夢でも良いから理想の王子様に会いたかったんです

さこの

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その7

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沈黙がつづく。

「マリー何をしているの?」
沈黙を破ったお兄様から一言

「何って。ベッドにずっと居ても暇なんだもん」

「さっき熱が出て父上に運ばれたと記憶しているんだけど?」

「だってフランと遊びたいんだもん」

「話にならないね早く部屋に戻りなさい」
とても素敵な笑顔だ!お、怒っている

「………はいお兄様。フランも行こ」
と手を繋いで後ろを向いた。

「フランはダメだよ話があるからね」

ひどい……涙が出てきた。中身はアラサーだけど8歳の女の子だもん。怒られたら泣いちゃうわよ。フランが癒しなのにフランまで取り上げるの?悲しい
「……ぐすん」

「おい。可哀想な事言うなよ。熱が少し出ても遊びたい時くらいあるだろう」
と殿下が口添えしてくれた。

「……居たんだ」と心の声が漏れる。

「………おい!居て悪かったな。調子はどうだ?心配していたんだぞ。」

「マリー先ずは挨拶しよっか」

お兄様の言う通りねレディたるもの挨拶はちゃんとしなきゃ。家庭教師の先生に怒られちゃうわ。

「殿下におかれましてはーー」
と淑女の礼を取ろうとしたとき

「そのような挨拶は良い。質問に答えろ」

ムムムム…。挨拶の言葉を遮るなんて、紳士じゃないわね!っていうか本当に王子なの?

前世の王子様はまず『『今日は来てくれてありがとー会いたかったよー!!』』とか言ってくれてたのに!ファンを大事にしなさいよ。ファンってね、応援している年数に関わらず離れるのは一瞬って事もあるんだからね!
まぁ来たのはあちらからだからこの挨拶はおかしいわね。って違うの。挨拶は大事って事!!


ぶすっとした顔で殿下の方に目を向ける。
殿下の方が身長が大きいから下から見上げる形になる。小さいのは自覚してるの。
さっき泣いちゃったから涙目のままだけど

「はい。まだ風邪の症状はありますが元気ーー」
お兄様の背後から冷たい空気が出ているようで今だかつて見たことのない怖い顔でこちらを睨みつける。怖い怖いこわいーーー。

「になったり?急に?ね、熱が出たり?咳が出たり?と日によって症状が違うの?です」

お、お兄様?どう?私正解出した?合ってる?お願い合っててーー。
ブルブルと震える……

「そういう訳で殿下の御前に出せるような身体ではまだ無いんですよ」
と、お兄様がこちらに近寄り頭を撫でてくれた。合ってた!正解!大正解ーー。
嬉しくってお兄様に抱きつく。

「そうか?まぁ?今日はローズマリア嬢の顔が見れたから良しとするか……?」

ん?殿下の顔が赤いわ。風邪かしら?もしかしてうつしちゃったのかしら?
ど、どうしよう。また涙が出てくる。

「お兄様、殿下の顔が赤いの。マリー風邪うつしてない?」

お兄様が殿下を見て

「これはマズいですね。殿下はやくお帰りになってください。王宮の医師に早く診てもらった方が良いですよ。大事なお身体ですからね!フランソワは父上を呼んで来てくれ、殿下がお帰りになるぞ!」

「はい兄上!」

ピュッと駆けていくフラン。
そんなに早く走って転ばないかしら?ハラハラしながら見守っていると、

「ローズマリア嬢、これは見舞いの品だ。受け取ってくれ。」

殿下から差し出されたのは、細工が細かくて綺麗な綺麗な青いブルースターの髪飾りだった…。

「……かわいいッ」

と素直に言うと

「この前は悪かったな。悪気は無かったんだがあのようなことになってしまって反省している」

「もう過ぎた事ですから気にしてません」
と笑顔で答えると

更に顔が赤くなった殿下の頬につい手を添えてしまい
「早くお医者さんに診てもらって下さーー」

「マリー!イケナイ子だよねぇ。熱があるのに殿下に触れるなんて!」
「パパ」
と言うと同時にまたお姫さま抱っこをされた

「殿下お帰りのようですね。なんのお構いも出来ませんで申し訳ございませんでした。体調が優れないようですね?さぁさぁ、王宮へお帰りください。皆んな殿下をお見送りだ」
とお父様が珍しく早口で言い、
長い足で颯爽と歩き玄関ホールまで行き殿下を見送る。

パパってば私を軽々と抱き上げてもうかっこいい。好き。キュと首元に縋り付く。
満面の笑みで頭のてっぺんにキスを落としてくれる。あ~ん。幸せ死んでも良い……って
ダメダメ。また逝っちゃう所だったわ。
死ぬのは嫌なんだから。


あら?殿下ってばいつの間にお帰りになったのかしら?



ブルースターの髪飾りをギュと握っていた。



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