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幸せは、思いがけず突然やってくる。……いやほんと、予想以上の展開だよ!?

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 博昭との結婚がダメになって、自分の気持ちが落ち着いても、両親と顔を合わせづらいのは、それも一因だった。

 一人っ子の私が子供を産まなければ、両親は孫を得ることはできない。
年齢からすると、子どもがほしいなら私もそろそろ焦るべきだ。

 けれど、好きでもない男と結婚するなんて考えられない。
 そのくせ、そう簡単に好きな男ができる質ではないし、その相手に女として好きになってもらうのも難しい人間だ。
それでも、無理に婚活して結婚する、なんて芸当は、私にはできそうにない。
 だから両親には申し訳ないのだけど、うるさく言われないのをいいことに、好きに生きている。
こんな時は、兄弟姉妹がいればと思ってしまう。
まぁ、架空の兄弟姉妹も同じようなタイプという可能性もあるけど。

 溜息をつきたいのを我慢していると、リチャード・ライターが楽し気に言う。

『それって、俺が美形だって褒めてくれているの?』

『ただ見たままを言っただけよ』

 鳥居が見えたので、端によって一礼する。
リチャード・ライターはやたら嬉しそうに、私の横で真似をして一礼した。

『すごいな。屋台がいっぱいだ』

『気になる?私は、お詣りをすませてからじゃないと、屋台は食べない主義なんだけど』

『そう?なら、俺もそうしよう』

 早朝だから、屋台はすべてが営業しているわけじゃない。
せいぜい半分というところか。
それでもあちこちの屋台からいい匂いがかおり、威勢のいい掛け声を聞いていると、わくわくする。

 先に食べてもいいんだけど、のんびり屋台で食事をしている間に、神社が混み合って来たら、お詣りするのも延々と並ばなくてはいけなくなる。
ここの屋台は大型のテントの中で腰をかけて食べるところも多いので、うっかりすると時間をとられてしまうのだ。
リチャード・ライターがあっさり屋台を後回しにしてくれて、助かった。

 お正月だけ設置されている大型のテレビに興味を示すリチャード・ライターをしり目に、鳥居で一礼。
リチャード・ライターも一礼して鳥居をくぐると、楼門のある階段へ向かおうとする。

『待って。先に手を清めるから』

 連れたって手水舎に行き、柄杓をとる。

『どうするの?』

 いそいそと柄杓を手に取って、リチャード・ライターが言う。
好奇心で目を輝かせる様はなんだかかわいらしく、相手は憧れの作家だというのにほほえましく感じてしまう。

『まず左手を洗って、柄杓を持ち替えて。次は右手を清めるの。もう一度柄杓を持ち替えて、今度は左手に少し水をためて。……そう。口をすすいで、最後に柄杓の持ち手を清めるのよ』

 緊張した面持ちで私の真似をするリチャード・ライターは、最後の柄杓の柄を清めるところで失敗した。

『うわっ』

 袖口まで水で濡らしてしまったリチャードに、くすくす笑ってしまう。
ハンカチを手渡すと、苦笑いしながらリチャードが言う。

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