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第四章
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「あなたがこの辺りのリーダー?」
知能が高いのだから、理解はできるはずだ。返事が返ってくることは期待してないけど。そう思っていると、オークロードはしわがれた声をあげる。
「ソウダ」
少し聞き取り辛いけど、普通のオークたちの言葉よりかは聞き取りやすい。オークロードは少しづつ歩を進めて、私との距離を縮める。
「オ前ガ、ウチノ奴ラヲ倒シタ奴カ」
うちの奴らというのは、たぶんハイオークとおそらくその配下のオークたちの事だろう。
「そうだよ」
私の言葉でオークロードが元々深いしわを刻んでいる眉間を、さらに歪めた。仲間を殺された事に怒っている様だった。でもその様子はすぐに見えなくなる。冷静さを取り戻したらしい。さすがに、上に立つだけの事はあると言ったところだ。
とりあえず、対話をする意思はありそうだ。なんとか情報を引き出したい。
「あなた達の目的は何? 誰からの指示?」
上にあるだろう組織は、ここがトップなのかさらに上があるのか。私はおじ様から聞いた魔王の事を思い出す。さらに上の組織があるなら、それは魔王の可能性が高い。国を一つ攻め滅ぼしたんだから、それくらいの組織はありそうだ。
「指示? ……俺ハ誰カラモ、指図サレナイ! 失敗作ナドデハナイ!」
これまで冷静を保とうとしていたはずが、弾けたように怒りだしたオークロード。そうして腰にぶらさげていた武骨な剣を抜いて、こちらへ駆けだしてきた。失敗作とはなんだろう。一瞬その言葉に引っ掛かりを覚えたけど、ゆっくり考えている時間はない。
「アイスアロー!」
浮かび上がった魔法陣から氷のつぶてが、オークロードに向かって飛んでいく。一瞬でも隙を作れたらと思ったけど、ダメだった。飛んできた氷のつぶてを、オークロードはスピードを緩めることなく、手にした剣を一振りして叩き落した。
スピードは意外と速く、すでにオークロードの持つ剣が届きそうな距離まで詰められてしまった。
「アイススモーク!」
作り出した氷煙を、オークロードの顔に向かって撃ち出す。スキルを使っていないから、量が圧倒的に少ない。それでも目隠しにはなる。そのまま、氷煙に突っ込んでくれれば凍らせて終わらせられるのに、オークロードは何か感じ取ったのか後ろに飛び退いた。それでも、準備をするだけの隙が出来た。
「アイススモーク、スキル『拡散』」
私の周りに複数の魔法陣が浮かび、氷煙が体にまとわりつく様に現れる。スキルを自覚してから、勝手に発動しなくなった。そのおかげで咄嗟の時に逆に不便になった気がする。私はそんな事をふと思い小さく苦笑をうかべた後、両手を広げて周りに氷煙を広げた。地面が凍って、急激に寒くなる。
「準備できたよ……さぁ、私と踊ってくださらない?」
知能が高いのだから、理解はできるはずだ。返事が返ってくることは期待してないけど。そう思っていると、オークロードはしわがれた声をあげる。
「ソウダ」
少し聞き取り辛いけど、普通のオークたちの言葉よりかは聞き取りやすい。オークロードは少しづつ歩を進めて、私との距離を縮める。
「オ前ガ、ウチノ奴ラヲ倒シタ奴カ」
うちの奴らというのは、たぶんハイオークとおそらくその配下のオークたちの事だろう。
「そうだよ」
私の言葉でオークロードが元々深いしわを刻んでいる眉間を、さらに歪めた。仲間を殺された事に怒っている様だった。でもその様子はすぐに見えなくなる。冷静さを取り戻したらしい。さすがに、上に立つだけの事はあると言ったところだ。
とりあえず、対話をする意思はありそうだ。なんとか情報を引き出したい。
「あなた達の目的は何? 誰からの指示?」
上にあるだろう組織は、ここがトップなのかさらに上があるのか。私はおじ様から聞いた魔王の事を思い出す。さらに上の組織があるなら、それは魔王の可能性が高い。国を一つ攻め滅ぼしたんだから、それくらいの組織はありそうだ。
「指示? ……俺ハ誰カラモ、指図サレナイ! 失敗作ナドデハナイ!」
これまで冷静を保とうとしていたはずが、弾けたように怒りだしたオークロード。そうして腰にぶらさげていた武骨な剣を抜いて、こちらへ駆けだしてきた。失敗作とはなんだろう。一瞬その言葉に引っ掛かりを覚えたけど、ゆっくり考えている時間はない。
「アイスアロー!」
浮かび上がった魔法陣から氷のつぶてが、オークロードに向かって飛んでいく。一瞬でも隙を作れたらと思ったけど、ダメだった。飛んできた氷のつぶてを、オークロードはスピードを緩めることなく、手にした剣を一振りして叩き落した。
スピードは意外と速く、すでにオークロードの持つ剣が届きそうな距離まで詰められてしまった。
「アイススモーク!」
作り出した氷煙を、オークロードの顔に向かって撃ち出す。スキルを使っていないから、量が圧倒的に少ない。それでも目隠しにはなる。そのまま、氷煙に突っ込んでくれれば凍らせて終わらせられるのに、オークロードは何か感じ取ったのか後ろに飛び退いた。それでも、準備をするだけの隙が出来た。
「アイススモーク、スキル『拡散』」
私の周りに複数の魔法陣が浮かび、氷煙が体にまとわりつく様に現れる。スキルを自覚してから、勝手に発動しなくなった。そのおかげで咄嗟の時に逆に不便になった気がする。私はそんな事をふと思い小さく苦笑をうかべた後、両手を広げて周りに氷煙を広げた。地面が凍って、急激に寒くなる。
「準備できたよ……さぁ、私と踊ってくださらない?」
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