく、それでいて冷たかった。


 フォラドにとって、そのひと言がどれほどの救いとなったかなど、彼にとってはどうでもいいことだったのだ。


 その事実を突き付けられたのは、英雄レニスと、その友である騎士『フォラド』の噂を耳にしたときだった。

 二人でひとつの存在であるかのように、支え合いながら戦場を駆け抜けて行く彼らの、輝かしい武勇伝。

 それは、尊く美しい友愛に満ち溢れた物語だった。


 ……ああ、僕は彼に選ばれたのではなかった。


 彼にとっては、僕は特別な存在ではなく、ただ偶然に見つけた丁度いい存在だったんだ。

 継母に鞭打たれたときよりも鋭い痛みが、彼の胸を深く貫いた。

 それでも……今でも、毎日彼に感謝している。


 自分がこうして新しい自分になって自由を謳歌し、誰に怯えることも、飢えることもなく、光の中で生きていけるのは、彼の救いがあったからだ。



「――遠い地で、幸福を掴むがいい」


 そう言って、彼が背中を押してくれたからだ。
 

 どうか、どうか……、彼が進む先に、多くの幸運が降り注ぎますように。
 
 遠く離れた地で、かつてフォラドだった何者かは、毎日……途切れることなく祈り続けるのだった。


 

 



 





※何者でもなくなった、少年のその後。
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