【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご

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公爵令嬢は婚約破棄する(1)

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「殿下、私と婚約破棄してください」

 その瞬間、私は初めて空気が凍ったという経験をした。
 いや、本当に凍っている。比喩ではなく部屋は冷気が、ただよっている。 
 パリンッ

 殿下の魔力が暴走していた。そこら辺の壺やら、花瓶やらが割れて音が鳴る。
 だが、そんなことをニナは気にしていなかった。気づいていなかったというのが正しいが。

(なんで魔力が暴走してるの!?)

 と一人戸惑っていた。

 ガーベラと殿下がこなすイベントの一つに魔力暴走が関係するものがある。
 どのルートに入っていようが必ず行うイベントである。内容は、ガーベラと他の男が仲良くしていて、モヤモヤするレオンハルト。男が、嫌がるガーベラに無理やり従わせようとして、レオンハルトは怒りで魔力暴走を引き起こす。だが、ガーベラがそれを鎮めてくれて、心優しいガーベラに対する恋心を発覚するのだ。

 だが、今ここで魔力暴走が起きている。あの日から魔力暴走は起きていないって書いてあったからイベントをこなしていないという可能性が高い。
 いや、こなせなかったのかも知れない。
 ガーベラを無理やり従わせるなんて無理なんだ。ガーベラは公爵令嬢。身分はほぼ下の人しかいない。公爵子息はいるが、同じ身分なのだから無理強いはできない。

 だからこれは、「絶対にこなせないイベント」なのではないかと推測できた。公爵令嬢に手を出す命知らずなやつはこの学校にいないから。

 というか、寒い…雪が降ってきた。まだ秋の季節だから雪はまだ早いと思う。こんなこと、今までなかったのに……どういうこと?
 魔力暴走の原因は大きい感情の起伏。ここまでのやり取りでなんかおかしな点があったのだろうか?

「殿…「ニナ。耳がおかしかったみたい。もう一回言ってくれる?」

 ニッコリ笑っている殿下の顔がとっても怖かった。今まで一度も見たことのない顔で、少し肩を震わせた。まさか、これが本当の殿下…?

「ですから、婚約破棄してくださいと、申し上げたのです!」

 勢いに負けないように、流されないように強めに言う。その瞬間、この部屋はどこの雪山かっ!っていうぐらいの吹雪がふいた。ゴォーゴォー言ってる。流石に異変を感じたのか使用人が数名部屋の中に入ってきたが殿下がソファーから立ち上がり対応していた。

 そもそも、殿下が原因なんですけどね!!

 今日は殿下がおかしい。情緒不安定という言葉が似合う。魔力暴走が起きるなんてよっぽどだ。しかも、笑ったり、真剣な顔になったり、泣いて……はいないけど、したりするのに、今日は笑顔(冷たい)しか見せてない。

「……殿下、魔力暴走が起きてます…」
「あぁ、本当だ。気づかなかったよ」

 とりあえず吹雪が止んで、魔法で暖かくしてくれて助かったぁ~!殿下に感謝の言葉を述べる。元々は殿下のせいだがなんとなく。
 こっちを見つめてくる視線が辛い……
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