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八歳のシャノン

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「シャノン、今日もお城に行くかい?」

「うん。行く」

 お父様に手を引かれてお城へと行く。

 公爵家のルイズ様は王太子殿下の婚約者様で仲良くしてくださるし、王太子殿下はいつでも遊びにおいでと言ってくださる。同じ歳のナセル殿下も一緒に勉強をしようと誘ってくれた。

 王太子殿下とナセル殿下の妹殿下で、三つ下のマルガリータ王女殿下もお相手をしてくれた。


「シャノン、お兄様と勉強中? それよりお茶をしましょう」

「マルガリータ、今先生に教えてもらっている最中だから後からにしてくれ。先生に失礼だろう?」

 ナセル様が言った。


「シャノンもしなきゃダメ? 難しくて付いていけないんじゃない? お兄様の足を引っ張っているんではないのですか?」


「マルガリータ! いいから出て行きなさい。先生すみませんでした。妹には後で言い聞かせます」

「いや、どこまでやったかな、シャノン様?」


「はい。○○地方の特産についてです」

「そうだったね、続きをやろう。シャノン様は熱心だよ。殿下もそう思いませんか?」

「はい、シャノンと勉強をしていると、私も負けていられないと思います」


「一緒に勉強をする仲間がいたらお互い高め合えると私も思います。これが終わったら休憩にしましょう」


「「はい」」



「マルガリータ、お茶にしよう」

「お兄様、シャノンもう終わったの?」


「休憩なんだ」


「シャノンは休憩が終わったら何をするの?」


「ナセル様の剣術のお稽古を見に行きます」

「面白くないわよ。そんな汗臭い所! 可愛くないし!」


「まぁ、汗臭いのは確かだね。シャノンも無理して付き合う必要はないけど、側に居てくれたらやる気は上がるよ」

 ナセル様はいつも優しくて何をするにも誘ってくれる。


「それならシャノン一緒にお花を見に行きましょうよ」

 マルガリータ殿下は可愛い。妹がいたらこんな感じなのかしら。良いわね兄妹って。私は一人っ子だから羨ましい。


「マルガリータ! 無理言うな!」


「いいでしょ、ねぇねぇ」


「はい。それでは一緒にお花を見に行きましょう。マルガリータ殿下」

「うん」


 マルガリータ殿下の手を繋いで歩いていたらその後、庭で事件が起きた。


 マルガリータ殿下が、攫われそうになった。もちろん護衛もついていたし、王宮内で起きた事。

 未遂に終わったけれど、マルガリータ様を震えながらも抱きしめていた事を覚えている。


 私はその時に、護衛が賊を切りつける場面を目の前で見てしまってショックで動けなくなっていた。


 そして賊の剣が飛んできて私の腕をかすめた。恐怖のあまり痛さは感じなかったけど、血が流れる感覚はあった。掠めた程度なので軽い切り傷だった。


 騒ぎがあったと聞いてナセル様が駆けつけてきた。

 なんで、危ないから来ないで。賊がまだいるかもしれないのに……そう思っていたけど心配で様子を見にきてくれたみたい。




 その後にマルガリータ殿下が私に言った。


「臣下なんだからしっかりしなさいよ! 震えてないで私を安全な場所に移動させるくらい出来ないの」


 五歳の子供の言ったというには酷だった。


「使えない臣下なら要らないのよ! シャノンの顔なんて見たくない」



 それから王宮に行く事はなかった。私には臣下としての心得が出来ていなかった。


 その後、お医者さんに治療され迎えにきてくれたお父様の胸で泣いた。ごめんなさいと謝って気がついたら部屋のベッドの上だった。お父様の腕の中で安心したのかそのまま眠ってしまったみたい。


 目が覚めるとお母様が怖かったわね。頑張ったわね。と抱きしめてくださってまた泣いた。


 その後熱が出て、しばらく寝込んでしまった。その時にナセル様は手紙やお見舞いのお花を届けてくださったみたいだけど、お会いする事は出来なかった。


 しばらくしてマルガリータ殿下から手紙をもらい、謝罪を受けた。もちろん謝罪は受け取ったけれど、お顔を見る事は出来なかった。


 王妃様からもお見舞いを貰い、また遊びに来て欲しいと書かれていたけれど、お父様もお母様も無理する事はないと言ってくださったから、体調が回復したらとお返事をした。


 王族の方は常に狙われるもの。王宮ではたまにこう言うことが起きるのだそう。


 また同じことが起きたら私に何ができるのだろうか、と考えると怖くて王宮に行けなくなった。

 しばらくしてお父様とお母様の知り合いの伯爵家のお茶会に誘われた。


行きたくないけれどお父様もお母様も一緒だから安心して良い。と言われて行くことになった。そこで会ったのがミカエルだった。

 ミカエルは今まで遊んでいた人たちとは違って、気軽に話ができて気持ちが楽になった。


 王宮に行かなくても遊べるんだったらこのままが良いと思った。










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