クラス転移で俺だけ勇者じゃないのだが!?~召喚した配下で国を建国~

かめ

文字の大きさ
36 / 41
第二章〜フューズ王国〜

第32話 事後処理

しおりを挟む
「うおっ!?」

「あ、トウマ起きた?」

 目を覚ますと、目の前にはリアンの顔があり、頭には柔らかい感触があった
 これは……膝枕か? リアンは若干恥ずかしそうにしながら、照れ隠しなのか俺の頬をつついてくる。少し身体を起こせば、彼女の潤んだ唇が俺の唇に触れてしまいそうだ。

「お……おはよう」

「…な、なによ」

 しばらく彼女の顔に見とれていると、そんな声が掛かる。俺も少し恥ずかしくなって、ついと顔を背ける

「い、いや、なんでもない」

 このまま膝枕して貰いたいところだが、恥ずかしいので起き上がろうとしたが、彼女に阻止された。

「ダメっ! 疲れているんだから横になってて」

 そう言われては仕方がないので、ご好意に甘えることにした。辺りはもう既に真っ暗で、ぱちぱちと音を立てる焚き火だけが明るい。

「あ、そういえば、俺はどのくらい寝てたんだ?」

「んー、8時間くらいね。まあでも気にしないでいいわよ。魔力枯渇だからしょうがないし、それに捕まってた人も憔悴してたから、どちらにしろ今日は動けなかったわ」

 捕まってた人もちゃんと外に逃げることが出来たのか。あの時は余裕があまり無かったから確認も出来なかったから、もし逃げれずに崩壊に巻き込まれてたらどうしようかと思ってたので肩の荷が軽くなった気分だ。

「あ、カンナとノアは?」

「ええ、2人も疲れ果てたみたいでご飯を食べたあとすぐ寝ちゃった」

「リアンは眠たくないのか?」

「まあ、私は3人みたいに疲労困憊って訳でもないし、それに……そのトウマが少し心配で…って、どこ見てるのよ!」

 さっきまで気づかなかったが、リアンは結構胸が大きいので、少し……ほんの少しだけ見て癒されていたら怒られた。男子ならこれは不可抗力だと思うんだ。

「その様子なら大丈夫そうね……もう、心配したんだから……あんまり頑張りすぎないでね」

「うん、ありがとな」

 俺の事を心配してくれたというのは素直に嬉しいものだ。

「あ、リアン。お腹減ったんだけどなにか食べるものある?」

「あ、トウマ用に残しといたスープがあるからあっためるね! ちょっと待ってて」

 ご飯を食べたあと、俺は再び眠ることにした。明日もどうせ早いのだ。休めるうちに休んだ方がいいだろう。

 次の日の朝、案の定俺は早朝に叩き起された。まあ、叩き起すって言ってもコチョコチョなんだが。最近、ノアがコチョコチョをして起こすのにハマってるらしくて、朝が結構辛い。まあ可愛いから我慢できるけど!

「「あ、あの! 昨日は助けてくれてありがとうございました」」

「助けて頂けなければ、私たちは慰みものになるところでした」

「あ、うん。どういたしまして!」

 出発の準備をしていると昨日助けた人達が俺にお礼を言いに来た。まあ、なんだ。こう感謝されって嬉しいけど、なんかこそばゆいな。
 怪我をしている人達もいたが、回復のポーションを使い、1日寝たら歩ける程度には治ったようだ。まあそれでも一般人が多いので、帰りは休憩を多く挟むと思うが。

「やぁ! トウマくん」

「あ、おはようございます。エルフィンさん」

「おはよう。積もる話はあるが、それはギルドに帰ってから聞こう。ギルドに帰るまでが試験だからね」

 確かに、積もる話は沢山ある。敵が異常に強かったりとかな。あとは称号とか固有スキルとかも気になるな。まあこっちはエルフィンさんに公開する気はないが。

「それじゃあ出発するぞ」

 やはり休憩は多く挟むため、行きの倍近く時間が掛かった。途中で何回か魔物に遭遇したが、難なく街へと帰ることが出来た。

 ギルドに到着すると、まず捕まっていた人の身元を確認する。どうやら俺たちが助けた人達は、数日前に盗賊に襲撃された村の人だったようだ。用事が終わった後はいよいよエルフィンさんとの対話だ。
 この前のようにギルマスの部屋で行われるらしい。

「さあ、座りたまえ」

「はい、失礼します」

「まずはお疲れ様と言うべきか。見事盗賊を壊滅してくれた。報酬は後で渡そう。問題は、敵の頭についてだ」

 やっぱりそうだろうと思った。Cランクの昇格試験で、あの敵の強さはおかしいだろう。

「君たちから得た情報から少し該当する者を探してみた結果、この人物が浮上したのさ」

 そこにはギオルギードと言う名前と、人相書きがあった。間違いない。俺たちが戦ったのはこいつだ。

「どうやら当たりのようだね。こいつは2年前、ギルド内で暴れ数名の死者を出した元Bランク冒険者だ。その当時はもうすぐAランクになるだろうと言われていた実力者だな。実力は折り紙付きだったが、なにかと問題を起こす奴だった。ギルド内で暴れたことで冒険者資格は剥奪、街からも追い出され盗賊に成り果てた訳だ」

「そうだったんですね……」

「ああ、それでな。今回の試験ではCランクの実力があれば充分遂行可能だったのだが、おそらくBランク……もしかしたらAランク相当の難易度だったかもしれない。こちらの手違いで危険な目に合わせてしまったことは謝罪しよう。それにしても君たちが強いとは言っても、ここまで強いとは思っていなかったよ。
 今この周辺は高ランク冒険者が少なくてね。1人でも多くの高ランク冒険者が欲しいわけだよ。そこでギルドは、君たちを腐らせて置く訳には行かなくてね。Bランクにしようと思うんだ。どうだね?」

「……少し考えてみたいと思います」

 何も美味しい話だけじゃないはずだ。高ランク冒険者になることで参加する義務がある依頼があったりしたはずだ。

「まあ、なにも今すぐ答えを出せとは言わない。そこでだ。1つ美味しい話をしようじゃないか」

「美味しい話……ですか?」

「ああ、君は特殊な召喚獣を使役しているだろう? 見たところ他にも秘密がありそうだ。だけど、君たちはそれを私たちに詮索されたくはない。そこで"クラン"という制度がある。クランと言うものは4名以上のBランク以上の冒険者、または10名以上のCランク冒険者を集めることで設立することが出来る」

 クランと言うとゲームなどにある物と同じイメージで良いのだろうか? パーティーより大きい集団で、大きなクランは大きな発言力を持ってたりしたな。

「そのクランに所属しているものは、情報の開示を迫られたとき、拒否権というものがある。冒険者ギルド側から詮索されたくない君たちにとっては美味しい話だろう? こっちは高ランク冒険者を増やしたい。君たちは情報を漏らさないようにしたい。ウィン・ウィンの関係だろ?」

 確かに、これは美味しい話だ。他の煩わしい部分を含めたとしても拒否権というのは物凄く魅力的だ。

「まあ、もう一度言うが今日決めろとは言わないから、また返事を聞かせてくれたまえ」

「分かりました。では、また後日ギルドによります」

「ああ、ご苦労だった。今日はゆっくり休みたまえ。ああ、帰りに受付でこれを渡してくれ。今回の報酬が貰えるだろう」

 エルフィンさんに何かを走り書きした紙を受け取るとギルマスの部屋から退出する。
 帰りに受付へとより、紙を渡すと受付のお姉さんはとても驚いた表情をしつつも、お金を持ってきてくれた。

「今回の報酬となります金貨8枚と銀貨7枚です。お疲れ様でした」

 ふむ、日本円で言うところの87万円か。かなり実入りのいい依頼だったようだ。それとも、エルフィンさんが多めにくれたのかもしれないが。
 報酬を貰うと足早にギルドを後にする。
 寄宿舎に戻ると、防具を脱ぎ水魔術で出した水を火魔術で温めつつ、桶に入れて身体を洗ったり、洗濯をしたりした。
 水魔術と火魔術を両方使えるのが俺とリアンなので、ノアと俺、リアンとカンナのペアで身体を洗うことになった。
 一応、下着として布っぽいのはつけているが、布がお湯で濡れると、その……ピンクのぽっちが浮かび上がって、なにがとは言わないが結構やばい。
 ノアも俺に対しては羞恥心がないのか。「お風呂なら全部脱げばいいのにー」とか言っている。
 いいか、抑えろ。抑えるんだ。
 そんな苦労のお風呂が終わったあと、防具や武器の手入れをしたりした。こういう細かいことが生死を分けたりするからな。

「ふー、とりあえずやるべきことはやったな」

「じゃあ、そろそろクランを作るかどうかについて話しましょうか」

「ああ、リアンはどう思う?」

「そうね……国を跨いで存在してるギルドには、これからこの国以外にも寄る機会もあるかもしれないし、早い段階で情報を隠すことが出来るから賛成だわ。トウマたちは事情があって追われているようだったし、情報を隠すのは最優先と言ってもいいかもしれないわね」

「カンナとノアはどう思う?」

「ご主人様に従います!」

「私もです♪」

 ああ、これはご主人様に従いますって、従順そうな感じ出してるけど、ただ単に考えるのがめんどくさい時の顔だな。最近何となく分かるようになってきた。
 これは詳しく聞いても何も出てこなそうだ。

「じゃあ次は、昨日の戦闘についてだな」

「暴走しかけたカンナ達を体を張って正気にさせた時の?」

 そう言いながら、何やらニヤニヤしている。あの時のクサイ言葉は忘れてくれ……

「ご主人様、あの時はごめんなさい。上手く力が制御出来なくて、あの…その…ご主人様に危害を加えてしまって……」

「まあ、あの時は仕方ないさ。結果よければ全てよし! だよ」

「……なんですか? それ」

「ま、まあいいよ。とりあえずあの時、カンナを止めているときだな。俺は称号を貰ったんだ」

「称号ですか?」

「ああ、称号《 立ち向かうモノ》っていうのを貰った。それがなんでか知らないけど、俺がもっているもう1つの称号《 救世主》を進化させたんだ。それによってカンナとノアの器が大きくなって、力を制御出来るようになったらしい」

「そうだったのね」

「だから、2人は今Aランク並のステータスになっている」

 これは街に帰るときに確認済みだ。

「じゃあこれでご主人様が危険な目に会う機会が減りますね!」

「う、うーん。それはどうだろ……俺が何処かで行きたいと思っている死の大地は、強い魔物がゴロゴロ居るようだしな」

「女神様からのお願いも大事だけれど、自分の命は大切にしてよね」

「ああ、うん。分かってるよ。死んだら元も子もないもんな」

 それにせっかく出会ったカンナ達と別れたくないしな。

「それじゃあ、明日も死なない程度に頑張りましょ!」

「「おー!」」

 それもハードじゃん。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...