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48話

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わたしが体力を回復させている間に色々とあった。

お父様とお兄様は、あまりわたしに話したくはなかったみたいだが、
「全て隠さず話して欲しい」
と懇願して無理やり聞き出した。

わたしも命をかけて関わったのだ。
今更「話したくない」なんて言わせない。

確かに聞いていて胸糞悪いことも多かったが。





まずはハウエル公爵とニューベル公爵の今までしてきた事。


狙った貴族に話を持ちかけて不渡を出させて、彼らの領地を安く買い上げていた。
その領地の価値を知らない手放した貴族は借金を抱えて潰れていったり貧しい暮らしを強いられている。

その領地には鉱山があってかなり価値があり、彼らはそれで大金を手に入れていた。

二人の性癖が似ていることから、少女売春を裏商売として始めていた。

借金を抱えた平民の子供や弱小貴族の子ども、合わせて数十人を集めて、高級宿屋を作り、分かっていて敢えてそこに泊まりに来る金持ちの貴族達を相手にさせていたらしい。

聞いているだけで屑だ!鬼畜だ!

わたしが怒りで震えていると

「もうこのくらいでやめておこう」
とお父様が言い出した。

「やめないでください。最後まで聞きます」

それから、貴族派に甘い汁を与えることで、二人の力は強くなって行った。

特に娘がいるニューベル公爵は、貴族派、王族派どちらに対しても権力もお金も持っていた。

お父様であるバセット公爵は王族派で、ニューベル公爵よりも元々権力も財力も上だったが、特にそれを駆使して下を従えることもなく、公爵としての仕事を淡々と行う古くから王族に従える貴族だった。

そう、今までは。
今は陛下に対して、かなり強い意見を言って、バセット公爵としての力を使いまくっている。

もちろん私利私欲ではなくて、ニューベル公爵達を断罪するために使える力は使うつもりらしい。

陛下も前回は長いこと病床についていたが、今回は体調不良のをしていただけで、信用のおける者(王族派)達をそばに置いた。
ニューベル公爵に意見を言わせないように宰相は貴族派でニューベル公爵の懐刀にした。

だが実は元々王族派で陛下の影の一人で、常に貴族派の情報を集めるために、貴族派に入っていたセンタ侯爵を宰相にした。
センタ侯爵は、自分の下に信用のおける者達だけを置いて、陛下の体調の(元気な)ことを外に漏れないようにしていた。
この者達の中には王族派、貴族派、中立派がいたが、みんな派閥を超えた信頼関係を作ることに成功させて、国の政策に励んでいた。

おかげでニューベル公爵は、自分がボスになった気分でいたが、実はきちんと陛下が国民のことを考えて、宰相達と仕事をしていた。
その中には、一度は退職したお父様であるバセット公爵も宰相補佐として仕事をしていた。

もちろん退職しているので、あまり目立たないように動いてはいたが、今は宰相と共に中心になって動いているらしい。

前回は宰相だったのだから、出来て当たり前よね。

そうして、二人の犯罪の証拠を集めて行った。

さらにわたしと院長先生を攫ったことで、犯罪者として確定した。

マリーナ様はわたしの誘拐と殺人未遂。

ハウエル公爵は、誘拐と殺人未遂と少女への婦女暴行未遂(本当は言っただけでしていないけど)
少女売春と詐欺罪。

ユシリス皇后は、誘拐と少女の暴行未遂(言っただけでしてはいないけど)

ニューベル公爵は、全てを支持した正犯として捕まった。




わたしはお父様に、院長先生が拐われたときの魔石を見せてもらった。

ニューベル公爵は、院長先生が拐われて入れられた部屋へ行き、

「ヴィクトリア、久しぶりだな。
わたしの愛人に何度ならないかと声をかけてもお前は首を縦に振らなかった。
だが、選べ。
お前がわたしのものになるか、孤児院が焼けてみんな死ぬか」

ニューベル公爵は気持ち悪い笑顔で院長先生に話しかけた。

「どうしてそんな酷いことが出来るのですか?」

院長先生が絶望した顔で公爵を睨んだ。

「我が娘が、お前の一番大事な孤児院を燃やすのが、手っ取り早く言うことを聞かせるのにいいと教えてくれたんだ」

「わたしは……」
院長先生は唇を強く噛んで、返事をすることが出来なかった。

その時、「お父様、ヴィクトリア様はもちろん承諾の返事をくれましたよね?」

皇后は笑顔で院長先生を見た。

院長先生は青い顔をして
「絶対に子ども達に手をかけないと約束してくれますか?」

「あら?ごめんなさい。
エリーゼはもう死にかけているわ。でもわたしではなくマリーナが強い毒を飲ませたから、わたし達の所為ではないわね」

「エリーゼに強い毒?」

「ふふ。ぐったりして動くことも出来なかったわ。でも大丈夫、安心してちょうだい。わたしの玩具にするために解毒剤を飲ませるわ。
あの子って10歳にしては綺麗でしょう?
玩具にするにはちょうどいいのよ」

「玩具?」
院長先生が目を見開いた。

「そうよ。」








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