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美味しいパンが焼けた
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沢山捏ねたパン生地。
朝早く起きていろんなパンを焼いた。
一人で黙々と作るこの作業がとても好きだ。
焼き上がる頃に厨房にみんなが朝食を作りにやって来た。
「おはよう!ユウナ!」
「すごい、いい匂い!たくさんのパンが焼けたのね」
「ねえ、せっかくだからサンドイッチを作ろうよ」
みんなパンの美味しそうな匂いにつられて、朝食のメニューを変えてパンに合わせて作ることにした。
わたしはチキンをソテーして、ソースを作り、サラダやベーコン、ウインナーなど好きな具材を挟んで食べられるようにした。
騎士さん達がゾロゾロと来て
「うわ、いい匂い、美味そうだ」
と言いながら頬張って食べてくれるのをニヤニヤしながら厨房から見て満足していた。
パンを捏ねてストレスも発散できたし今日はいい一日を過ごせそう。
◇ ◇ ◇
そして夜は、一仕事終えて久しぶりに庭に出てベンチに座りボッーとしていると、団長さんが現れた。
「ユウナ久しぶりだな」
「…………そうですね」
こんな時は笑顔で挨拶するべきなのか……お互い気不味い空気の中、だからと言ってさっさと帰るわけにもいかず黙って座っていた。
「………あれからリリーさんのことは大丈夫だろうか?」
「はい、もうわたしの前に現れることはないと思います。団長さんにもご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「あれは俺が悪かった。リリーさんの話を間に受けて会ってしまったんだからな、その後もリリーさんとユウナを二人だけで会わせてしまったこと後悔してるんだ」
「わたしが決着をつけたかったんです、ついて来ないで欲しいとお願いしたのもわたしです。やっとこれでアッシュとの繋がりも完全に切れてスッキリしました」
「……そうか」
「団長さんも好きな人とやっと思いが通じたみたいですね、良かったですね」
「??なんのことだ?」
団長さんは驚いた顔をしてわたしを見た。
「昨日、ロリーと入ったお店で団長さんをお見かけしたんです」
ーー綺麗な女性と。
この一言は言わなかった。
「…あ、あれは……元妻だ」
「奥さん?」
「そうだ、変なところを見られてしまったんだな」
「そうですか、奥様と寄りを戻すんですね、良かったですね」
「違う!相談があると言われて押しかけて来たんだ!」
「あ、そうだったんですか」
ーーまあ、わたしには関係のないことだし、そろそろお暇しよう。
「では団長さん、お先に帰りますね」
わたしが立って帰ろうとしたら
「ちょっと待ってくれ」
わたしの手首をガッツリと掴まれた。
「痛い」
思わず声が出てしまった。
「すまない、痛かったか?」
「大丈夫です」
ーー本当はかなり強い力で掴まれたのでかなり痛かったけど、笑って誤魔化した。
「ユウナ、最近避けられているのは分かっている。誤解されているのもわかっているんだ」
「誤解?」
「そうだ、俺に好きな人がいるのは確かだ。しかしそれは元妻ではない。………ユウナ君なんだ!」
「わ、わたしですか?」
思ってもみなかった団長さんの言葉にわたしは驚き、どう返事をするべきかわからなかった!
「ユウナ!遅れてごめん!」
わたしの肩をポンっと叩きロリーが笑顔でやって来た。
「あ、う、うん、遅かったねロリー、サアイキマショウ」
わたしとロリーは団長さんに頭を下げて二人で急いで団長さんから離れた。
「ロリー、助かった!」
「なんか二人の空気がおかしかったから声をかけたんだ」
「そっか、そんなに変だった?」
「いや、ユウナは昨日の団長と女の人の姿を見てからずっとおかしいけどね。心配になってもしかして庭にいるかなって思って探しにきてたんだ」
「そっか、そっか、おかしいのか……」
わたしは心ここに在らずという感じで、返事をしていた。
「ユウナ、何かあった?」
「うーん、そうだね、何かあったかもしれない」
ロリーに言うべきか言わないでおくべきか……
て言うか団長さんに好きだと言われたこと自体どうするべきか……
よくわからない自分がいた。
朝早く起きていろんなパンを焼いた。
一人で黙々と作るこの作業がとても好きだ。
焼き上がる頃に厨房にみんなが朝食を作りにやって来た。
「おはよう!ユウナ!」
「すごい、いい匂い!たくさんのパンが焼けたのね」
「ねえ、せっかくだからサンドイッチを作ろうよ」
みんなパンの美味しそうな匂いにつられて、朝食のメニューを変えてパンに合わせて作ることにした。
わたしはチキンをソテーして、ソースを作り、サラダやベーコン、ウインナーなど好きな具材を挟んで食べられるようにした。
騎士さん達がゾロゾロと来て
「うわ、いい匂い、美味そうだ」
と言いながら頬張って食べてくれるのをニヤニヤしながら厨房から見て満足していた。
パンを捏ねてストレスも発散できたし今日はいい一日を過ごせそう。
◇ ◇ ◇
そして夜は、一仕事終えて久しぶりに庭に出てベンチに座りボッーとしていると、団長さんが現れた。
「ユウナ久しぶりだな」
「…………そうですね」
こんな時は笑顔で挨拶するべきなのか……お互い気不味い空気の中、だからと言ってさっさと帰るわけにもいかず黙って座っていた。
「………あれからリリーさんのことは大丈夫だろうか?」
「はい、もうわたしの前に現れることはないと思います。団長さんにもご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「あれは俺が悪かった。リリーさんの話を間に受けて会ってしまったんだからな、その後もリリーさんとユウナを二人だけで会わせてしまったこと後悔してるんだ」
「わたしが決着をつけたかったんです、ついて来ないで欲しいとお願いしたのもわたしです。やっとこれでアッシュとの繋がりも完全に切れてスッキリしました」
「……そうか」
「団長さんも好きな人とやっと思いが通じたみたいですね、良かったですね」
「??なんのことだ?」
団長さんは驚いた顔をしてわたしを見た。
「昨日、ロリーと入ったお店で団長さんをお見かけしたんです」
ーー綺麗な女性と。
この一言は言わなかった。
「…あ、あれは……元妻だ」
「奥さん?」
「そうだ、変なところを見られてしまったんだな」
「そうですか、奥様と寄りを戻すんですね、良かったですね」
「違う!相談があると言われて押しかけて来たんだ!」
「あ、そうだったんですか」
ーーまあ、わたしには関係のないことだし、そろそろお暇しよう。
「では団長さん、お先に帰りますね」
わたしが立って帰ろうとしたら
「ちょっと待ってくれ」
わたしの手首をガッツリと掴まれた。
「痛い」
思わず声が出てしまった。
「すまない、痛かったか?」
「大丈夫です」
ーー本当はかなり強い力で掴まれたのでかなり痛かったけど、笑って誤魔化した。
「ユウナ、最近避けられているのは分かっている。誤解されているのもわかっているんだ」
「誤解?」
「そうだ、俺に好きな人がいるのは確かだ。しかしそれは元妻ではない。………ユウナ君なんだ!」
「わ、わたしですか?」
思ってもみなかった団長さんの言葉にわたしは驚き、どう返事をするべきかわからなかった!
「ユウナ!遅れてごめん!」
わたしの肩をポンっと叩きロリーが笑顔でやって来た。
「あ、う、うん、遅かったねロリー、サアイキマショウ」
わたしとロリーは団長さんに頭を下げて二人で急いで団長さんから離れた。
「ロリー、助かった!」
「なんか二人の空気がおかしかったから声をかけたんだ」
「そっか、そんなに変だった?」
「いや、ユウナは昨日の団長と女の人の姿を見てからずっとおかしいけどね。心配になってもしかして庭にいるかなって思って探しにきてたんだ」
「そっか、そっか、おかしいのか……」
わたしは心ここに在らずという感じで、返事をしていた。
「ユウナ、何かあった?」
「うーん、そうだね、何かあったかもしれない」
ロリーに言うべきか言わないでおくべきか……
て言うか団長さんに好きだと言われたこと自体どうするべきか……
よくわからない自分がいた。
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