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- 陰の王国と廻りだす歯車 -
ーーバクside ②
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「月と太陽。陰と陽の世界を照らし渡りし者…。月の神子ルシェと太陽の巫女ティハンとの間に生まれた愛し子であり、その両方の血を受け継ぐ後継者の名称」
カツン、
ブーツの踵を鳴らし、一歩二歩とこちらに近付くジークに、より一層 身構える。
カツン!
「なぜ、そうまでしてお前はまたこの子を苦しめようとする?」
プギィッ!!
『なんの話…ッ!』
「ーーいや、その前に。いつまでその姿をとっているつもりだ?」
言っている意味がわからなくて、人型になってみるも、ジークは微かに眉を寄せる。
「いい加減にしろ。こっちを馬鹿にしているのか」
「何なんだよ!だから、本体の人型に戻ったじゃないか!」
睨みつける僕に、ジークの眉根が吊り上がる…
「…まさか、本当に覚えていないのか?」
ジークが怪訝な表情になる理由がわからなかった。もしも… もしも、僕が忘れていなかったら、覚えていたら…
「『神獣が… 守れなかった罪の意識から自分の記憶まで消して精霊に扮するなど、これほど滑稽なことはないな』」
冷めた目と嘲笑の表情、ジークの言葉に僕は… 耳を疑った。
「え…ッ?」
そんな… はずない!僕は今は確かに仮の姿だけど、本当の姿は… 夢を支配する精霊でッ!本体は成体の人型で…ッ 力の源を奪われた神の遣いで… 僕はあの影を追って・・・
追って・・・?
『ちがうッッ!!!』
必死に否定する僕を見て嘲笑いもせず、ジークは煩わしそうに眉を寄せた。
「ーー声を落とせ。こいつが目を覚ますだろう」
ハッと我に返って、後ろにいるルティに振り返るも穏やかに寝息を立てるその様子に安堵する…。そこで、ふと疑問に思った。
「ジークォンは… ジキルドの、味方なんじゃないの?」
その僕の疑問に不快げに笑い、ジークは腕を組んで僕を見据えた。
「俺が… 人間の味方だと?」
そして、おかしそうに笑った。
「ちがうな。確かに、ジキルドはドラゴン族と人間の血を引くハーフにしてはまだ、まともだ。だが… それでも、まだだ」
まあ、ドラゴン族の王としても君臨しているんだ。過去の過ちと同じ道を辿られても困る、と意味深にクツリと喉で笑うジークを僕は、まじまじと見つめる…。
「俺には俺の目的があるーー。そしてそれは、お前には関係のないことだ。それよりも…」
いつまで精霊の姿を取るつもりだ、と片方の眉を吊り上げるジークは静かに溜め息を吐く
「お前が罪の意識から精霊の姿を取って過去から逃れようと、滑稽な姿を晒そうと… 俺には関係がない。だが、それとコレとでは話が別だ」
そう言って、目の前まで来たジークは…
「…あの頃と変わらない澄んだ魂の色だな」
懐かしげにルティの髪を梳く。それは、僕から見ても愛しげで…
「ーーなぜ、此処へ連れて来た?」
そして、
悲痛な表情で僕を見据えた。
カツン、
ブーツの踵を鳴らし、一歩二歩とこちらに近付くジークに、より一層 身構える。
カツン!
「なぜ、そうまでしてお前はまたこの子を苦しめようとする?」
プギィッ!!
『なんの話…ッ!』
「ーーいや、その前に。いつまでその姿をとっているつもりだ?」
言っている意味がわからなくて、人型になってみるも、ジークは微かに眉を寄せる。
「いい加減にしろ。こっちを馬鹿にしているのか」
「何なんだよ!だから、本体の人型に戻ったじゃないか!」
睨みつける僕に、ジークの眉根が吊り上がる…
「…まさか、本当に覚えていないのか?」
ジークが怪訝な表情になる理由がわからなかった。もしも… もしも、僕が忘れていなかったら、覚えていたら…
「『神獣が… 守れなかった罪の意識から自分の記憶まで消して精霊に扮するなど、これほど滑稽なことはないな』」
冷めた目と嘲笑の表情、ジークの言葉に僕は… 耳を疑った。
「え…ッ?」
そんな… はずない!僕は今は確かに仮の姿だけど、本当の姿は… 夢を支配する精霊でッ!本体は成体の人型で…ッ 力の源を奪われた神の遣いで… 僕はあの影を追って・・・
追って・・・?
『ちがうッッ!!!』
必死に否定する僕を見て嘲笑いもせず、ジークは煩わしそうに眉を寄せた。
「ーー声を落とせ。こいつが目を覚ますだろう」
ハッと我に返って、後ろにいるルティに振り返るも穏やかに寝息を立てるその様子に安堵する…。そこで、ふと疑問に思った。
「ジークォンは… ジキルドの、味方なんじゃないの?」
その僕の疑問に不快げに笑い、ジークは腕を組んで僕を見据えた。
「俺が… 人間の味方だと?」
そして、おかしそうに笑った。
「ちがうな。確かに、ジキルドはドラゴン族と人間の血を引くハーフにしてはまだ、まともだ。だが… それでも、まだだ」
まあ、ドラゴン族の王としても君臨しているんだ。過去の過ちと同じ道を辿られても困る、と意味深にクツリと喉で笑うジークを僕は、まじまじと見つめる…。
「俺には俺の目的があるーー。そしてそれは、お前には関係のないことだ。それよりも…」
いつまで精霊の姿を取るつもりだ、と片方の眉を吊り上げるジークは静かに溜め息を吐く
「お前が罪の意識から精霊の姿を取って過去から逃れようと、滑稽な姿を晒そうと… 俺には関係がない。だが、それとコレとでは話が別だ」
そう言って、目の前まで来たジークは…
「…あの頃と変わらない澄んだ魂の色だな」
懐かしげにルティの髪を梳く。それは、僕から見ても愛しげで…
「ーーなぜ、此処へ連れて来た?」
そして、
悲痛な表情で僕を見据えた。
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