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98_暴食の罪
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薄暗い部屋に響く嗚咽に目が眩む。
少年はただ食べては吐いてを繰り返す。
「シスター、僕もう……」
「そう、じゃあ最後にこれを食べましょう...。美味しいリンゴよ」
「はい、シスター」
少年は1口、リンゴを食べた。少年の喉をリンゴが通過したと思ったら、吐血した。真っ赤に拡がっていく血に少年は戸惑う。
「シ、スター……ぐほぉ」
「失敗かしら……」
少年はゆっくりと呼吸する 。少しづつ落ち着いてきたが、目眩と吐き気は止まらない様子で倒れ込む。
「まぁ、なんて事なの!成功よ!私たちは最高の兵器を手に入れたわ!早く血を抜いて!殺してはダメよ」
少年は仰向けに寝かされると、注射針を刺されて血を抜かれる。おぞましい光景に口は開いたまま塞がらない。
「シスター……僕はいつから、1人なんだろう……」
「●▲、貴方は……最初から1人よ」
天使のような笑みを浮かべてシスターは言った。
「ねぇ、教えてあげるあなたの存在意義。その血の価値を。貴方は一生血を抜かれる運命なのよ」
「僕は神様に……」
「そう愛されたの。他の兄弟が何人も死んだけれど、貴方だけが生き残ったの」
目眩と吐き気はどうなったのだろうか、少年は少し目の色がはっきりとした。
「兄弟……あぁ、そうだ。皆はなんで……兄さんは!?」
「死んだわ。貴方たちは生まれた時から毒を食べ続けていたの。色々な毒を毎日摂取してた。毒に耐えられず、他の兄弟はみんな死んでしまったわ」
「なんで、毒を……。食べれば神に愛されるんじゃないの!?」
「貴方の体液が全て毒を含んでる。生まれてからずっと毒に体を慣らして、様々な毒を混ぜ合わせた。それは解毒不可能な完全オリジナルの毒!これで私たちは戦争に勝てるわ!」
「神様……」
少年は目を閉じる。よく見れば顔色が悪い。血を抜かれて貧血になっているんだ。
「神様……神様……僕は1人なんかじゃないですよね。神様……」
少年は虚ろな目で神に問いかける。
「神様……そうですよね...。僕は食べることで救われますよね。お許しください、神様……」
少年はシスターにゆっくり近づく。シスターは天使のような笑みで両手を広げる。
「神に愛された●▲、私達を救ってくれてありがとう。ご飯は美味しかったかしら?」
少年は力弱く微笑むとシスターに流れるように口付けをした。シスターの顔は真っ青になる。その口を舌ごと噛みちぎる。
「ぐふぉ…」
シスターは血を吐く。周りのシスターはすぐさま駆け寄る。駆け寄ったシスターに少年が手首を噛み切って血をかける。周りはパニックになった。
地獄絵図だ。吐血し吐瀉し、死んでいく。
やがて少年だけが瀕死の状態で残った。
「香しい血の匂い。その特別な血に誘われて、やって来ました。私は暴食の悪魔、ベルゼブブ」
「ヒュー、ヒュー」
「おやおや、死にそうですね?生きたいですか?」
少年は首を振って拒否をする。
「行きたくないと?困った困った、僕は君と契約するのに死なれてはねぇ。貴方は願いはないのですか?」
「ヒュー、どうして僕は1人なんだ、ろう」
「仲間が欲しいのですか?」
少年は首を振る。
「もう、なに、も食べたくないのに……本当に美味しい味を知りたい……。兄さんが教えてくれた幸せの味……。兄さん、僕はいつからひとりなんだろう……」
「分かりました!その願い、私が叶えてあげましょう!貴方は血を飲めば、生きていける体に生まれ変わるのですよ。幸せの味はそこから探しましょ」
少年はそのまま悪魔に抱かれて寝台に運ばれる。少年の傷は少しづつ回復していく。
「僕は兄弟が欲しいよ……」
「それも叶えましょうねぇ。」
悪魔は少年の手首から滴る血を飲む。血を飲み干した先に、黄色い薔薇が咲く。
「貴方の肌は病的に白いですから、黄色のバラが良くお似合いですよ。さぁ、これから貴方は血を飲んで生きるのです。手始めにどうぞ、シスターの血を」
悪魔は少年の口に血を運ぶ。少年は虚ろな目で口に端から血を零しながら少しづつ飲む。
「神様……。食べない僕を、こんな僕を愛してください」
「悪魔が愛してあげるさ」
抱きしめる悪魔に少年は目を閉じた。グラ……君が物を食べないのは、残酷な記憶の代償だったんだ...。
少年はただ食べては吐いてを繰り返す。
「シスター、僕もう……」
「そう、じゃあ最後にこれを食べましょう...。美味しいリンゴよ」
「はい、シスター」
少年は1口、リンゴを食べた。少年の喉をリンゴが通過したと思ったら、吐血した。真っ赤に拡がっていく血に少年は戸惑う。
「シ、スター……ぐほぉ」
「失敗かしら……」
少年はゆっくりと呼吸する 。少しづつ落ち着いてきたが、目眩と吐き気は止まらない様子で倒れ込む。
「まぁ、なんて事なの!成功よ!私たちは最高の兵器を手に入れたわ!早く血を抜いて!殺してはダメよ」
少年は仰向けに寝かされると、注射針を刺されて血を抜かれる。おぞましい光景に口は開いたまま塞がらない。
「シスター……僕はいつから、1人なんだろう……」
「●▲、貴方は……最初から1人よ」
天使のような笑みを浮かべてシスターは言った。
「ねぇ、教えてあげるあなたの存在意義。その血の価値を。貴方は一生血を抜かれる運命なのよ」
「僕は神様に……」
「そう愛されたの。他の兄弟が何人も死んだけれど、貴方だけが生き残ったの」
目眩と吐き気はどうなったのだろうか、少年は少し目の色がはっきりとした。
「兄弟……あぁ、そうだ。皆はなんで……兄さんは!?」
「死んだわ。貴方たちは生まれた時から毒を食べ続けていたの。色々な毒を毎日摂取してた。毒に耐えられず、他の兄弟はみんな死んでしまったわ」
「なんで、毒を……。食べれば神に愛されるんじゃないの!?」
「貴方の体液が全て毒を含んでる。生まれてからずっと毒に体を慣らして、様々な毒を混ぜ合わせた。それは解毒不可能な完全オリジナルの毒!これで私たちは戦争に勝てるわ!」
「神様……」
少年は目を閉じる。よく見れば顔色が悪い。血を抜かれて貧血になっているんだ。
「神様……神様……僕は1人なんかじゃないですよね。神様……」
少年は虚ろな目で神に問いかける。
「神様……そうですよね...。僕は食べることで救われますよね。お許しください、神様……」
少年はシスターにゆっくり近づく。シスターは天使のような笑みで両手を広げる。
「神に愛された●▲、私達を救ってくれてありがとう。ご飯は美味しかったかしら?」
少年は力弱く微笑むとシスターに流れるように口付けをした。シスターの顔は真っ青になる。その口を舌ごと噛みちぎる。
「ぐふぉ…」
シスターは血を吐く。周りのシスターはすぐさま駆け寄る。駆け寄ったシスターに少年が手首を噛み切って血をかける。周りはパニックになった。
地獄絵図だ。吐血し吐瀉し、死んでいく。
やがて少年だけが瀕死の状態で残った。
「香しい血の匂い。その特別な血に誘われて、やって来ました。私は暴食の悪魔、ベルゼブブ」
「ヒュー、ヒュー」
「おやおや、死にそうですね?生きたいですか?」
少年は首を振って拒否をする。
「行きたくないと?困った困った、僕は君と契約するのに死なれてはねぇ。貴方は願いはないのですか?」
「ヒュー、どうして僕は1人なんだ、ろう」
「仲間が欲しいのですか?」
少年は首を振る。
「もう、なに、も食べたくないのに……本当に美味しい味を知りたい……。兄さんが教えてくれた幸せの味……。兄さん、僕はいつからひとりなんだろう……」
「分かりました!その願い、私が叶えてあげましょう!貴方は血を飲めば、生きていける体に生まれ変わるのですよ。幸せの味はそこから探しましょ」
少年はそのまま悪魔に抱かれて寝台に運ばれる。少年の傷は少しづつ回復していく。
「僕は兄弟が欲しいよ……」
「それも叶えましょうねぇ。」
悪魔は少年の手首から滴る血を飲む。血を飲み干した先に、黄色い薔薇が咲く。
「貴方の肌は病的に白いですから、黄色のバラが良くお似合いですよ。さぁ、これから貴方は血を飲んで生きるのです。手始めにどうぞ、シスターの血を」
悪魔は少年の口に血を運ぶ。少年は虚ろな目で口に端から血を零しながら少しづつ飲む。
「神様……。食べない僕を、こんな僕を愛してください」
「悪魔が愛してあげるさ」
抱きしめる悪魔に少年は目を閉じた。グラ……君が物を食べないのは、残酷な記憶の代償だったんだ...。
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