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51話
「貴方………やっと会いにきてくださったのね?わたくしは何もしていないのに酷いと思わない?みんながわたくしを虐めるのよ?どうしてこんなところに連れてこられたのかわからないわ」
妃殿下は悲しそうな顔をしながらも口元は笑っているように見えた。
そう一瞬だけ私の顔を見て。クスッと笑った。
「わたくし、早く子供達に会いたいの。二人とも母親に会えなくてとても寂しい思いをしていると思うの?ねっ?貴方、早くここから出してちょうだい」
この個室は檻があるので私達のいるところまで妃殿下は来れない。
檻から出たいのだと王太子殿下に頼み込んでいる姿は何とも言えない不思議な感じだった。
妃殿下は自分がしたことを全て忘れて悲劇のヒロインにでもなっているかのように悲しみを漂わせ訴えていた。
「もうすぐエリオットの誕生日でしょう?わたくしエリオットと約束したの。誕生日のプレゼントにレーヴ商会の絵本や玩具一緒に選んであげると」
マシューへ視線を移した妃殿下は、少し怖いくらいの笑みをこぼした。
「ふふふっ。エヴァリア小公爵、貴方の営む商会よね?そろそろ新しい商品も出ている頃よね?今度わたくしの王宮に持ってきてちょうだい。エリオットも貴方のところの玩具がお気に入りなの。この前購入したボードゲームもとても気に入ってるの」
「妃殿下………」
マシューは眉根を寄せて困って返答できないでいた。
まともな話をしているはずなのに、この牢ではできないこと、ありえないことなのに。
もう子供達に会えないかもしれない。
そう思うと同じ母親として胸が痛い。
「メグ……」
王太子殿下が初めて私たちの前で名前を、いや愛称で妃殿下を呼んだ。
「貴方……いえ、ビルムズ?なぁに?わたくしを早くこんな狭い部屋から出してくださらない?」
「すまない、メグ。君はここから出られないんだ」
「どうして?わたくしは王太子妃としてたくさん仕事があるの。それに子供達を立派な王子として育てる義務もあるの。わかっているでしょう?」
完璧な笑顔でにっこりと殿下に微笑んだ。
そう、とても美しい笑顔で。
忘れかけていた学生の頃のあの大好きで憧れていたマーガレット様の笑顔だった。
マーガレット様は私にも美しい笑みを向けた。でも、「私」は見えていないようだった。
そう、存在すら消されていた。
「メグ、君はしばらく……いや、もう仕事をすることはない、ここでずっと過ごすことになるだろう」
もしかしたら……ここから一生出られない?ううん、ここで……弱って………
訊いたことがある。
この国では王族は離縁はできない。
そして犯罪を犯しても罪を表立って問うことができない場合は……病気として療養に入り亡くなるのだと……
妃殿下はふらりとよろめきながら、殿下の前にやってくる。檻の中なので触れることはできないけど、殿下の前に膝をつき、殿下にすがりつくように手を伸ばし、さっきまでとは違い暗い声で目は血走っていた。
殿下を見上げる目には、恐怖と哀願しかなかった。
「わたくしが、ここで?わたくしが何をしたと言うの?子供達に会わせてちょうだい、ねぇ?ビルムズ?」
マーガレット様は多分王太子殿下の話を訊いてここから出られないことを理解した。理解した上で、信じたくなかったのだろう。
今度こそちゃんと私へ鋭い視線を向けた。
「全て悪いのはルシナ、あなたよ」
妃殿下は悲しそうな顔をしながらも口元は笑っているように見えた。
そう一瞬だけ私の顔を見て。クスッと笑った。
「わたくし、早く子供達に会いたいの。二人とも母親に会えなくてとても寂しい思いをしていると思うの?ねっ?貴方、早くここから出してちょうだい」
この個室は檻があるので私達のいるところまで妃殿下は来れない。
檻から出たいのだと王太子殿下に頼み込んでいる姿は何とも言えない不思議な感じだった。
妃殿下は自分がしたことを全て忘れて悲劇のヒロインにでもなっているかのように悲しみを漂わせ訴えていた。
「もうすぐエリオットの誕生日でしょう?わたくしエリオットと約束したの。誕生日のプレゼントにレーヴ商会の絵本や玩具一緒に選んであげると」
マシューへ視線を移した妃殿下は、少し怖いくらいの笑みをこぼした。
「ふふふっ。エヴァリア小公爵、貴方の営む商会よね?そろそろ新しい商品も出ている頃よね?今度わたくしの王宮に持ってきてちょうだい。エリオットも貴方のところの玩具がお気に入りなの。この前購入したボードゲームもとても気に入ってるの」
「妃殿下………」
マシューは眉根を寄せて困って返答できないでいた。
まともな話をしているはずなのに、この牢ではできないこと、ありえないことなのに。
もう子供達に会えないかもしれない。
そう思うと同じ母親として胸が痛い。
「メグ……」
王太子殿下が初めて私たちの前で名前を、いや愛称で妃殿下を呼んだ。
「貴方……いえ、ビルムズ?なぁに?わたくしを早くこんな狭い部屋から出してくださらない?」
「すまない、メグ。君はここから出られないんだ」
「どうして?わたくしは王太子妃としてたくさん仕事があるの。それに子供達を立派な王子として育てる義務もあるの。わかっているでしょう?」
完璧な笑顔でにっこりと殿下に微笑んだ。
そう、とても美しい笑顔で。
忘れかけていた学生の頃のあの大好きで憧れていたマーガレット様の笑顔だった。
マーガレット様は私にも美しい笑みを向けた。でも、「私」は見えていないようだった。
そう、存在すら消されていた。
「メグ、君はしばらく……いや、もう仕事をすることはない、ここでずっと過ごすことになるだろう」
もしかしたら……ここから一生出られない?ううん、ここで……弱って………
訊いたことがある。
この国では王族は離縁はできない。
そして犯罪を犯しても罪を表立って問うことができない場合は……病気として療養に入り亡くなるのだと……
妃殿下はふらりとよろめきながら、殿下の前にやってくる。檻の中なので触れることはできないけど、殿下の前に膝をつき、殿下にすがりつくように手を伸ばし、さっきまでとは違い暗い声で目は血走っていた。
殿下を見上げる目には、恐怖と哀願しかなかった。
「わたくしが、ここで?わたくしが何をしたと言うの?子供達に会わせてちょうだい、ねぇ?ビルムズ?」
マーガレット様は多分王太子殿下の話を訊いてここから出られないことを理解した。理解した上で、信じたくなかったのだろう。
今度こそちゃんと私へ鋭い視線を向けた。
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