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侯爵令嬢との仲

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 それから猫被りの殿下はお茶会を成功させた。猫被りというのは表の顔で、甘えん坊のクラウディオ殿下に王妃様は弱いのだ。クラウディオは王妃様に似ていて金髪碧眼で美しい顔立ちだ。国王でさえクラウディオには甘いのだ。理由としては三男で裕福な伯爵家に婿に行くから多少は目を瞑っているとの事だった。

 お兄様お二人には大変厳しい国王ですのに……王妃様を溺愛していて逆らえないからクラウディオの顔にも弱いのね……






 それから数日して、登校した時だった。

「フラン! 知っているの?」

 友人のモニカが血相を変えて走ってきた。

「モニカ、何があったのか知らないけれど廊下を走ってはダメよ。淑女として、」

「そんなことよりも、クラウディオ殿下の噂よ!」

 噂? なんだろう。と首を傾げた。


「ジュデス・ミルカ様といい仲だと噂をされているのよ」


「ジュデス・ミルカ様? たしか侯爵家の」

「そうっ!」

「あら、まぁ……」

「呑気ね! 図書館で逢引をしていたとか、カフェテラスで仲良い姿を見たとか……貴女がいるのに酷いじゃないの!」

「う――ん。そうねでもね、同じクラスで同じ班で仲良くしているっているだけなんではなくて? 噂になっている事については、私も殿下にさり気なく聞いてみるから大丈夫よ。教えてくれてありがとねモニカ」

「……フランがそういうなら仕方がないわ。でも何かあったら相談してね」


 いい友達を持ったわ。こんなに私の事を心配してくれるなんて。モニカとは幼い頃からの友達で親友と言っても過言ではない。同じ伯爵家で両親とも交流があるという事で仲良くしている。

 そしてモニカはクラウディオが我儘な事を知っている数少ない人だ。


 私とクラウディオの婚約が決まった時も心配してくれていた。婚約は自分達の意思ではなかったし王家との婚約だから思っていても嫌! などと言えない。


「全く! あの我儘なお子ちゃまにフランは勿体ないわよ」

 ぶつぶつと文句をいう。

「モニカがそう言ってくれると少し楽になるわ。たしかに我儘だもの」

 くすくすと笑い出すとモニカは

「ランチタイムだってフランと過ごしたいのに、あの我儘に付き合わされてフランが自ら作っているのでしょう? それに関して感謝の気持ちもないなんて……いつかぎゃふんといわせたいわね!」


「ぎゃふんだなんて。普段の生活で言うことある?」

 言い回しが面白くてつい笑ってしまった。


「あって欲しいと言う願望かしら? 内緒よ。不敬罪だもの」

「もちろん言わないわ。二人だけの秘密ね」







 ふふっと二人で笑っていたが、近い将来まさかあんな形でぎゃふんという羽目になるとはクラウディオも思っていないでしょうね。
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