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19話。
マリアさんがずっと黙ったままそばに居てくれたからなのか少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「ごめんなさい……泣き出してしまって」
「大丈夫よ?ダリアちゃんはずっと何か悩んでいたみたいだよね?うーん、こういう時は美味しいものを食べるに限るわね。さっ、行こう!」
わたしの腕を引いて立ち上がらせた。
「う、うわっ、え、ええ?」
「こんな時は美味しいものを食べるに越した事はないわ!さっ、わたしの行きつけの食堂へゴーよ!」
ーーー食堂……嫌な予感がする。
「……………………」
うん、正解。ここはロードが通うカリナさんが働いている食堂。
店の中は賑わっていた。
わたしは一人暮らしの時に何度か来たことはあった。普通に夕飯を食べにだけど。
その時からカリナさんはとても有名で。綺麗で、明るくてみんなに好かれていた。
彼女目当てに来るお客さんが多いと耳にしていた。そしてその中にロードもいた。それだけ。そう、それだけの話。
今では彼女が働いている日は必ず来ているらしい。一夜を共にしたという彼女が教えてくれた。
毎日ロードが送り迎えをしているらしい。一夜を共にした彼女が教えてくれた。
彼女とロードは今ではみんなに恋人同士として周知されているらしい。一夜を共にした……もういいや。
マリアさんはわたしがその噂の二人の邪魔にしかならないロードの(偽)恋人だとは知らない。
だから楽しそうに話し出した。
「あのカリナちゃんは元々貴族令嬢だったの。だけど色々あって今は平民なの。だけど今では素敵な恋人も出来て幸せそうなのよ」
ーーーーと教えてくれた。
「仕事の日は毎日送り迎えをしてくれるかっこいい騎士なの。わたしも結婚してなければあんなかっこいい騎士だったら絶対惚れちゃうわ」
ーーーうん、わたしも惚れちゃいました。
わたしは上手に笑えているかな?マリアさんに気を遣わせたくないし、知られたくない。
落ち込んでいるわたしのために連れてきてくれたのに……さらに落ち込みそうなんて言えない。
マリアさんはカリナさん以外の話題ももちろんしてくれた。出版社の人たちの面白話とか失敗談とか。子供達の可愛い毎日も聞かせてくれた。
ここの食堂の料理はとても美味しい。お腹いっぱいになって、気持ちも落ち着いてきた。
カリナさんのことは話をしていても気にはなるけど、彼女はわたしのことを知らないしまだ仕事が終わる時間ではなさそうなのでロードもまだ現れない。
そろそろお会計を済ませてお店の外に出れば会うことはないだろう。
「マリアさん、わたしまた夜には坊っちゃまの読み聞かせがありますので早めに帰りたいと思います」
「わたしも今日は早めに仕事を上るつもりだったから荷物だけ事務所に取りに行って帰るわ。次の打ち合わせは来週でいいかしら?」
「はい、次はこんなことにならないようにして来ます。ご心配をおかけしてすみませんでした」
「何言ってるの。せっかく知り合いになれたのよ?頼って来てちょうだい。話したくなったらいつでも聞くから、ねっ?」
「ありがとうございます」
嬉しい。こんなふうに言ってくれる人はあまりいない。
だからこそここでロードに会うわけにはいかない。知られたくない。二人の邪魔をしているわたしのことを。
「お会計はいいわ。ここはわたしの奢りだから」そう言ってお会計をしてくれた。その間チラッとカリナさんの姿を目で追ってしまう。
いろんな人に声をかけられるカリナさんの姿は、友人の少ないわたしを惨めにさせる。ロードが好きになる人はこんな人なのね。
わたしにはない明るさ。誰とでも仲良くなれる姿は好感が持てる。なのにどうしてこんなに惨めなんだろう。
まともに話したこともないのに……嫌うなんていけないことなのに……
「あっ、お客様!忘れ物です」
カリナさんがわたしのそばに急いでやって来た。
「ありがとう……ございます」
力なくお礼を言った。
忘れ物は……何故こんな時に……さっきお金を払おうと思って財布を出した時に落としたのだと思う。マリアさんが払うからと言われて財布をカバンに戻した。その時に座っていた席に落としたのは、ロードがくれたハンカチだった。
カリナさんはわたしとロードのことを知らない。わかってるのに動揺してしまったわたしは焦ってお礼を言っても目を合わせることが出来なかった。
酷い態度だったかもしれない。せっかく持って来てくれたのに……自分の態度に後悔しながらお店の外に出た。
「ねぇ、もしかしてカリナちゃんと何かあったの?さっきからダリアちゃん、カレンちゃんが近くに来ると顔色が変わってる気がするの」
ーーー知られたくない。
「そんなことありません…よ」
ーーーこれ以上話したくない。涙を堪えて「今日はご馳走様でした」と頭を下げて帰ろうとした。
「ダリア……?」
ーーーなんで、ここにいるの?
今一番会いたくない人が。
「ごめんなさい……泣き出してしまって」
「大丈夫よ?ダリアちゃんはずっと何か悩んでいたみたいだよね?うーん、こういう時は美味しいものを食べるに限るわね。さっ、行こう!」
わたしの腕を引いて立ち上がらせた。
「う、うわっ、え、ええ?」
「こんな時は美味しいものを食べるに越した事はないわ!さっ、わたしの行きつけの食堂へゴーよ!」
ーーー食堂……嫌な予感がする。
「……………………」
うん、正解。ここはロードが通うカリナさんが働いている食堂。
店の中は賑わっていた。
わたしは一人暮らしの時に何度か来たことはあった。普通に夕飯を食べにだけど。
その時からカリナさんはとても有名で。綺麗で、明るくてみんなに好かれていた。
彼女目当てに来るお客さんが多いと耳にしていた。そしてその中にロードもいた。それだけ。そう、それだけの話。
今では彼女が働いている日は必ず来ているらしい。一夜を共にしたという彼女が教えてくれた。
毎日ロードが送り迎えをしているらしい。一夜を共にした彼女が教えてくれた。
彼女とロードは今ではみんなに恋人同士として周知されているらしい。一夜を共にした……もういいや。
マリアさんはわたしがその噂の二人の邪魔にしかならないロードの(偽)恋人だとは知らない。
だから楽しそうに話し出した。
「あのカリナちゃんは元々貴族令嬢だったの。だけど色々あって今は平民なの。だけど今では素敵な恋人も出来て幸せそうなのよ」
ーーーーと教えてくれた。
「仕事の日は毎日送り迎えをしてくれるかっこいい騎士なの。わたしも結婚してなければあんなかっこいい騎士だったら絶対惚れちゃうわ」
ーーーうん、わたしも惚れちゃいました。
わたしは上手に笑えているかな?マリアさんに気を遣わせたくないし、知られたくない。
落ち込んでいるわたしのために連れてきてくれたのに……さらに落ち込みそうなんて言えない。
マリアさんはカリナさん以外の話題ももちろんしてくれた。出版社の人たちの面白話とか失敗談とか。子供達の可愛い毎日も聞かせてくれた。
ここの食堂の料理はとても美味しい。お腹いっぱいになって、気持ちも落ち着いてきた。
カリナさんのことは話をしていても気にはなるけど、彼女はわたしのことを知らないしまだ仕事が終わる時間ではなさそうなのでロードもまだ現れない。
そろそろお会計を済ませてお店の外に出れば会うことはないだろう。
「マリアさん、わたしまた夜には坊っちゃまの読み聞かせがありますので早めに帰りたいと思います」
「わたしも今日は早めに仕事を上るつもりだったから荷物だけ事務所に取りに行って帰るわ。次の打ち合わせは来週でいいかしら?」
「はい、次はこんなことにならないようにして来ます。ご心配をおかけしてすみませんでした」
「何言ってるの。せっかく知り合いになれたのよ?頼って来てちょうだい。話したくなったらいつでも聞くから、ねっ?」
「ありがとうございます」
嬉しい。こんなふうに言ってくれる人はあまりいない。
だからこそここでロードに会うわけにはいかない。知られたくない。二人の邪魔をしているわたしのことを。
「お会計はいいわ。ここはわたしの奢りだから」そう言ってお会計をしてくれた。その間チラッとカリナさんの姿を目で追ってしまう。
いろんな人に声をかけられるカリナさんの姿は、友人の少ないわたしを惨めにさせる。ロードが好きになる人はこんな人なのね。
わたしにはない明るさ。誰とでも仲良くなれる姿は好感が持てる。なのにどうしてこんなに惨めなんだろう。
まともに話したこともないのに……嫌うなんていけないことなのに……
「あっ、お客様!忘れ物です」
カリナさんがわたしのそばに急いでやって来た。
「ありがとう……ございます」
力なくお礼を言った。
忘れ物は……何故こんな時に……さっきお金を払おうと思って財布を出した時に落としたのだと思う。マリアさんが払うからと言われて財布をカバンに戻した。その時に座っていた席に落としたのは、ロードがくれたハンカチだった。
カリナさんはわたしとロードのことを知らない。わかってるのに動揺してしまったわたしは焦ってお礼を言っても目を合わせることが出来なかった。
酷い態度だったかもしれない。せっかく持って来てくれたのに……自分の態度に後悔しながらお店の外に出た。
「ねぇ、もしかしてカリナちゃんと何かあったの?さっきからダリアちゃん、カレンちゃんが近くに来ると顔色が変わってる気がするの」
ーーー知られたくない。
「そんなことありません…よ」
ーーーこれ以上話したくない。涙を堪えて「今日はご馳走様でした」と頭を下げて帰ろうとした。
「ダリア……?」
ーーーなんで、ここにいるの?
今一番会いたくない人が。
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