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35話
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諦めて俺は見合いを受けることにした。
「父上、一度だけです。平民で言いと相手は思っているのでしょうか?」
「すまない、細かいことは陛下に聞かないと分からない」
父上はまたしょんぼりとした。
俺が見合いのことで怒って数ヶ月一切連絡を絶っていたので、本当は俺にこんな話をするのは嫌だったのだろう。
しかし国王からの話になれば、父上も受けざる負えない。
その気持ちは分かるので俺も黙って受けることにしたのだ。
「父上、また連絡をください。今日はこれで失礼します」
噂は面倒だ。
何処からか俺の見合い話が他人に知られていた。
俺は言っていない。
陛下か?
父上か?
はたまた相手側か?
「チッ!」
俺は舌打ちを思わずした。
「何故貴女に答えなければならない?」
俺は知らない女性に見合いについて勤務中に王城内で聞かれた。
「そ、それは……あ、あの、貴方を好きだから気になってしまって……」
「済まないが知りもしない人に何も答えるつもりはない」
何度聞かれたのだろう。
もういい加減聞き飽きた。
同僚達は
「メイ・ボガード嬢はいいのか?彼女が悲しむだろう?」
など、言ってくるが、メイとは友人関係で別に付き合ってもいないし好きなわけでもない。
ただ、困っているから助けてあげたい。
勿論、友人として。
イーゼ嬢との見合いは街中のレストランで行うことになった。
俺は普段着を着るわけにもいかず、シャツとスラックス、上着にジャケットで一応綺麗めな格好で向かうことにした。
レストランに着くと、そこには父上とジリニア侯爵、娘のイーゼ嬢が待っていた。
「遅れて申し訳ありません」
時間的には遅れてはいないが、みんなが先に来ていたので一応断りを入れて、侯爵に挨拶をした。
「アランと言います。本日はよろしくお願い致します」
俺は別にいい印象を与える必要も媚を売る必要もないので、簡単な挨拶に留めた。
相手も俺の態度で伝わったのだろう。
面白そうに俺を見ていた。
「アラン、今日は見合いだ。付き合ってもらうぞ」
侯爵は俺が平民だと言うことを特別気にしてはいないようだ。
「かしこまりました」
イーゼ嬢は、俺の顔を見て溜息を吐いていた。
とても不服そうだ。
食事をしながらとりとめのない会話で適当に終わらせた。
俺の中ではこれで終わりだと胸を撫で下ろした。
だが、「あとは二人でゆっくり話しなさい」
と、父上と侯爵は帰って行った。
俺が溜息をしようとしたら
「ハァー!!」
と大きな溜息をイーゼ嬢がいきなりしたので俺は驚いた。
「アラン様、父が申し訳ありませんでした。
女性嫌いで有名なアラン様とお見合いをさせて面白がっているのです」
「そんな事だと思いました。大人達のふざけた遊びには不本意ながら慣れていますので適当に付き合っておけばいいので、貴女が気にすることではありません」
イーゼ嬢は俺の言葉にカチンと来たのか
「アラン様、アラン様はとても大人ですね。でもわたしは許せません。父のあの人を小馬鹿にした態度、わたしは本当はテーブルをひっくり返したい気分でした。
貴方のお父様も優しすぎなのか頼りないですよね?アラン様の顔色ばかり見ていました」
俺はこの子の歯に衣着せぬ言葉に俺は腹を抱えて笑った。
「クックックッ……貴女はなかなか面白い子だね。令嬢らしからぬセリフがとても好感が持てるよ」
「それ、馬鹿にしています?」
「いやいや、今までの中で一番面白い令嬢かも知れない」
「まぁ!失礼ですよね?」
「そうかな?テーブルをひっくり返したいなんてなかなかのものだと思うけど」
「そ、それは言葉の綾です」
「うん、流石にひっくり返したら大変なことになるよ、君はこのお見合いが父上のふざけた遊びだと思ったのかい?」
「違いますか?始終ニヤニヤしていたし、アラン様のことを根掘り葉掘り聞いて、値踏みしていましたよね?お父様には何だかがっかりでした」
「このお見合いは、君の父上からの話だと聞いてはいるけど陛下からの指示でもあるんだ。だから面白半分でできるお見合いではないと思うよ」
「え?そうなんですか?」
「知らなかった?僕がこのお見合いを断らなかったのは父上や君の父上の顔を立てたからではなくて陛下からの指示だと聞いたからなんだ、流石に陛下からだと断れないからね」
「すみません、アラン様は女嫌いで有名だしお見合いを父が無理やり侯爵の名を使ってしたのだと思っていました」
「まあ、僕は平民だからね、拒否はできないからね」
「すみません、そう思っていました」
「君も平民の僕と見合いをさせられて困っただろう?ごめんね」
「そんな事はありません、別にアラン様に興味はありませんが、アラン様は自ら平民になり自身の力で近衛騎士副隊長になりました。いずれはご自分の力で騎士爵を受け賜るだろうと噂されています。わたしは好きではありませんが、すごい方だと思います」
「ありがとう、何だかそこまで好きではないと言われると気持ちがいいよね」
俺は久しぶりに初めて会う子に対してわらいが止まらなかった。
「父上、一度だけです。平民で言いと相手は思っているのでしょうか?」
「すまない、細かいことは陛下に聞かないと分からない」
父上はまたしょんぼりとした。
俺が見合いのことで怒って数ヶ月一切連絡を絶っていたので、本当は俺にこんな話をするのは嫌だったのだろう。
しかし国王からの話になれば、父上も受けざる負えない。
その気持ちは分かるので俺も黙って受けることにしたのだ。
「父上、また連絡をください。今日はこれで失礼します」
噂は面倒だ。
何処からか俺の見合い話が他人に知られていた。
俺は言っていない。
陛下か?
父上か?
はたまた相手側か?
「チッ!」
俺は舌打ちを思わずした。
「何故貴女に答えなければならない?」
俺は知らない女性に見合いについて勤務中に王城内で聞かれた。
「そ、それは……あ、あの、貴方を好きだから気になってしまって……」
「済まないが知りもしない人に何も答えるつもりはない」
何度聞かれたのだろう。
もういい加減聞き飽きた。
同僚達は
「メイ・ボガード嬢はいいのか?彼女が悲しむだろう?」
など、言ってくるが、メイとは友人関係で別に付き合ってもいないし好きなわけでもない。
ただ、困っているから助けてあげたい。
勿論、友人として。
イーゼ嬢との見合いは街中のレストランで行うことになった。
俺は普段着を着るわけにもいかず、シャツとスラックス、上着にジャケットで一応綺麗めな格好で向かうことにした。
レストランに着くと、そこには父上とジリニア侯爵、娘のイーゼ嬢が待っていた。
「遅れて申し訳ありません」
時間的には遅れてはいないが、みんなが先に来ていたので一応断りを入れて、侯爵に挨拶をした。
「アランと言います。本日はよろしくお願い致します」
俺は別にいい印象を与える必要も媚を売る必要もないので、簡単な挨拶に留めた。
相手も俺の態度で伝わったのだろう。
面白そうに俺を見ていた。
「アラン、今日は見合いだ。付き合ってもらうぞ」
侯爵は俺が平民だと言うことを特別気にしてはいないようだ。
「かしこまりました」
イーゼ嬢は、俺の顔を見て溜息を吐いていた。
とても不服そうだ。
食事をしながらとりとめのない会話で適当に終わらせた。
俺の中ではこれで終わりだと胸を撫で下ろした。
だが、「あとは二人でゆっくり話しなさい」
と、父上と侯爵は帰って行った。
俺が溜息をしようとしたら
「ハァー!!」
と大きな溜息をイーゼ嬢がいきなりしたので俺は驚いた。
「アラン様、父が申し訳ありませんでした。
女性嫌いで有名なアラン様とお見合いをさせて面白がっているのです」
「そんな事だと思いました。大人達のふざけた遊びには不本意ながら慣れていますので適当に付き合っておけばいいので、貴女が気にすることではありません」
イーゼ嬢は俺の言葉にカチンと来たのか
「アラン様、アラン様はとても大人ですね。でもわたしは許せません。父のあの人を小馬鹿にした態度、わたしは本当はテーブルをひっくり返したい気分でした。
貴方のお父様も優しすぎなのか頼りないですよね?アラン様の顔色ばかり見ていました」
俺はこの子の歯に衣着せぬ言葉に俺は腹を抱えて笑った。
「クックックッ……貴女はなかなか面白い子だね。令嬢らしからぬセリフがとても好感が持てるよ」
「それ、馬鹿にしています?」
「いやいや、今までの中で一番面白い令嬢かも知れない」
「まぁ!失礼ですよね?」
「そうかな?テーブルをひっくり返したいなんてなかなかのものだと思うけど」
「そ、それは言葉の綾です」
「うん、流石にひっくり返したら大変なことになるよ、君はこのお見合いが父上のふざけた遊びだと思ったのかい?」
「違いますか?始終ニヤニヤしていたし、アラン様のことを根掘り葉掘り聞いて、値踏みしていましたよね?お父様には何だかがっかりでした」
「このお見合いは、君の父上からの話だと聞いてはいるけど陛下からの指示でもあるんだ。だから面白半分でできるお見合いではないと思うよ」
「え?そうなんですか?」
「知らなかった?僕がこのお見合いを断らなかったのは父上や君の父上の顔を立てたからではなくて陛下からの指示だと聞いたからなんだ、流石に陛下からだと断れないからね」
「すみません、アラン様は女嫌いで有名だしお見合いを父が無理やり侯爵の名を使ってしたのだと思っていました」
「まあ、僕は平民だからね、拒否はできないからね」
「すみません、そう思っていました」
「君も平民の僕と見合いをさせられて困っただろう?ごめんね」
「そんな事はありません、別にアラン様に興味はありませんが、アラン様は自ら平民になり自身の力で近衛騎士副隊長になりました。いずれはご自分の力で騎士爵を受け賜るだろうと噂されています。わたしは好きではありませんが、すごい方だと思います」
「ありがとう、何だかそこまで好きではないと言われると気持ちがいいよね」
俺は久しぶりに初めて会う子に対してわらいが止まらなかった。
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