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良くも悪くもない……いや、悪い方…?
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「さて、今回も大儀であった。ヴァリフィアよ。」
「「「えぇっ!」」」
その瞬間、事情を知らない貴族達がざわついた。
一斉に私の方を振り向く。
私が謁見の間に呼ばれた時点で、気付いている者も少なからずいたようだが。
(まぁそうなるよね……。私が今回の件を調査していたのは事実だから、仕方がないけれど。)
溜息をつきそうになるが、公の場なのでぐっと抑え込む。
「皆の者、よく聞くが良い。今回の諜報員3名を明らかにさせたのは、ヴァリフィア・ラーノンスだ。」
「おぉ!かつて伯爵の件でも活躍なされたご令嬢が……!」
「流石は『賢華』ヴァリフィア令嬢だ!」
国王陛下が確言すると、それぞれが思い思いに言葉を発した。
それを聞いて私は恥ずかしくなる一方、少し呆れる。
(また面倒な事になりそう……。)
嫌な予感は、ほぼ確実に当たるものだ。
国王陛下が続けて言う。
「よって、ヴァリフィアに褒美を取らせようと思う。異論のあるものはおるか?」
「「「……。」」」
「いないようだな。ではヴァリフィアよ。」
「はい。」
「この件は、国に関わる大事だ。見合った褒美を与えたい。何か望みはあるか?」
「……。私は殿下の婚約者。それ故に、国の為に尽くす事は当然かと存じます。」
「ふむ……つまり、褒美は望まない…と。しかし、そういう訳にもいかぬ。」
(これ以上の拒絶は失礼にあたるよね……。でも欲しいものなんてないよ?)
どうしようかと悩んでいると、公爵の1人が提案を申し出た。
「陛下、恐れながら。ヴァリフィア令嬢は魔法の才に長けていると存じております。ですので、研究所などをお与えになってはいかがでしょうか。」
「うむ、それは良いな!国の空き地に研究棟を建てさせよう。助手も幾人か付けて…な。」
(え、研究棟っ!?いや、嬉しいよ?嬉しいけど、それって……私の力を独占しようって腹積もりじゃ……。)
しかし、悪い案ではなかった。
バッドエンド回避の為、この世界の魔法をもっと極めたいとは思っていたので、逆に好都合とも言える。
言えるのだが……。
「どうだ、ヴァリフィア。」
「は、はい…それでよろしくお願い致します……。」
「そうか、そうか!では、学園の近くに建てさせよう。1人目の助手は、ディルジアだな。」
「ええっ!?」
思わず声が出てしまった。
国王陛下が私を見てくる。
「嫌なのか…?」
「いえ、そのような事は!ですが、ディルジア殿下が助手とは…よろしいのでしょうか。」
「構わぬ。そなたも信頼出来るだろう?それに、婚約者どうしなのだ。他の男を助手にするも、良いだろうしな。」
国王陛下が、裏では笑っているような気がした。
正直、バッドエンドに向かう要素を抱えているような気分で本当に嫌なものだ。
気は進まないが、断れる雰囲気でもない。
「分かりました……。ディルジア殿下にご協力を、お願い致します。」
「うむ、余から言っておこう。」
私の特別研究棟が建てられるのは嬉しいが、常にディルジアが傍にいるとなると、気が休まらないだろう。
(どうしてこうなった……。ディルジアを傍に置くなんて…。)
攻略対象=爆弾だ。
バッドエンドを回避したいが、何故か向こうから寄ってくる。
さらに頭を悩ませる、ヴァリフィアなのであった。
「「「えぇっ!」」」
その瞬間、事情を知らない貴族達がざわついた。
一斉に私の方を振り向く。
私が謁見の間に呼ばれた時点で、気付いている者も少なからずいたようだが。
(まぁそうなるよね……。私が今回の件を調査していたのは事実だから、仕方がないけれど。)
溜息をつきそうになるが、公の場なのでぐっと抑え込む。
「皆の者、よく聞くが良い。今回の諜報員3名を明らかにさせたのは、ヴァリフィア・ラーノンスだ。」
「おぉ!かつて伯爵の件でも活躍なされたご令嬢が……!」
「流石は『賢華』ヴァリフィア令嬢だ!」
国王陛下が確言すると、それぞれが思い思いに言葉を発した。
それを聞いて私は恥ずかしくなる一方、少し呆れる。
(また面倒な事になりそう……。)
嫌な予感は、ほぼ確実に当たるものだ。
国王陛下が続けて言う。
「よって、ヴァリフィアに褒美を取らせようと思う。異論のあるものはおるか?」
「「「……。」」」
「いないようだな。ではヴァリフィアよ。」
「はい。」
「この件は、国に関わる大事だ。見合った褒美を与えたい。何か望みはあるか?」
「……。私は殿下の婚約者。それ故に、国の為に尽くす事は当然かと存じます。」
「ふむ……つまり、褒美は望まない…と。しかし、そういう訳にもいかぬ。」
(これ以上の拒絶は失礼にあたるよね……。でも欲しいものなんてないよ?)
どうしようかと悩んでいると、公爵の1人が提案を申し出た。
「陛下、恐れながら。ヴァリフィア令嬢は魔法の才に長けていると存じております。ですので、研究所などをお与えになってはいかがでしょうか。」
「うむ、それは良いな!国の空き地に研究棟を建てさせよう。助手も幾人か付けて…な。」
(え、研究棟っ!?いや、嬉しいよ?嬉しいけど、それって……私の力を独占しようって腹積もりじゃ……。)
しかし、悪い案ではなかった。
バッドエンド回避の為、この世界の魔法をもっと極めたいとは思っていたので、逆に好都合とも言える。
言えるのだが……。
「どうだ、ヴァリフィア。」
「は、はい…それでよろしくお願い致します……。」
「そうか、そうか!では、学園の近くに建てさせよう。1人目の助手は、ディルジアだな。」
「ええっ!?」
思わず声が出てしまった。
国王陛下が私を見てくる。
「嫌なのか…?」
「いえ、そのような事は!ですが、ディルジア殿下が助手とは…よろしいのでしょうか。」
「構わぬ。そなたも信頼出来るだろう?それに、婚約者どうしなのだ。他の男を助手にするも、良いだろうしな。」
国王陛下が、裏では笑っているような気がした。
正直、バッドエンドに向かう要素を抱えているような気分で本当に嫌なものだ。
気は進まないが、断れる雰囲気でもない。
「分かりました……。ディルジア殿下にご協力を、お願い致します。」
「うむ、余から言っておこう。」
私の特別研究棟が建てられるのは嬉しいが、常にディルジアが傍にいるとなると、気が休まらないだろう。
(どうしてこうなった……。ディルジアを傍に置くなんて…。)
攻略対象=爆弾だ。
バッドエンドを回避したいが、何故か向こうから寄ってくる。
さらに頭を悩ませる、ヴァリフィアなのであった。
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