私を愛しすぎた殺人鬼

まぁ

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ゆうき

ゆうき

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「結局ヤることはヤったと...」

「せやなぁ。もう、ヤってしまったら待つのはまぁまぁ、快適な刑務所生活だけやなぁ。」

カランっとお酒の氷がとけ落ちる音が響く。
ゆうきくんの話を聞いて、ふざけて下ネタだけを拾ってみたものの、中学生にして2人も殺している人間にゆうきくんに関わるなと言われてる現実は消えない。

「で、なんで彩海ちゃんのアドレスにその子が連絡したかってことやけど。」

「僕の携帯から名刺ケースやら全て見られてその時名刺あったんだと思います...」

初めて神成に連れられてきたとき、名刺を渡され私も渡した記憶がぼんやりと浮かぶ。
社会人としてのマナーではないか。
そんなこと中学生にはわからないとは思うが、やましいことないよ!と伝えたい気持ちをどこに発散すればいいのかわからずにとりあえず、タバコに火をつける。

「下手に僕から何か言って彩海さんに被害行くのも嫌なんで...暫くここには来ないほうが。」

申し訳なさそうに私に話すゆうきくんの言葉を遮るように、グラスのお酒を飲み干しガンっとグラスをおいた。

「シーバスロック!
   大丈夫。彩海ちゃんは俺が守ったるから大丈夫やぁ。
   んで?俺はその妹を探せばえぇんか?」

「はい。お願いしたいっす。」

神崎のグラスをひょいと上げながらも頭を下げるゆうき君。
神成は腕を組み、しばらく何かを考え、思い立ったように立ち上がった。

「とりあえず、その妹さんの写真はほしいわ。
   その男と出会ったSNSさえ分かれば探しやすいやろからもし探れるから探ってや。こっちもこっちで調べてみるわ。」

「分かりました。うまく聞いてみます。」

「私は何もできないけど、頑張ってね!捕まらないように!」

ガッツポーズをゆうきくんに送ると、神成に頭をコンっと殴られる。

「彩海ちゃんにもお仕事分けたるわ。」

にんまりと笑った神成に引き攣った笑顔を返す。
神崎はそのまま私の髪をわしわしと乱し、トイレへと向かった。

「本当に、すいません。彩海さんなんの関係もないのに...」

「あー、いいんじゃない?私もゆうきくんのこと殺すかもしれない人が背後にいるわけだし?」

「はは、境遇は似たようなもんっすね。」

眉を下げながら、右手を口元に添え笑ったゆうきくんはどんな思いでその少女を抱いているのだろうか。
家族の敵である人間に欲情するという感覚は私にはない感情だ。
逆に殺してもいいから、思いっきり性欲を発散できるものなのだろうか。
あの日小山内に首を絞められ目覚めた朝をふと思い出しも、今はそんなこと考えている場合ではないかと頬を静かに叩く。
ジャーっと言う音とともに、トイレから出てきた神成は、洗ったか洗ってないかわからない手で、再度私の頭に触れた。

「とりあえず、ある程度準備整ったら2人でデートな!」

「は?」「え?」

私とゆうきくんの間抜けな返答が重なった。
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