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73話
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ミリル様はオリソン国に留学してきた。
彼女のお世話に任命されたのがフェリックス様だった。
他国とはいえ元王太子で今はオリソン国の次期公爵として、この国を代表する青年になったフェリックス様が指名された。
本来なら女性が傍についていろいろお教えするのでは?と思ったら、ミリル様からの希望だった。
フェリックス様は……確かに見た目もカッコいい。なんでもそつなくこなすし、会話も上手い。
一緒にいて楽しいし……ドキドキする。
以前は雲の上の存在で皆憧れてはいても近寄ることはできないお方だった。
でもオリソン国では、話しかけやすくなって人気がとても高い。
そんな彼とお付き合いしていた私だったのに、友人たちに守られ過ぎて、耳に入ることなく何も知らなかった。
離れてみてわかる。
彼がどんなに魅力的で彼がどんなに人気があるのか。
彼がその場にいるだけでみんなが彼を意識している。
そして今王女殿下と常に二人でいる姿は、美男美女がまるで劇のワンシーンにいるようだ。
とても眩しくて華やか。
私とフェリックス様の二人でいる時は誰かに振り返られることなんてなかったな。
もう二人へ視線は向けたくない。
「早く行こう」
「うん」
「やばい、遅れたら怒られちゃう」
駆け足で教室へと向かった。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「何をみているのかしら?」
「うん?いや、別に。みんな急いで教室へ帰っているなと思って。俺たちもそろそろ教室へ戻ろう」
「ふふ。別に急がなくてもいいわ。授業なんて聞かなくてもわかるし、私達に必要なのは卒業したという証明だけよ」
「せっかくの学生生活なんだ。楽しまないともったいないよ?貴女だって息苦しい王宮の中での暮らしで自由なんてなかったんだろう?この国に留学したんだから少しでも楽しんで欲しい」
「楽しんでいるわ。授業が楽しいなんてあり得ないわ?」
「そうか?俺はもう学生として過ごせるのはあと少しだから授業も受けたいし……ここで……」
突然フェリックスは声が小さくなった。
「……と過ごしたかった」
「え?何?」
キョトンとしたミリルは笑顔になった。
「もう!フェリックスったらわたくしと過ごせて嬉しいのね?わたくしもあなたに出会えてよかったわ」
「ああ、うん」
「じゃあ、教室へ戻りましょう。放課後はまた付き合ってもらうわよ?今日は劇を見たいと思ってチケットを取ってもらっているの。この国に来たらぜひ見てみたかった劇なの」
「お姫様の仰せの通り、喜んでエスコートさせていただきます」
「よろしくね?フェリックス?」
「はい」
二人は顔を見て微笑みあっていた。
周囲はそんな二人をそっと見守っていた。
そこにビアンカという恋人がいたことは忘れ去られもう過去になっているようだった。
彼女のお世話に任命されたのがフェリックス様だった。
他国とはいえ元王太子で今はオリソン国の次期公爵として、この国を代表する青年になったフェリックス様が指名された。
本来なら女性が傍についていろいろお教えするのでは?と思ったら、ミリル様からの希望だった。
フェリックス様は……確かに見た目もカッコいい。なんでもそつなくこなすし、会話も上手い。
一緒にいて楽しいし……ドキドキする。
以前は雲の上の存在で皆憧れてはいても近寄ることはできないお方だった。
でもオリソン国では、話しかけやすくなって人気がとても高い。
そんな彼とお付き合いしていた私だったのに、友人たちに守られ過ぎて、耳に入ることなく何も知らなかった。
離れてみてわかる。
彼がどんなに魅力的で彼がどんなに人気があるのか。
彼がその場にいるだけでみんなが彼を意識している。
そして今王女殿下と常に二人でいる姿は、美男美女がまるで劇のワンシーンにいるようだ。
とても眩しくて華やか。
私とフェリックス様の二人でいる時は誰かに振り返られることなんてなかったな。
もう二人へ視線は向けたくない。
「早く行こう」
「うん」
「やばい、遅れたら怒られちゃう」
駆け足で教室へと向かった。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「何をみているのかしら?」
「うん?いや、別に。みんな急いで教室へ帰っているなと思って。俺たちもそろそろ教室へ戻ろう」
「ふふ。別に急がなくてもいいわ。授業なんて聞かなくてもわかるし、私達に必要なのは卒業したという証明だけよ」
「せっかくの学生生活なんだ。楽しまないともったいないよ?貴女だって息苦しい王宮の中での暮らしで自由なんてなかったんだろう?この国に留学したんだから少しでも楽しんで欲しい」
「楽しんでいるわ。授業が楽しいなんてあり得ないわ?」
「そうか?俺はもう学生として過ごせるのはあと少しだから授業も受けたいし……ここで……」
突然フェリックスは声が小さくなった。
「……と過ごしたかった」
「え?何?」
キョトンとしたミリルは笑顔になった。
「もう!フェリックスったらわたくしと過ごせて嬉しいのね?わたくしもあなたに出会えてよかったわ」
「ああ、うん」
「じゃあ、教室へ戻りましょう。放課後はまた付き合ってもらうわよ?今日は劇を見たいと思ってチケットを取ってもらっているの。この国に来たらぜひ見てみたかった劇なの」
「お姫様の仰せの通り、喜んでエスコートさせていただきます」
「よろしくね?フェリックス?」
「はい」
二人は顔を見て微笑みあっていた。
周囲はそんな二人をそっと見守っていた。
そこにビアンカという恋人がいたことは忘れ去られもう過去になっているようだった。
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