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1章 様々な初体験を
第2話 初魔法と王子の計画
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私は、図書館で今日も魔導書を読んでいた。
「ふむふむ…。魔法とはイメージが大切で、イメージ次第で威力も変わると。それに伴った魔力が消費され、魔法陣や詠唱を使えば、より具体的で確実な魔法が扱えるのね。」
魔力が無くなれば、魔法士は途端に無力になる。
だが当然、魔力が無限にある訳では無い。
ステータスの様なものもない為、自分で魔力があとどれ位なのか、把握することが必要となる。
個人が制御出来る魔力の量は決まっている。
魔法はイメージで発動する事が可能だが、自分が制御出来ない量の魔力を使おうとすると、魔力が爆発し、自分や近くにいる者が被害にあうのだ。
毎日少しずつ制御する魔力の量を増やしていくことで、膨大な魔力を必要とする魔法も使用可能となる。
「やっぱりここにいた。相変わらずの読書ぶりだね。」
「あ、レヴィーア兄様!」
「ヴィアでいいよ。」
「では…。ヴィア兄様は何故ここに?」
「リアラは魔法が好きだけど、まだ使った事なかったよね?」
「はい。使いたいのは山々ですが、初めて使う魔法というものは、誰かに教えてもらわないと分からなくて…。」
レヴィーア・フィールア 第一王子
この国の王太子だ。
その魔法の腕と剣技は中々のものであり、強さでは国のTOP5に入るほどだ。
頭も良く、金髪に碧眼という容姿は、まさに王子様といった感じだ。
「それもそうだね。でも魔導書ばかり読んでいるリアラが言うと、ちょっとなぁ。」
「それは酷いですヴィア兄様!いくら私が魔導書を毎日読んでるとはいえ、まだ魔法の使い方自体は分からないんですから。」
「はははっ。確かにそれもそうだね。知識があっても、使い方が分からないと無駄だからね。実際に魔法を使っている人から教わらないと、1人で初めて魔法を使うというのはかなり危険だね。」
魔法の知識をどれだけ頭に入れても、実践出来なければ意味が無い。
魔導書には、魔力を感じる事が大切だと書いてあったが、それが難しいのだ。
逆に、それが出来れば魔法を使う事なんて造作もないことになる。
「これから魔法練習場に行くんだけど、一緒に行かないかい?」
「…!いいのですか!?」
「もちろん。魔法の使い方、教えてあげるよ?」
「今すぐに本片付けてきます。ちょっと待っててください!」
くすくすと悪戯っぽくレヴィーアは笑う。
それと同時に、これからが楽しみになる。
魔法を使えるようになったリアラが、どのような魔法を使うのかを。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まさか1番上の兄から教われるとは思ってもみなかった。
国のトップクラスの人に教えてもらえるのだ。
今日から魔法が使えるようになるのは、約束されたも同然。
「さて、それじゃあ始めよっか。」
「はい!お願いします、ヴィア兄様!」
「うんうん。やる気があってよろしい。」
レヴィーアは事細かに、そして分かりやすく魔力について教えてくれた。
その甲斐あってか、たったの30分程度で魔法が使えるようになった。
「火球!」
「凄いじゃないか!もう魔法が使えるようになるなんて。」
「全てはヴィア兄様の教え方がお上手だからですよ。」
私は静かに微笑む。感謝の意を込めて。
魔法が使えた事に対して、内心ではとてもはしゃいでいるが、今はその気持ちを抑える。
「それでも流石だよ。もう少し時間がかかると思っていたのに。」
「ありがとうございます、ヴィア兄様。」
「さて、思ったよりも早く魔法が使えたし、僕は少し残している仕事を片付けてくるね。」
「はい。頑張ってくださいね。今日は本当にありがとうございました。」
「どういたしまして。」
お互いに手を振りあって、私とレヴィーアはその場を後にしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レヴィーアは思う。
(妹はきっと、将来自分が王になった時、いや、それよりも先に、この国にとって重要な魔法士へと成長してくれるだろう。)
レヴィーアは不敵に笑った。
将来強くなったリアラを、本人に気付かれずに、上手く利用してやろうと。
その為に今は仲良くして、良い関係を築いておくという計画だ。
だがそれは、牽制しあっている他国に侵略戦争を仕掛けようという意味だった。
その事を、今のリアラは知る由もなかった。
「ふむふむ…。魔法とはイメージが大切で、イメージ次第で威力も変わると。それに伴った魔力が消費され、魔法陣や詠唱を使えば、より具体的で確実な魔法が扱えるのね。」
魔力が無くなれば、魔法士は途端に無力になる。
だが当然、魔力が無限にある訳では無い。
ステータスの様なものもない為、自分で魔力があとどれ位なのか、把握することが必要となる。
個人が制御出来る魔力の量は決まっている。
魔法はイメージで発動する事が可能だが、自分が制御出来ない量の魔力を使おうとすると、魔力が爆発し、自分や近くにいる者が被害にあうのだ。
毎日少しずつ制御する魔力の量を増やしていくことで、膨大な魔力を必要とする魔法も使用可能となる。
「やっぱりここにいた。相変わらずの読書ぶりだね。」
「あ、レヴィーア兄様!」
「ヴィアでいいよ。」
「では…。ヴィア兄様は何故ここに?」
「リアラは魔法が好きだけど、まだ使った事なかったよね?」
「はい。使いたいのは山々ですが、初めて使う魔法というものは、誰かに教えてもらわないと分からなくて…。」
レヴィーア・フィールア 第一王子
この国の王太子だ。
その魔法の腕と剣技は中々のものであり、強さでは国のTOP5に入るほどだ。
頭も良く、金髪に碧眼という容姿は、まさに王子様といった感じだ。
「それもそうだね。でも魔導書ばかり読んでいるリアラが言うと、ちょっとなぁ。」
「それは酷いですヴィア兄様!いくら私が魔導書を毎日読んでるとはいえ、まだ魔法の使い方自体は分からないんですから。」
「はははっ。確かにそれもそうだね。知識があっても、使い方が分からないと無駄だからね。実際に魔法を使っている人から教わらないと、1人で初めて魔法を使うというのはかなり危険だね。」
魔法の知識をどれだけ頭に入れても、実践出来なければ意味が無い。
魔導書には、魔力を感じる事が大切だと書いてあったが、それが難しいのだ。
逆に、それが出来れば魔法を使う事なんて造作もないことになる。
「これから魔法練習場に行くんだけど、一緒に行かないかい?」
「…!いいのですか!?」
「もちろん。魔法の使い方、教えてあげるよ?」
「今すぐに本片付けてきます。ちょっと待っててください!」
くすくすと悪戯っぽくレヴィーアは笑う。
それと同時に、これからが楽しみになる。
魔法を使えるようになったリアラが、どのような魔法を使うのかを。
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まさか1番上の兄から教われるとは思ってもみなかった。
国のトップクラスの人に教えてもらえるのだ。
今日から魔法が使えるようになるのは、約束されたも同然。
「さて、それじゃあ始めよっか。」
「はい!お願いします、ヴィア兄様!」
「うんうん。やる気があってよろしい。」
レヴィーアは事細かに、そして分かりやすく魔力について教えてくれた。
その甲斐あってか、たったの30分程度で魔法が使えるようになった。
「火球!」
「凄いじゃないか!もう魔法が使えるようになるなんて。」
「全てはヴィア兄様の教え方がお上手だからですよ。」
私は静かに微笑む。感謝の意を込めて。
魔法が使えた事に対して、内心ではとてもはしゃいでいるが、今はその気持ちを抑える。
「それでも流石だよ。もう少し時間がかかると思っていたのに。」
「ありがとうございます、ヴィア兄様。」
「さて、思ったよりも早く魔法が使えたし、僕は少し残している仕事を片付けてくるね。」
「はい。頑張ってくださいね。今日は本当にありがとうございました。」
「どういたしまして。」
お互いに手を振りあって、私とレヴィーアはその場を後にしたのだった。
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レヴィーアは思う。
(妹はきっと、将来自分が王になった時、いや、それよりも先に、この国にとって重要な魔法士へと成長してくれるだろう。)
レヴィーアは不敵に笑った。
将来強くなったリアラを、本人に気付かれずに、上手く利用してやろうと。
その為に今は仲良くして、良い関係を築いておくという計画だ。
だがそれは、牽制しあっている他国に侵略戦争を仕掛けようという意味だった。
その事を、今のリアラは知る由もなかった。
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