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ある男の呟き

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俺は騎士になった。

ラウル・ベルアート第2隊副隊長は、見目麗しく公爵当主。騎士という荒っぽいイメージと違い話し方が柔らかく優しい雰囲気が貴族の女性を虜にしていた。

俺たち騎士は、貴族は勿論平民も実力と根性(特に平民)さえあればなれる憧れの仕事。

騎士になれば、収入も平民の何倍もあり、寄ってくる女はいくらでもいる。

独身男からすればやり放題だ!

特に辺境の地などに数ヶ月派遣されると気付けばそこで現地妻がいる奴もいる。

もちろん家族には内緒だが、まあ生活費くらいは渡せるしたまに会う家族ごっこを楽しむ馬鹿な奴らは、それを楽しそうに豪語する。

「男は本妻と別に家庭くらい持つくらいの甲斐性がないと騎士として恥ずかしいぞ」

俺は思う。いや、お前それおかしいだろ!

大体一夫一妻制なんだからそれ愛人でしかないだろう!

「今夜はどの女と一晩遊ぶ?」

「あいつ最近未亡人と付き合い出したらしいぜ」

こんな会話を入隊直後から聞いていた俺たちは、これが常識?なのかと錯覚してしまう。

もちろん団長のように、奥さん一筋で有名な人もいる。

他の隊長達もそんな馬鹿ばかりではない。

だが、一部には若気の至りで、今まで持ったことがない大金と女が寄ってくるという状況に浮かれ馬鹿をする奴らが多いのも事実だ。

ちなみに俺は忘れられない女の子がいるから女と遊ぼうという気にもなれない。

そのあいつらの一人がラウル・ベルアートだった。

あいつはとにかくモテる。優しいのだ。
特に女性に対して。

まあ、あいつに付いた先輩グループが特に女好きだった影響で素直なあいつは馬鹿だから、来るもの拒まずなところはあった。

「お前、女からきたらとりあえず抱いてやらなきゃ可哀想だぞ!」

「それが常識だ」

そんな常識あるわけがない!

だが、あいつは入隊が早く先輩達の姿を13歳から見ていたのでそれが普通だと疑わなかった。

いや、疑えよ!!

まぁだからといって自分から鬼畜な事をしているわけではなく、抱いてほしいとくる女を断らないだけなので独身ならまあ許されただろう。

でもやはりあいつは馬鹿だ。
あ、ちなみにラウルは勉強はかなりできた。ただ、人間として馬鹿なだけだ。

学園でも美少女と言われ有名だったシャノン・ロスワートと結婚した。

銀髪の長いサラサラの髪は思わずキスしたくなる綺麗さ。
黒い瞳に見つめられるとドキッとした。
さらに知的で学年一位の頭脳、平民にも分け隔てなく話す姿はみんなの憧れだった。

本人は恥ずかしがり屋で話せなくなると真っ赤になったり固まったりして、自分はダメな子だと落ち込んでいたが。

ちなみに彼女は俺の幼馴染で俺の初恋の子でもある。

なのにあいつは馬鹿だから他の女を騎士団訓練所の執務室で抱いているたことを上層部にバレてしまった。

誰がバラしたのかわからないが問題となり謹慎処分がくだされた。

普通なら降格くらいのはずだが、除隊となった。

なんらかの力が働いたのか?
他に何かあったのか?
と噂が出ているが、本当のことは上層部しか知らない。

その話はみんなの中で馬鹿な男だ、ドジな奴で終わるはずだった。

アイリスとラウルの情事から始まり団長、第一から第四部隊の隊長、副隊長が一斉に顔を揃えた。

話し合いは、宰相や執政官、近衛騎士団長なども集まりかなり深刻な話し合いになった。

そして全ての団員が集められ、騎士団の不貞問題の膿を出し切る!と言われた。

そう。ラウルの不貞が他の団員の不貞まで洗い出されることになったのだ。

何もない俺にとっては

「どうぞお好きに」

だが、困る奴等は顔色が悪い。

まぁ自由恋愛もあるしそこまで深くは掘り下げないだろうが、目に余る奴らには、減給、謹慎処分が言い渡されるらしい。


さらにこれが王宮の官僚にまで及ぶことになり、かなりの貴族が頭を抱えているようだ。

エロじじいども、一回赤っ恥をかいて少しは反省しろ!

まあ、これは序の口、アイリスがやらかしたことは大事件になっていった。




















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