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転職して欝々としていたら、友達の弟に遭遇。……ときめきとか、縁のない言葉だと思っていたんだけど!?
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2人用の座席の、高良くんの前の席に座る。
友達の弟とはいえ、イケメンとふたりでごはんって、なんかちょっとどきどきする。
でも4歳も年下の男の子を意識してるって思われるのも恥ずかしくて、さらっと喜んで受けた。
「わりとがっつりですね」
私のトレーを見て、高良くんは笑った。
その笑顔はさわやかで、嫌味な感じはない。
だから、わざとちょっとすねた顔で、応えた。
「うー、そういうこと言う?」
「いや、なんか昔も姉貴と太る太るって言いながら、よく食べてたなぁって思い出して」
そういえば、昔はもっとしょっちゅうファストフード食べてたっけ。
若かったよなぁ。
「そういうことは思い出さなくていいから! ……なんかさぁ、最近仕事でストレスたまってて、つい。最近はファストフードも控えていたんだよ? 今日は特別なの」
こてこてのチーズバーガーにかぶりついていうと、高良くんは「ストレス?」と首をかしげた。
「なにかあったんですか?」
真剣な表情できかれて、しまった、と思う。
なんか昔のノリで、つるっと話してしまった。
小さな不満も、大きく盛って、友達に盛大に愚痴れていたあの頃みたいに。
だめだ、だめだ。
高良くんと話していると、つい咲良といる時みたいなノリになってしまう。
そういえば、咲良ぬきで話すのも、はじめてじゃないだろうか。
「べっつにー。あえていうなら、転職したとこだから大変って感じかな。でなくても、悩みの多い年ごろですし」
さらっとながしてしまおう、と曖昧に笑って答える。
すると高良くんは、いっしゅんほっとしたように表情をなごませて、それからまた真剣な顔になる。
「あぁ。姉貴ももうすぐ30歳なのに結婚どころか彼氏もいないって、よく暴れてます。菜摘さんも結婚してないですよね? 彼氏は、いるんですか?」
おいおいおいおい。
真剣な顔で、すごいとこ突っ込んでくるね?
若者の感性、こわ。
「いないですー……。高良くん、そういうことぐいぐい聞くの、やめよう?心がえぐられるよ……」
真顔で言うと、高良くんは大きく瞬きをした。
「えぐるとかじゃなかったんですけど……。すみません」
「いや、そんな真面目に謝らなくてもいいけど」
真面目な顔で頭を下げられて、あわてて止める。
結婚とか彼氏とかは、それなりに気にはしていても、そこまで真剣にダメージを受ける話題じゃない。
ただアラサー女子として、こういう時はこう言うといういつものノリで受け答えしただけだったりする。
まぁ、あんまり触れられたいことでもないけど。
なので、しゅーんと肩を落とした高良くんに戸惑う。
ぐいぐいプライベートなとこにつっこんでくると思ったら、今度は落ち込みすぎ。
若者の感性は、よくわからないなぁ。
しばらく二人で無言でバーガーを味わっていると、ひとあし早く食べ終わった高良くんが「あ」と声をあげた。
「菜摘さん、今日これからって時間ありますか? よかったら、この後いっしょに寺に行きません?」
「お寺って、ライトアップかなんかなの? 行こうかな。お腹いっぱいすぎて、ちょっと歩きたいかも」
ポテトをぜんぶ食べておなかがいっぱいになって、頭に「カロリー」の文字がよみがえる。
高良くんのお誘いにうなずくと、高良くんは「やった」と笑う。
くしゃりとした笑顔に、どきりとする。
いや、いや、ないない。
小学生時代を知っている年下の男の子相手にときめくなんて、ない。
別に特別なことなんて話していないのに、高良くんと少し話していただけで、このところの落ち込んでいた気持ちがちょっと浮上しているなんてこともないんだから。
友達の弟とはいえ、イケメンとふたりでごはんって、なんかちょっとどきどきする。
でも4歳も年下の男の子を意識してるって思われるのも恥ずかしくて、さらっと喜んで受けた。
「わりとがっつりですね」
私のトレーを見て、高良くんは笑った。
その笑顔はさわやかで、嫌味な感じはない。
だから、わざとちょっとすねた顔で、応えた。
「うー、そういうこと言う?」
「いや、なんか昔も姉貴と太る太るって言いながら、よく食べてたなぁって思い出して」
そういえば、昔はもっとしょっちゅうファストフード食べてたっけ。
若かったよなぁ。
「そういうことは思い出さなくていいから! ……なんかさぁ、最近仕事でストレスたまってて、つい。最近はファストフードも控えていたんだよ? 今日は特別なの」
こてこてのチーズバーガーにかぶりついていうと、高良くんは「ストレス?」と首をかしげた。
「なにかあったんですか?」
真剣な表情できかれて、しまった、と思う。
なんか昔のノリで、つるっと話してしまった。
小さな不満も、大きく盛って、友達に盛大に愚痴れていたあの頃みたいに。
だめだ、だめだ。
高良くんと話していると、つい咲良といる時みたいなノリになってしまう。
そういえば、咲良ぬきで話すのも、はじめてじゃないだろうか。
「べっつにー。あえていうなら、転職したとこだから大変って感じかな。でなくても、悩みの多い年ごろですし」
さらっとながしてしまおう、と曖昧に笑って答える。
すると高良くんは、いっしゅんほっとしたように表情をなごませて、それからまた真剣な顔になる。
「あぁ。姉貴ももうすぐ30歳なのに結婚どころか彼氏もいないって、よく暴れてます。菜摘さんも結婚してないですよね? 彼氏は、いるんですか?」
おいおいおいおい。
真剣な顔で、すごいとこ突っ込んでくるね?
若者の感性、こわ。
「いないですー……。高良くん、そういうことぐいぐい聞くの、やめよう?心がえぐられるよ……」
真顔で言うと、高良くんは大きく瞬きをした。
「えぐるとかじゃなかったんですけど……。すみません」
「いや、そんな真面目に謝らなくてもいいけど」
真面目な顔で頭を下げられて、あわてて止める。
結婚とか彼氏とかは、それなりに気にはしていても、そこまで真剣にダメージを受ける話題じゃない。
ただアラサー女子として、こういう時はこう言うといういつものノリで受け答えしただけだったりする。
まぁ、あんまり触れられたいことでもないけど。
なので、しゅーんと肩を落とした高良くんに戸惑う。
ぐいぐいプライベートなとこにつっこんでくると思ったら、今度は落ち込みすぎ。
若者の感性は、よくわからないなぁ。
しばらく二人で無言でバーガーを味わっていると、ひとあし早く食べ終わった高良くんが「あ」と声をあげた。
「菜摘さん、今日これからって時間ありますか? よかったら、この後いっしょに寺に行きません?」
「お寺って、ライトアップかなんかなの? 行こうかな。お腹いっぱいすぎて、ちょっと歩きたいかも」
ポテトをぜんぶ食べておなかがいっぱいになって、頭に「カロリー」の文字がよみがえる。
高良くんのお誘いにうなずくと、高良くんは「やった」と笑う。
くしゃりとした笑顔に、どきりとする。
いや、いや、ないない。
小学生時代を知っている年下の男の子相手にときめくなんて、ない。
別に特別なことなんて話していないのに、高良くんと少し話していただけで、このところの落ち込んでいた気持ちがちょっと浮上しているなんてこともないんだから。
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