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- 其の日常が終わりを告げる時 -
過去の副産物と異端
しおりを挟む「兄貴!!だめだ!自分が何を言っているのか分かっているのか!?だって、兄貴はあの忌まわしい力のせいで、体が…」
【強すぎる力はその身を滅ぼす】
うちの家系は元々祓い屋だったらしい。いや、正確に言えば妖術師の一族だったとか。今はもう廃れてしまったけど、ご先祖さんが凄かったと父が昔教えてくれた。いつの時代か、わからないご先祖さんがその昔、悪神を封じたらしくて、それがあの庭の祠とか。元々は祠の中にある宝玉に封じていたため、新しく庭に僕の祈願かけに祠を建てた際に、ともに宝玉もこちらに移したという話だ。
だけど、もうそれは何代も前もの大昔の話であり、今はもう違う。だから当然のことながら、そういったことにお目に掛かったことはないし… とは言わないけど。
なにぶん僕だけが先祖返りだったらしく、その桁違いな力は僕の体には毒だった。つまり、コップという器に水というご先祖さんの桁違いな力が注がれる形で、ようするにコップから水が溢れる寸前。その桁違いな力は毒となって僕の体を蝕んでいった… それが僕の余命宣告を受けた体の末路だ。
せめて、力さえコントロール出来ればよかったけど、体への負担が大き過ぎて扱いきれないだなんて…
(……本当に、厄介なものだよ)
不安げに見つめてくる悠に苦笑いする。当事者の僕じゃなくて、なんで君がそんな不安げなの?
過保護で僕の身を一番に按じてくれる可愛い弟… 苦笑を浮かべて悠の髪をクシャクシャに撫でる。やはり、余命宣告を受けたことは悠に言わないでよかった。
「そんなに深刻な顔しないで。大丈夫、任せてよ。バグを見つけて対応したらすぐに戻ってくるから」
それに、
「悠が向こうに行くよりかは僕が行ったほうが身の安全が確保できると思うんだ。向こうはどちらかと言うと創造力で出来た世界に等しいからね。こっちの世界じゃ、儘ならないあの力も… 向こうだと制御できると思うんだ。向こうは向こうで魔法とかあるけどね、あの力を過信するつもりはないけど、まあ副産物として認識しとけばいいかな?ってくらいには思ってる」
───…こっちは元々、僕の体に備わっていたモノだからゲーム世界の力よりかは当てになるでしょ?と悠を納得させる。
「………」
なにか言いたげに、悠の顔のその端正な眉が寄せられる。
「…眉間にしわが寄ってる。ふふっ、心配し過ぎだよ。大丈夫だって。それに、今回は適材適所、さっきも… そう言ったよね?」
それに、僕も今回の件で気になることがある。それを確かめる為にもどっちみち僕自身が行く必要があった。悠が反対することはわかってはいたけど。…今回は僕も折れるわけにはいかない。
渋る悠に再度、ね?と安心させるように促すと、ようやく渋々承諾してくれた。
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