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落ち着いたのに、なんでイライラするのかしら?
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アッシュが去って、リリーも去った。
リリーと弟君達からお詫びの手紙が届き、リリーは色々と(男)問題を起こしていて、もうこれ以上庇うことも出来ないと、母親が修道院へ入れたそうだ。
ーーこれでもう突撃はない……ホッ。
団長さんは相変わらず優しいけど、リリーの件から少し余所余所しい。
まあ、だからと言って好きな人がいる団長さんと仲良くするわけにもいかないので、わたし自身もあまり関わらないようにしているのでお互い様かも。
アッシュと別れて半年。
わたしは騎士団の食堂で楽しく働かせてもらっている。
が、また最近皆さんのお誘いが増えた。
「ユウナ、新しい喫茶店が出来たらしいんだ、一緒に行かないか?」
「今度休みの日にデートしよう」
「付き合おう、好きなんだ」
みんな、軽く言ってくるのだけどわたしの心に響かない。
だって、恋なんてもうしない。
そう思って過ごしているんだもん。
ロリーは相変わらず「ユウナ、飯でも行く?」
軽く声をかけてくれるのでとても楽なので、ロリーと過ごす時間が増えてきた。
「ねえロリー、最近なんでみんなわたしに声をかけてくるのかしら?今まではなかったのに、突然だよ?」
「ユウナはどう思ったの?」
「え?突然のモテ期?だってわたしアッシュとしか付き合ったことないしアッシュと結婚したし、離婚して半年しか経っていないから、はっきり言って『困る』かな」
「新しい恋はしないの?」
「へ?誰と?いつ?」
「……ま、ユウナはアッシュ一筋だったから簡単に次の恋なんてしないか」
「うーん、正直面倒くさいかな?」
わたしはオレンジジュースを一気に飲んで、ロリーを見た。
「ロリーこそ最近女の子の間で人気が出てきてるわよ、誰か好きな子いないの?」
「俺?俺こそいいや、なんかユウナ達みてたらそれこそ面倒だと思ってしまった」
「ええ?わたしの所為?」
「本気で好きになった子と付き合いたい、俺、アッシュ兄みたいに誰にでも優しすぎるのって間違ってる気がするんだ。好きな子を裏切ってまで優しくするのはおかしいだろう?」
「うんそうだね、ロリーにはちゃんと恋愛して欲しい」
そう言うと、
「ユウナこそリリーさんとのこと一言くらい俺にも相談して欲しかったよ、知ったのが全て終わってからだなんて、ちょっと寂しかったよ、幼馴染だろう?」
「ごめんなさい、なんかいっぱい一杯で、一人でなんとかしなきゃって思ったんだ」
「次何かあったら相談して」
ロリーが突然変な顔をした。
「ねえ、向こうにいるの団長じゃない?」
「え?」
わたしが振り向くと団長さんの後ろ姿が見えた。
団長さんの向かいに座っているのは、綺麗なお姉さんだった。
ーーあの綺麗な人が団長さんの想い人?
あ、また、チクってした……
今回は女性は楽しそうに話しているようには見えない。
でもあまりジロジロ見るのも失礼だし……
「ロリー、帰ろう」
わたしは団長さんに気づかれないように席を立ち、団長さんを避けてお店の外に出た。
「ユウナ、団長のこと気になるんだろう?」
ーーなに直球でわたしに言うの!
「……………別に」
わたしはモヤモヤしながら寮に帰ると、休憩中の厨房に顔を出した。
「あら?ユウナどうしたの?」
「ちょっとお菓子作りがしたくなっちゃって、空いている間に作ってもいいですか?」
「うん、もちろんよ!何を作るの?」
「ドライフルーツ買ってきたのでパウンドケーキ作ろうとかと思ってます」
「あ!それわたしも食べたい!」
「じやあ、わたしも!」
「待っててくださいね」
ーー本当はこんな時はパンを捏ねたいんだけど時間的に無理だから簡単に作れるものよね。
わたしは、仕方なく一心不乱に生地を混ぜた。
まあ、すぐに混ぜ終わったけど。
やっぱりパンを捏ねたくなって厨房の端っこで邪魔にならないようにパンも作り始めた。
明日の朝には美味しいパンが山盛りできているはず。
わたしがパンを捏ねている間、横ではみんなが出来上がったパウンドケーキを頬張っていた。
「ユウナ、これ美味しいよ、一緒に食べよう!」
ーーいや、それわたしが焼いたんですけど?
わたしは返事もせず黙々とパン生地を捏ねる。
生地を台に擦り付けるようにして捏ね、まとまってきたら、たたきつけて折り返して生地の向きを90°変え、これを繰り返す。
この叩きつける時が快感。
捏ねくり回すのも快感。
何も考えずに……うん?なんで何も考えないんだろう?
うん、なんでイライラするんだろう?
よくわからないけど明日は美味しいパンをたくさん食べよう。
そして、ふと思い出してパウンドケーキを食べようと思ったら………もうなかった。
「え?ユウナも食べるつもりだったの?」
「全部食べちゃった」
はあー。
リリーと弟君達からお詫びの手紙が届き、リリーは色々と(男)問題を起こしていて、もうこれ以上庇うことも出来ないと、母親が修道院へ入れたそうだ。
ーーこれでもう突撃はない……ホッ。
団長さんは相変わらず優しいけど、リリーの件から少し余所余所しい。
まあ、だからと言って好きな人がいる団長さんと仲良くするわけにもいかないので、わたし自身もあまり関わらないようにしているのでお互い様かも。
アッシュと別れて半年。
わたしは騎士団の食堂で楽しく働かせてもらっている。
が、また最近皆さんのお誘いが増えた。
「ユウナ、新しい喫茶店が出来たらしいんだ、一緒に行かないか?」
「今度休みの日にデートしよう」
「付き合おう、好きなんだ」
みんな、軽く言ってくるのだけどわたしの心に響かない。
だって、恋なんてもうしない。
そう思って過ごしているんだもん。
ロリーは相変わらず「ユウナ、飯でも行く?」
軽く声をかけてくれるのでとても楽なので、ロリーと過ごす時間が増えてきた。
「ねえロリー、最近なんでみんなわたしに声をかけてくるのかしら?今まではなかったのに、突然だよ?」
「ユウナはどう思ったの?」
「え?突然のモテ期?だってわたしアッシュとしか付き合ったことないしアッシュと結婚したし、離婚して半年しか経っていないから、はっきり言って『困る』かな」
「新しい恋はしないの?」
「へ?誰と?いつ?」
「……ま、ユウナはアッシュ一筋だったから簡単に次の恋なんてしないか」
「うーん、正直面倒くさいかな?」
わたしはオレンジジュースを一気に飲んで、ロリーを見た。
「ロリーこそ最近女の子の間で人気が出てきてるわよ、誰か好きな子いないの?」
「俺?俺こそいいや、なんかユウナ達みてたらそれこそ面倒だと思ってしまった」
「ええ?わたしの所為?」
「本気で好きになった子と付き合いたい、俺、アッシュ兄みたいに誰にでも優しすぎるのって間違ってる気がするんだ。好きな子を裏切ってまで優しくするのはおかしいだろう?」
「うんそうだね、ロリーにはちゃんと恋愛して欲しい」
そう言うと、
「ユウナこそリリーさんとのこと一言くらい俺にも相談して欲しかったよ、知ったのが全て終わってからだなんて、ちょっと寂しかったよ、幼馴染だろう?」
「ごめんなさい、なんかいっぱい一杯で、一人でなんとかしなきゃって思ったんだ」
「次何かあったら相談して」
ロリーが突然変な顔をした。
「ねえ、向こうにいるの団長じゃない?」
「え?」
わたしが振り向くと団長さんの後ろ姿が見えた。
団長さんの向かいに座っているのは、綺麗なお姉さんだった。
ーーあの綺麗な人が団長さんの想い人?
あ、また、チクってした……
今回は女性は楽しそうに話しているようには見えない。
でもあまりジロジロ見るのも失礼だし……
「ロリー、帰ろう」
わたしは団長さんに気づかれないように席を立ち、団長さんを避けてお店の外に出た。
「ユウナ、団長のこと気になるんだろう?」
ーーなに直球でわたしに言うの!
「……………別に」
わたしはモヤモヤしながら寮に帰ると、休憩中の厨房に顔を出した。
「あら?ユウナどうしたの?」
「ちょっとお菓子作りがしたくなっちゃって、空いている間に作ってもいいですか?」
「うん、もちろんよ!何を作るの?」
「ドライフルーツ買ってきたのでパウンドケーキ作ろうとかと思ってます」
「あ!それわたしも食べたい!」
「じやあ、わたしも!」
「待っててくださいね」
ーー本当はこんな時はパンを捏ねたいんだけど時間的に無理だから簡単に作れるものよね。
わたしは、仕方なく一心不乱に生地を混ぜた。
まあ、すぐに混ぜ終わったけど。
やっぱりパンを捏ねたくなって厨房の端っこで邪魔にならないようにパンも作り始めた。
明日の朝には美味しいパンが山盛りできているはず。
わたしがパンを捏ねている間、横ではみんなが出来上がったパウンドケーキを頬張っていた。
「ユウナ、これ美味しいよ、一緒に食べよう!」
ーーいや、それわたしが焼いたんですけど?
わたしは返事もせず黙々とパン生地を捏ねる。
生地を台に擦り付けるようにして捏ね、まとまってきたら、たたきつけて折り返して生地の向きを90°変え、これを繰り返す。
この叩きつける時が快感。
捏ねくり回すのも快感。
何も考えずに……うん?なんで何も考えないんだろう?
うん、なんでイライラするんだろう?
よくわからないけど明日は美味しいパンをたくさん食べよう。
そして、ふと思い出してパウンドケーキを食べようと思ったら………もうなかった。
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