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18話
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彼女は慌てて屋敷へ向かった。
「すみません、俺の所為で。一緒に謝ります」
俺は、フレアさんを急いで追いかけた。
屋敷に戻ると、フレアさんはメイド長に
「1時間も遅刻してどうしたの?珍しい」
と、怒られるどころか心配されていた。
彼女は信用されているんだと感心して思わずみていたが、自分の所為だと思い出した。
「すみません、俺が森に入ろうとしたのを止めてくれたのに無理やり入って行ったので、フレアさんが心配してずっと森の入り口で待っていてくれたんです」
俺が横から謝ると、メイド長が驚いて
「アラン様、庇っていただいてありがとうございます。しかしフレアが仕事に遅れてきたのは事実です。仕方がないで済ませては周りのものに示しがつきません」
「そうですか。彼女の罰はなんですか?」
「まあ、掃除でもしてもらいましょうか」
「わかりました。わたしも一緒に掃除をします」
俺がそう言うとメイド長が、「えっ?」と言う顔をしたが、無視して俺も掃除を始めた。
「やめてください!」
フレアは拒んだが俺はさっさと掃除を始めた。
「騎士になると当番で掃除や食事もするんだ。おかげで何でも出来るようになって助かっているよ」
俺は笑いながら、雑巾で床拭きをした。
「アラン、お前面白いことをしているな」
ルーベン様が大笑いをして俺の掃除姿を見て
「聞いたぞ、迷いの森に人の忠告を無視して入ったらしいな。あそこは大の大人でも迷うことがあるからな。いい鍛錬にはなると思うぞ。まあ、迷子になってもお前なら平気な顔して生きて出てくるだろう」
「その言い方は酷くないですか?」
「お前、訓練中何度か遭難しかかって、自力で戻ってきただろう」
「あれは先輩達が、俺に意地悪をして俺を一人置いてさっさと山を降りたんですよ。おがけで三日間も山の中で過ごす羽目になりました」
「それくらい慣れとかないと、いざ戦いの時に一番に死ぬのは貧弱な奴らだ」
「元戦士からのアドバイスは有り難くお受けします」
頭を下げてお礼を言うと、ニヤッと笑って
「フレア!アランはいい男だろう?わたしの義孫なんだ、しばらくこの屋敷で過ごすのでよろしくな」
ルーベン様は勝手にお互いの自己紹介をした。
「アラン、フレアはエイミーの幼馴染なんだ。エイミーが小さい頃はみんなでこの辺を駆けずり回って木に登って遊んでいたんだ」
「ルーベン様!もうそんな事はしませんから!」
フレアは恥ずかしそうにしていた。
「木登り……そういえばエイミーに会った始めの頃、猫が木から降りられないからと学園で木登りしているエイミーを見たことがありました」
「エイミーったら、学校で木登りしてたのですか?」
フレアはクスクス笑っていた。
「ああ、エイミーは令嬢らしからぬ娘だったからな」
ルーベン様も懐かしそうに思い出しているようだ。
「ルーベン様、取り敢えず掃除を終わらせるので邪魔しないでください」
俺とフレアで床掃除を始めたが、さすが伯爵家。
一階だけで1時間以上かかった。
「もう十分です。二人ともお疲れ様でした」
メイド長からお許しが出たので、掃除を終わらせ昼前の遅い朝食を食べた。
昼からはハディッド伯爵家の護衛騎士達の仲間に入れてもらって、一緒に鍛錬をした。
王都よりも地方の騎士達の方が体力がある。
きっちり走り込みをしているので体力量が俺たちとは違う。
ルーベン様自ら指導に当たっているだけあって、騎士達の動きに無駄がない。
俺は吸収できるものは全て覚えて帰るつもりで、ここにきた。
「アラン、お前フレアと仲がいいのか?」
一緒に鍛錬をしていた騎士からニヤニヤしながら聞かれた。
今日一日で何人にも聞かれたが、今朝のことを説明して、仲がいいとかそんなのではない事を説明した。
ほんと、ちょっと関わっただけですぐに詮索してくる。
今日会ったばかりで仲がいいとか、そんな事ある訳ないだろう!
俺はみんなのチラチラ見る視線を無視してひたすら鍛錬に励んだ。
「すみません、俺の所為で。一緒に謝ります」
俺は、フレアさんを急いで追いかけた。
屋敷に戻ると、フレアさんはメイド長に
「1時間も遅刻してどうしたの?珍しい」
と、怒られるどころか心配されていた。
彼女は信用されているんだと感心して思わずみていたが、自分の所為だと思い出した。
「すみません、俺が森に入ろうとしたのを止めてくれたのに無理やり入って行ったので、フレアさんが心配してずっと森の入り口で待っていてくれたんです」
俺が横から謝ると、メイド長が驚いて
「アラン様、庇っていただいてありがとうございます。しかしフレアが仕事に遅れてきたのは事実です。仕方がないで済ませては周りのものに示しがつきません」
「そうですか。彼女の罰はなんですか?」
「まあ、掃除でもしてもらいましょうか」
「わかりました。わたしも一緒に掃除をします」
俺がそう言うとメイド長が、「えっ?」と言う顔をしたが、無視して俺も掃除を始めた。
「やめてください!」
フレアは拒んだが俺はさっさと掃除を始めた。
「騎士になると当番で掃除や食事もするんだ。おかげで何でも出来るようになって助かっているよ」
俺は笑いながら、雑巾で床拭きをした。
「アラン、お前面白いことをしているな」
ルーベン様が大笑いをして俺の掃除姿を見て
「聞いたぞ、迷いの森に人の忠告を無視して入ったらしいな。あそこは大の大人でも迷うことがあるからな。いい鍛錬にはなると思うぞ。まあ、迷子になってもお前なら平気な顔して生きて出てくるだろう」
「その言い方は酷くないですか?」
「お前、訓練中何度か遭難しかかって、自力で戻ってきただろう」
「あれは先輩達が、俺に意地悪をして俺を一人置いてさっさと山を降りたんですよ。おがけで三日間も山の中で過ごす羽目になりました」
「それくらい慣れとかないと、いざ戦いの時に一番に死ぬのは貧弱な奴らだ」
「元戦士からのアドバイスは有り難くお受けします」
頭を下げてお礼を言うと、ニヤッと笑って
「フレア!アランはいい男だろう?わたしの義孫なんだ、しばらくこの屋敷で過ごすのでよろしくな」
ルーベン様は勝手にお互いの自己紹介をした。
「アラン、フレアはエイミーの幼馴染なんだ。エイミーが小さい頃はみんなでこの辺を駆けずり回って木に登って遊んでいたんだ」
「ルーベン様!もうそんな事はしませんから!」
フレアは恥ずかしそうにしていた。
「木登り……そういえばエイミーに会った始めの頃、猫が木から降りられないからと学園で木登りしているエイミーを見たことがありました」
「エイミーったら、学校で木登りしてたのですか?」
フレアはクスクス笑っていた。
「ああ、エイミーは令嬢らしからぬ娘だったからな」
ルーベン様も懐かしそうに思い出しているようだ。
「ルーベン様、取り敢えず掃除を終わらせるので邪魔しないでください」
俺とフレアで床掃除を始めたが、さすが伯爵家。
一階だけで1時間以上かかった。
「もう十分です。二人ともお疲れ様でした」
メイド長からお許しが出たので、掃除を終わらせ昼前の遅い朝食を食べた。
昼からはハディッド伯爵家の護衛騎士達の仲間に入れてもらって、一緒に鍛錬をした。
王都よりも地方の騎士達の方が体力がある。
きっちり走り込みをしているので体力量が俺たちとは違う。
ルーベン様自ら指導に当たっているだけあって、騎士達の動きに無駄がない。
俺は吸収できるものは全て覚えて帰るつもりで、ここにきた。
「アラン、お前フレアと仲がいいのか?」
一緒に鍛錬をしていた騎士からニヤニヤしながら聞かれた。
今日一日で何人にも聞かれたが、今朝のことを説明して、仲がいいとかそんなのではない事を説明した。
ほんと、ちょっと関わっただけですぐに詮索してくる。
今日会ったばかりで仲がいいとか、そんな事ある訳ないだろう!
俺はみんなのチラチラ見る視線を無視してひたすら鍛錬に励んだ。
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