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6話 ジェフ編 過去
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わたしの選択は間違えだらけだった。
娘を愛していた。
妻が亡くなり辛い寂しさを紛らすように仕事に邁進していたが子ども達を愛していた。
長男のスコットは13歳から寮に入り学園に通っていたためなかなか会えなかった。
エリーゼは仕事が忙しいのでなかなか会えなかったが、幼い頃はよく笑う可愛い娘だった。
いつからか無表情になり笑わなくなった。
それでも時折見れる笑顔は天使のように可愛らしかった。
わたしが国王陛下に頼まれて宰相として働き出してからはほとんど屋敷へ帰れなくなった。
とにかく忙しい。王宮での仕事と公爵としての仕事。補佐として何人も優秀な人材を雇い入れてなんとかこなしているが、エリーゼとスコットに会いに行けなかった。
第一王子は、うちの娘に一目惚れしていた。
わたしがたまたま休日で娘と出掛けた時に王宮から呼び出しがあり仕方なく娘を連れて執務室へ向かっていた時に第一王子と出会った。
「バセット公、その子は誰?」
6歳の王子が4歳になったばかりの娘に興味を持った。
抱っこしていたエリーゼを降ろすと、エリーゼは覚えたての可愛らしいカーテシーを王子にした。
笑顔でにっこり笑って
「王子ちゃま、こんにちわ」
とエリーゼが言うと王子は真っ赤になりながら
「エリーゼ、こんにちわ」
と挨拶を返した。
この頃のエリーゼはまだ笑っていた。
エリーゼが表情がなくなったのは、兄のスコットが学園に入ってからだった。
一人っきりで屋敷で過ごすエリーゼを気にかけるのは下の者達なので、エリーゼと親しい会話をするものがいなくなった。
さらにお兄様っ子だったエリーゼにとって、スコットがいなくなったのはとても寂しかったようだ。
陛下に頼まれて6歳になったエリーゼをお茶会に参加させた。
本当はずっとそばに着いていてやりたかったが忙し過ぎてエリーゼを一人で置いていくしかなかった。
お茶会で再びあった王子はエリーゼを婚約者にしたいと強い希望があり了承するしかなかった。
そして、王子妃教育が始まり可愛い笑顔のエリーゼは氷姫と呼ばれるほどに笑わない子に育ってしまった。
第一王子から王太子殿下になられた頃、陛下が病床についた。
シーモア・ハウエル公爵は貴族派の筆頭で何かと殿下の公務の邪魔をしてきた。さらに不正をしていることもわかっていた。
殿下の婚約者の立場を狙うシーモア・ハウエル公爵の娘マリーナ様にでんかは態とに懐柔された振りをして、公爵達貴族派の不正の証拠を掴もうとした。
エリーゼも公爵爵達貴族派に命を狙われていた。
わたしは、娘を屋敷に閉じ込めて軟禁状態にした。
表面上は、殿下の愛するマリーナ様への嫉妬から虐めをしたエリーゼの謹慎のためとした。
娘を屋敷で守っている間に貴族派の不正の証拠を必死で探し出し集めていた。
その間に殿下はマリーナ様に懐柔された振りをしていたが、本当に一線を越えてしまった。
「殿下、もう貴方はエリーゼに対して言い訳は出来ません。婚約破棄をしてマリーナ様とご結婚してください」
「嫌だ。わたしはエリーゼだけを愛している。証拠を集めるためにマリーナを抱いているんだ。愛してなどいない」
「それはただの方便でしょう。貴方はエリーゼを裏切っている。例え貴族派の事件が解決してマリーナ様と別れても貴方のしたことは変わらない。
わたしは娘がかわいい。お願いです、婚約破棄してください」
「わたしはエリーゼと結婚する。彼女を愛しているんだ」
「エリーゼには貴方の愛は伝わっておりません、貴方もわたしもあの子に優しく接することを怠った。あの子はわたし達を信用していないし、愛していない」
「うるさい!下がれ!」
殿下はわたしの話を聞いてはくれなかった。
そして殿下が本当はエリーゼを愛しているのではないかと疑い始めたマリーナ様を騙すために、マリーナの言葉を鵜呑みにした振りをした。
殿下はエリーゼをマリーナ殺害未遂容疑で我が屋敷から連れ去り牢屋に入れた。
そしてマリーナ様とシーモア・ハウエル公爵はエリーゼを地下牢へ連れて行き首を刎ねて殺した。
マリーナ様は娘を殺したその直後、殿下に抱かれて朝まで過ごしたらしい。
そしてマリーナ様を抱き、朝になってやっと娘の死を知ったと殿下に聞かされた時は、殿下もマリーナ様も殺してやりたかった。
しかし全てを犠牲にしてでも探し出している証拠をあと少しで完全に見つけ出せる所だったので、踏ん張り続けた。
この事件さえ解決すれば殿下を殺してわたしも死ぬつもりだった。
そして、全てが解決した後わたしは娘の墓へ行った。
墓参りをした後殿下を殺して自分も死ぬつもりで。
墓に行くとそこには自ら首を斬りつけ死んでいた殿下がいた。
わたしは娘に頭を下げて自らも首を斬り死んだ………はずだったのに、10年前のお茶会の日になっていた。
わたしは今さらお茶会を拒否出来ずに仕方なくエリーゼを連れて行ったが、本当はやめさせたかった。
わたしはそこから過去を反省して変わることにした。
娘を愛していた。
妻が亡くなり辛い寂しさを紛らすように仕事に邁進していたが子ども達を愛していた。
長男のスコットは13歳から寮に入り学園に通っていたためなかなか会えなかった。
エリーゼは仕事が忙しいのでなかなか会えなかったが、幼い頃はよく笑う可愛い娘だった。
いつからか無表情になり笑わなくなった。
それでも時折見れる笑顔は天使のように可愛らしかった。
わたしが国王陛下に頼まれて宰相として働き出してからはほとんど屋敷へ帰れなくなった。
とにかく忙しい。王宮での仕事と公爵としての仕事。補佐として何人も優秀な人材を雇い入れてなんとかこなしているが、エリーゼとスコットに会いに行けなかった。
第一王子は、うちの娘に一目惚れしていた。
わたしがたまたま休日で娘と出掛けた時に王宮から呼び出しがあり仕方なく娘を連れて執務室へ向かっていた時に第一王子と出会った。
「バセット公、その子は誰?」
6歳の王子が4歳になったばかりの娘に興味を持った。
抱っこしていたエリーゼを降ろすと、エリーゼは覚えたての可愛らしいカーテシーを王子にした。
笑顔でにっこり笑って
「王子ちゃま、こんにちわ」
とエリーゼが言うと王子は真っ赤になりながら
「エリーゼ、こんにちわ」
と挨拶を返した。
この頃のエリーゼはまだ笑っていた。
エリーゼが表情がなくなったのは、兄のスコットが学園に入ってからだった。
一人っきりで屋敷で過ごすエリーゼを気にかけるのは下の者達なので、エリーゼと親しい会話をするものがいなくなった。
さらにお兄様っ子だったエリーゼにとって、スコットがいなくなったのはとても寂しかったようだ。
陛下に頼まれて6歳になったエリーゼをお茶会に参加させた。
本当はずっとそばに着いていてやりたかったが忙し過ぎてエリーゼを一人で置いていくしかなかった。
お茶会で再びあった王子はエリーゼを婚約者にしたいと強い希望があり了承するしかなかった。
そして、王子妃教育が始まり可愛い笑顔のエリーゼは氷姫と呼ばれるほどに笑わない子に育ってしまった。
第一王子から王太子殿下になられた頃、陛下が病床についた。
シーモア・ハウエル公爵は貴族派の筆頭で何かと殿下の公務の邪魔をしてきた。さらに不正をしていることもわかっていた。
殿下の婚約者の立場を狙うシーモア・ハウエル公爵の娘マリーナ様にでんかは態とに懐柔された振りをして、公爵達貴族派の不正の証拠を掴もうとした。
エリーゼも公爵爵達貴族派に命を狙われていた。
わたしは、娘を屋敷に閉じ込めて軟禁状態にした。
表面上は、殿下の愛するマリーナ様への嫉妬から虐めをしたエリーゼの謹慎のためとした。
娘を屋敷で守っている間に貴族派の不正の証拠を必死で探し出し集めていた。
その間に殿下はマリーナ様に懐柔された振りをしていたが、本当に一線を越えてしまった。
「殿下、もう貴方はエリーゼに対して言い訳は出来ません。婚約破棄をしてマリーナ様とご結婚してください」
「嫌だ。わたしはエリーゼだけを愛している。証拠を集めるためにマリーナを抱いているんだ。愛してなどいない」
「それはただの方便でしょう。貴方はエリーゼを裏切っている。例え貴族派の事件が解決してマリーナ様と別れても貴方のしたことは変わらない。
わたしは娘がかわいい。お願いです、婚約破棄してください」
「わたしはエリーゼと結婚する。彼女を愛しているんだ」
「エリーゼには貴方の愛は伝わっておりません、貴方もわたしもあの子に優しく接することを怠った。あの子はわたし達を信用していないし、愛していない」
「うるさい!下がれ!」
殿下はわたしの話を聞いてはくれなかった。
そして殿下が本当はエリーゼを愛しているのではないかと疑い始めたマリーナ様を騙すために、マリーナの言葉を鵜呑みにした振りをした。
殿下はエリーゼをマリーナ殺害未遂容疑で我が屋敷から連れ去り牢屋に入れた。
そしてマリーナ様とシーモア・ハウエル公爵はエリーゼを地下牢へ連れて行き首を刎ねて殺した。
マリーナ様は娘を殺したその直後、殿下に抱かれて朝まで過ごしたらしい。
そしてマリーナ様を抱き、朝になってやっと娘の死を知ったと殿下に聞かされた時は、殿下もマリーナ様も殺してやりたかった。
しかし全てを犠牲にしてでも探し出している証拠をあと少しで完全に見つけ出せる所だったので、踏ん張り続けた。
この事件さえ解決すれば殿下を殺してわたしも死ぬつもりだった。
そして、全てが解決した後わたしは娘の墓へ行った。
墓参りをした後殿下を殺して自分も死ぬつもりで。
墓に行くとそこには自ら首を斬りつけ死んでいた殿下がいた。
わたしは娘に頭を下げて自らも首を斬り死んだ………はずだったのに、10年前のお茶会の日になっていた。
わたしは今さらお茶会を拒否出来ずに仕方なくエリーゼを連れて行ったが、本当はやめさせたかった。
わたしはそこから過去を反省して変わることにした。
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