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第十四話

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 アルバイトの面接で説教を食らう……フィクションだと思っていたが本当にあることを知った。
ある物流会社の面接を受けたときのこと、電話して急だったが自宅から近いためすぐ行けると伝えて対応してもらったのはありがたかった。当然遅刻はしてないし最初の方は順調にいつも通り(まあイコールいつも通り落ちるということなのだが)だったのだが一応毎回聞いておくことがあったのでそれを聞くことにした。

「不採用だった場合、履歴書って返送してもらえますか?」

これはどこでも最後に質問があるかと聞かれた場合するものだったのだがこれが良くなかったのか面接官が渋い顔をしながら

「いやーまだ結果わからないのに不採用だった場合のこと聞くのはどうかと思うよ?」

「というかこの履歴書ボロボロだけど使いまわしてるんじゃないの?」

「そもそも不備だらけだしこんなの毎回出してるの?」

「まあ写真を使いまわすのはわかるけど履歴書はちゃんと面接を受けるごとに新しく書き直すのが普通じゃないの?」

と、いろいろネチネチと文句を言ってきたのである。あー今回もダメだったなと思った自分は適当に相槌を打ってその場をごまかしたつもりだったが当然のごとく後日不採用の連絡が来た。とはいえちゃんと履歴書は送り返してくれたのでそれは大した問題ではなかった。履歴書をイチイチ手書きするのはきついためこれ以降できるだけメールに添付するか印刷し疲れた。もう最近は落ちるのがわかっているためもう面接というか応募もしていない。在宅バイトは応募はしているものの書類ですぐはねられて終わりというのがずっとつづいている。初期の失敗はしないように時間より10分以上早く到着してやる気があるアピールをして履歴書にも志望動機はびっしり書いている。だが結果は何も変わらないのである。いや、むしろ年を取っている分逆に余計ひどくなっているだけだろう。就労支援施設ものぞいたものの全く建設的なアドバイスがもらえるようには思えなかった。今更いくら資格を取ったところで実務経験が無ければ意味がないということはすでにフォークリフトなどで実証済みだ。もうどうしたら良いかわからない。客観的に見ると自分のような人間は一刻も早くこの世を去ることが社会にとって一番良いことなのは言うまでもないのだがそんなことをする気も起きないし難しいものである。たものを持っていくようになった。だからといって受かることはなかったのだが……。

 
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