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目覚めない病気

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「治ったオルリヌ様を見て愕然とした事でしょう、死んだと思っていたのに生きていたのですから……ただ目を覚ましていなかったため、まずは計画通りシネヴィラさんに罪を擦り付ける事にしたのです、良きところで告発するつもりだったのでしょう……こんな感じで」
 私は大げさな芝居口調で続ける。
「シネヴィラがオルリヌを殺そうとしたのよ! 私の自室に凶器を隠して、罪を擦り付けようとしたのよ! 殺意を隠すために傷を治して、浅ましい! きぃぃ!」
 別にバカにしているつもりはない❤
 それにしてもマリアは、何も言ってこない。顔を青くして、小刻みに震えるだけだ。何もできないなんて可哀相だ❤
「そんな告発をしようとしていたのに、私が現れてしまったのです、館の者だけならマリア様の言葉に異を唱える者は居ないでしょうから、多少強引でもシネヴィラさんを消してしまえました、でも外部の人間がいればそう上手くいかないかもしれません、その上、館の中を捜索するとまで言ってきたのです、それで焦って……このざまです」
 そこまで言って、マリアの方に歩み寄る。マリアは私の行動を見て、後ずさった。
「どうですか? 私の推理当たっていますか? その様子では当たっているという事でしょうか、ふふっ」
 私はゆっくりと歩を進める。物理的にマリアを追い詰めていく。じっくり時間をかけて。
「シネヴィラさんを共犯にしようとは考えなかったのですか?」
 これだけお人好しなのだから、共犯として利用する事もできたはずだ。例えば何か殺すに至る理由をでっちあげて信じ込ませれば、協力してくれたかもしれない。少なくとも、私を引き入れるなんて事はしなかったはずだ。外部の人間がいなければ、後からいくらでも理由をつけてシネヴィラを消す事もできる。成功していればマリアはそういう立場につくのだから。
「せめて、凶器の血痕も傷と一緒に消す様に言いくるめていれば」
 凶器の存在が無ければ、ただの推測にしかならない。さすがにそれをやられていたら、この事件は解決できていなかったかもしれない。
「後悔先に立たずとはこの事ですね」
 その言葉がきっかけかわからないけど、マリアは足をとられて尻もちをついてしまう。私は目の前にたどり着くと、マリアを見下ろした。
「もっと頭が良かったら、それらの事が思いついたはずなのに、おバカさんは辛いですね」
 マリアは私の言葉で顔を赤くする。怒ったらしい。削り取ってしまうのではというぐらいに、床についた拳を握り締めた。
「ッ! ッ……」
 怒っているはずなのに、言い返す事もせず、歯を食いしばって私を睨みつけるばかりだった。勝てない。負けた。そんな風に悟ったけど、認められなくて怒りは抑えられない、といった感じだ。
 あぁ、何て良い顔なんだろう。全身に快感が広がっていく。顔がほころんでしまう。もう我慢しなくて良いよね。言っていいよね❤
「あは❤ざぁこ❤……あっ、聖女なのに、はしたない事言っちゃった❤」
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