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第1章
第11話
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土日はそんな風にかっちゃんとゆっくり過ごせたけど、学校が始まるととたん忙しくなって、同室でもかっちゃんとなかなか会えない日々が続いた。
特にかっちゃんは生徒会長だから仕事がたくさんあるみたい。夕飯も食べていない時があって、僕は心配になった。
かっちゃんは一食くらい大丈夫って言ってたけど、次の日も遅いので、僕はまた夕飯食べてないんじゃないかと気になって仕方なかった。
なかなか部屋に戻ってこないのにしびれを切らした僕は、かっちゃんを探しに行くことにした。
多分生徒会室にいると思うけど、どこだっけ。一度しか行ってないから覚えてない。
うろうろと探し回ってやっと見つけた時は寮の部屋を出てから30分くらい経っていた。
生徒会室はまだ灯りがついていた。やっぱりかっちゃんまだいるのかな。他の人もいたらどうしよう。でも、僕も手伝えることあるかもしれないし。
僕は意を決して生徒会室のドアをノックした。
「誰? 今手放せないから後にして」
かっちゃんの声だ。他に誰もいないんだろうか。
迷っても仕方ない。僕はばっと生徒会室のドアを開けた。
机で何やらやっているかっちゃんと目が合った。
「由君?」
「かっちゃんまだ仕事終わらないの?」
「あー。ごめん。色々たまってて、なかなか帰れなくて」
謝らなくていいのに。
「他の人は? それかっちゃん1人の仕事? 夕飯ちゃんと食べた?」
「あ、食べてなかった」
今気付いたみたいにかっちゃんは言った。
「駄目だよ2日も食べないなんて。それに何で一人」
「あいつら人に仕事押し付けて消えやがってさ」
かっちゃんの口調が悪くなってる。それほど切羽詰まってるのかもしれない。
「僕呼んでこようか? 夕飯も食べないと」
「いいよ。由君は部屋で休んでなよ。どうせあいつら来ないし」
「よくない!」
僕はかっちゃんの正面を向いて怒鳴った。
「じゃあ僕が手伝う。できるかわかんないけど。後、なんか食べるもの持ってくる」
「由君、そんな」
「待ってて」
僕はかっちゃんの言葉を制して生徒会室を後にした。まだ食堂は開いてるだろうか。校庭の近くにはコンビニもあるみたいだけど、まだ使ったことはない。
とりあえず食堂に行ってみたら、おばさんたちはもう片付け始めてた。
夕飯は片付けられてしまったみたい。
「もう終わりだよ」
って言われたけど、僕は勇気を出して聞いてみた。
「あの、何か残ってるものとかありませんか? 一人夕飯食べそびれてしまった人がいて」
「新しい子みたいだけど、1年生?」
「はい」
おばさんたちは生徒の顔をよく覚えているみたい。
「まかないにしようとしてたもので良かったら、あるよ。それでいい?」
「お願いします」
僕は笑顔で答えた。
おばさんにお礼を言い、おにぎりとポテトサラダを持って僕は生徒会室に駆けつけた。かっちゃんはまだ黙々と仕事をしていた。
「かっちゃん、食べ物」
「あ、ありがとう」
かっちゃんはお腹が鳴って恥ずかしそうだった。
食べながらも作業の手を止めないので、僕は聞いてみた。
「僕で手伝えることある?」
「由君パソコン使える?」
「何でもできるよ」
中学の時パソコン教室通ってたし。
「これとこれ、打ち込んでくれる?」
今年の部活の予算の表や、文化祭で使える金額のまとめが書いてあった。去年のデータに付け加えるみたい。
僕はかっちゃんの座ってる席の後ろにあるパソコンを起動した。
かっちゃんはずっと紙で作業していたみたいだけど、パソコンは使わないのかな?
「かっちゃんはパソコン使わないの?」
「いつも書記がやってたからさ。できないわけじゃないけど、紙でやる方が早い」
意外や意外。かっちゃんはあまりパソコンが得意じゃないみたい。まあ、かっちゃんの前住んでたとこにパソコンなんかなさそうだったし、慣れてないのかもしれない。
僕のうちには小さい頃からパソコンがあったし、僕もいじってた。
できたよって持ってったら、かっちゃんに褒められた。
「由君早いね」
それだけですごくうれしかった。
その後も色々手伝って、作業が終わったのは12時前だった。
「今日はここまでにしよう。由君ありがとう」
少しでも役に立って良かった。
部屋に帰ったらかっちゃんは僕より先に眠ってしまった。すごく疲れてたんだろうな。
特にかっちゃんは生徒会長だから仕事がたくさんあるみたい。夕飯も食べていない時があって、僕は心配になった。
かっちゃんは一食くらい大丈夫って言ってたけど、次の日も遅いので、僕はまた夕飯食べてないんじゃないかと気になって仕方なかった。
なかなか部屋に戻ってこないのにしびれを切らした僕は、かっちゃんを探しに行くことにした。
多分生徒会室にいると思うけど、どこだっけ。一度しか行ってないから覚えてない。
うろうろと探し回ってやっと見つけた時は寮の部屋を出てから30分くらい経っていた。
生徒会室はまだ灯りがついていた。やっぱりかっちゃんまだいるのかな。他の人もいたらどうしよう。でも、僕も手伝えることあるかもしれないし。
僕は意を決して生徒会室のドアをノックした。
「誰? 今手放せないから後にして」
かっちゃんの声だ。他に誰もいないんだろうか。
迷っても仕方ない。僕はばっと生徒会室のドアを開けた。
机で何やらやっているかっちゃんと目が合った。
「由君?」
「かっちゃんまだ仕事終わらないの?」
「あー。ごめん。色々たまってて、なかなか帰れなくて」
謝らなくていいのに。
「他の人は? それかっちゃん1人の仕事? 夕飯ちゃんと食べた?」
「あ、食べてなかった」
今気付いたみたいにかっちゃんは言った。
「駄目だよ2日も食べないなんて。それに何で一人」
「あいつら人に仕事押し付けて消えやがってさ」
かっちゃんの口調が悪くなってる。それほど切羽詰まってるのかもしれない。
「僕呼んでこようか? 夕飯も食べないと」
「いいよ。由君は部屋で休んでなよ。どうせあいつら来ないし」
「よくない!」
僕はかっちゃんの正面を向いて怒鳴った。
「じゃあ僕が手伝う。できるかわかんないけど。後、なんか食べるもの持ってくる」
「由君、そんな」
「待ってて」
僕はかっちゃんの言葉を制して生徒会室を後にした。まだ食堂は開いてるだろうか。校庭の近くにはコンビニもあるみたいだけど、まだ使ったことはない。
とりあえず食堂に行ってみたら、おばさんたちはもう片付け始めてた。
夕飯は片付けられてしまったみたい。
「もう終わりだよ」
って言われたけど、僕は勇気を出して聞いてみた。
「あの、何か残ってるものとかありませんか? 一人夕飯食べそびれてしまった人がいて」
「新しい子みたいだけど、1年生?」
「はい」
おばさんたちは生徒の顔をよく覚えているみたい。
「まかないにしようとしてたもので良かったら、あるよ。それでいい?」
「お願いします」
僕は笑顔で答えた。
おばさんにお礼を言い、おにぎりとポテトサラダを持って僕は生徒会室に駆けつけた。かっちゃんはまだ黙々と仕事をしていた。
「かっちゃん、食べ物」
「あ、ありがとう」
かっちゃんはお腹が鳴って恥ずかしそうだった。
食べながらも作業の手を止めないので、僕は聞いてみた。
「僕で手伝えることある?」
「由君パソコン使える?」
「何でもできるよ」
中学の時パソコン教室通ってたし。
「これとこれ、打ち込んでくれる?」
今年の部活の予算の表や、文化祭で使える金額のまとめが書いてあった。去年のデータに付け加えるみたい。
僕はかっちゃんの座ってる席の後ろにあるパソコンを起動した。
かっちゃんはずっと紙で作業していたみたいだけど、パソコンは使わないのかな?
「かっちゃんはパソコン使わないの?」
「いつも書記がやってたからさ。できないわけじゃないけど、紙でやる方が早い」
意外や意外。かっちゃんはあまりパソコンが得意じゃないみたい。まあ、かっちゃんの前住んでたとこにパソコンなんかなさそうだったし、慣れてないのかもしれない。
僕のうちには小さい頃からパソコンがあったし、僕もいじってた。
できたよって持ってったら、かっちゃんに褒められた。
「由君早いね」
それだけですごくうれしかった。
その後も色々手伝って、作業が終わったのは12時前だった。
「今日はここまでにしよう。由君ありがとう」
少しでも役に立って良かった。
部屋に帰ったらかっちゃんは僕より先に眠ってしまった。すごく疲れてたんだろうな。
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