異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん

文字の大きさ
79 / 158
学園生活、2年目 ~前期~

102

しおりを挟む


冒険者ギルドの採取クエスト、っていうくらいだし何を採ってこいっていうのかなー?と思ったら。


「・・・えーと?ホーンウルフの角?」

「ホーンウルフ自体はあんま強くないから楽勝だろ」

「狼に角生えてんの?」

「ああ。大きさは犬くらいだぞ」


全然想像つかない。ケリーの話だと柴犬位の狼に角生えてるらしい。狼に角って必要?
しかしポピュラーなものらしく、薬の材料になるんだとか。

しかしこれは『採取』っていうのか?


「まあ心配すんな、近づけさせやしねーから」

「う、うーん?」

「はは、ケリーもいつもの病気出てんな」
「まあ、ね」


私に色々話しかけて来てくれているケリー。
そんな姿を見て、同じパーティのダニエルは『病気が出た』と評し、ロリアは面白くなさそうに相槌。

これは恐らくロリアさんはケリーに惚れている。
面倒くさい揉め事は回避したい。


「ねぇケリー」

「なんだ?」

「ロリアさんて、ケリーの彼女でしょ?私に構ってたら彼女が面白くないんじゃない?」


そう聞くと、ケリーはチラっと彼女を見て、私に視線を戻す。


「構わねえよ。俺は彼女にした覚えないからな。確かにロリアから告白は受けたが、俺には他に好きな女がいるってハッキリ言ってる。それでもいいってくっついて来てんのはアイツだ。俺はそれ以上ロリアにしてやれる事はねえし、同じ騎士科のメンバーとして扱ってる。
俺がロリアに『諦めろ』っていう権利ねえだろ?」


ケリーとしては自分の気持ちは隠すこと無く伝えている。だがそれを踏まえて彼女が諦めないというのなら、これ以上何もいう事はできない、と。
確かに本人の気持ちをこっちがどうこうはできないもんね。同じ騎士科のメンバーとしては扱うけど、それ以上には見ない、と線引きしているならば私は何も言えない。


「いつもの病気って何?」

「あー、女が寄ってくるって事だろ・・・」


あーそうですか。確かにケリーは一年ですごく背が伸びた。騎士になりたいとの事で訓練も欠かしていないから、体も筋肉がしっかり付き、細マッチョな体をしている。
顔も男らしく鋭さのある顔付きだし、熱を上げる女の子も多いだろう。


「めんどくさい女は嫌なんだけどな」

「女ってのはだいたいめんどくさいもんよ」

「まーな、お前はめんどくさいというより手強い、だけどな」


諦めてねえぞ、と睨まれる。
そこの所は忘れてほしい。ケリーなら可愛い子をゲット出来るわよー。

荷物に入っているマップを広げると、ケリーも立ち止まって隣に立つ。するとダニエルもロリアも加わって作戦会議だ。


「さて、どの辺りを狙う?」

「私としてはこの辺りかな」
「いいんじゃないかな?ロリアの索敵能力はずば抜けてるし」


何度もパーティ組んでこういう授業をしているんだろう、ロリアさんに対するダニエル、ケリーの信頼は厚そうだ。
私の探索魔法サーチにもその辺りに反応あるし、異議はないので黙ってます。


「じゃあ決まりね。いつも通り先頭はケリーと私で。ダニエルは彼女のお守りよろしく」

「はいよ」

「お守り、ってお前な」
「あーはいはい、じゃあ決まったなら動きましょ」


『お守り』って言葉に何か感じたのかケリーがロリアに反論しようとするけれど、私はそれを遮った。
このクエストの間だけなんだからスルーしましょ、とケリーにコソッと囁けば、憮然として頷く。


「お前がいいなら黙るが、あまりに酷いようなら黙ってねえからな」

「まあまあ、可愛いものじゃない。小鳥がさえずっていると思いなさいよ」


納得していないみたいだけど、揉めるのは避けたい。ロリアさんが自分の優位を示したいってんだから勝手に働かせましょ、楽ができるならそれに越したことはない!

一応保険をかけて探索魔法サーチは適度に発動させておくけどね。前に比べて効果範囲も広くなった。指向性も出るようになったし、これホントに便利。ちょっとした地図アプリ的な。

時計でいうと10時方向にディーナ達を感じた。うん、向こうも頑張っているんだろう。キャズの索敵能力も高いし、心配はない。
たまに所々に高い魔力反応があるのは、近衛騎士がいるからだろう。

程なく、あたりを付けたエリアに。そこへ付くと、数匹のホーンウルフがいた。


「もしかして、あれ?」

「ああ、そうだよ。あの角が薬の材料なんだ」


確かに柴犬程度の大きさの狼の眉間に角。
一角獣…ほどじゃないけれど。ホントにいるんだな魔物。
これは魔獣、になるのかな?

ロリアさんが弓で牽制。怯んだ隙にケリーが一匹ずつ確実に仕留める。ダニエルさんは行かないのかな?


「僕が行っちゃうと、コズエさん危ないだろ?」

「あ、えーと、結界魔法バリア防盾魔法シールドも使えますからいいですよ?」

「そうなんだ、じゃあもっと数が多くなったら加勢に行くよ。あの数ならケリーだけで足りるし、コズエさんを危険に晒したら俺がヤられそうだ」

「そんな事ないですよ、これ授業なんだし。私も少しくらい頑張れますよ?」

「あー、そうじゃなくて。ケリーの想い人を危険に晒さないって事。君だろ?ケリーの告白ざっくり断ったって」

「え」

「アイツ、あんなだけど結構一途だからさ。まだコズエさんの事好きだと思うんだ。媚を売る女は嫌いなんだよ、ケリー」


だからロリアには無理なんだよな、とダニエルさん。
この人はケリーと幼馴染みたいで、ずっと子供の頃からケリーの女性遍歴を見ているらしい。

ケリーの好みは、自分に大して『女』の武器を使ってこない女だって事。擦り寄ってくる女は自分の見てくれに惚れてるだけだと判断しているらしい。


「俺にしてみれば、贅沢だと思うけどね。好きで寄ってきてるんだから楽しむくらいはすればいいと思うんだけどさ」

「あのー?私一応女の子ですよー?」

「ああごめんごめん。でもこういう話、コズエさん普通に返事してくるだろ?だからかな、ケリーはそういう所がいいんだと思う。アイツ昔から女に囲まれて苦労してるし」


と、そんな話をしていたらケリーが一人でホーンウルフを退治した。私達も側に寄る。

ホーンウルフの角は、仕留めた後つまめば取れるらしい…そんな簡単に取れるってなんなの?普通に生活してて取れないのかしら、角。

取れた角は支給されているマジックバッグへ。
ホーンウルフ自体は殺した訳でなく、気絶させただけらしい。角を取ると好戦的ではなくなり、逃げていくのだとか。


「だから討伐じゃなくて採取クエストなの?」

「ま、そーゆー事だな。数いる魔獣の中で安全な部類に入る奴らだな」

「じゃ、次向かいましょ。ダニエルもつまらなかったでしょ?動けなくって」

「ん?あー、でもコズエさん自分で身を守れるって言うから、次は俺も入るよ」

「・・・そうなの?」


ジロ、と私を見るロリアさん。確かに私鎧も付けてないしね。単なる訓練着だけ。ケリーやダニエルさん、ロリアさんは皮鎧を上に着込んでいる。
騎士科の面々は皆、皮の鎧を付けてきていた。魔術科は普通の訓練着だけ、だけどね。
とはいえ、私には魔法具ガードブレスもあるし、自衛手段もあるから気にはならないけど。

魔術科の訓練着には、薄い結界魔法バリアを常時展開する術式が組まれているので、あまり防具を必要としない。魔力は多少消費するけどね。これもまた訓練の一環だったりする。

じゃあ行くわよ、とロリアさんが先頭を切る。
やれやれ、何も絡まれずに授業終わりたいなぁ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。 今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。 あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。 「—っ⁉︎」 私の体は、眩い光に包まれた。 次に目覚めた時、そこは、 「どこ…、ここ……。」 何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...