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笑顔の裏……

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「さて、作戦が決まれば、後は行動あるのみだね。」

「はい。」「ああ。」


ディルジアの説明により、潜入などの段取りを共有した。
しかし、朝から話をしているのでまだ正午前だ。


「潜入は、夜の方が良いでしょう。密告して下さった方と入れ替わる時が増えますから。」

「そうだね。リフィの言う通りだと思う。」

「だとしても、夜までは半日程ある。ディル、何をして過ごすんだ?」

「……何をしようか?」

「おいおい……。する事が無いんだったら、待ちぼうけだぞ?」


やれやれ、と参ったという風に両手を横に出して首を振るエフェン。
確かに、長時間この古びた小屋で過ごすのは嫌なものだ。
そこで……


「殿下、エフェン。提案があります。」

「お、名案でもあるのかい?」


私の言葉に、2人がこちらを向く。
そしてエフェンが問うてきた。


「密告者の方と会えませんか?話を聞いておきたいのです。」

「それは良いね。」

「ディル、密告者はその貴族に仕えている者だったよな。呼び出しなんてしたら、怪しまれるんじゃないか?」

「問題ないと思うよ。その人は書記官でね。時々王城に報告書を提出しに来るのさ。」

「だが、王城に訪れる日にちが決まっているんじゃ…。」

「今日がまさにその日だよ。」


にやりと笑いながらエフェンに言うディルジア。
しかし、王城までは距離があった。
どうやって行くのだろうか、そう思っていると…


「早速王城へ向かおう。」

「ですが殿下。今からでは往復の時間を考えますと、とても行けるとは思いませんが…。」

「そこはリフィの出番だろ?」

「私もヴァリフィアの魔法を見てみたい。」

「はぁ……分かりましたよ。私が提案したのですからね。仕方ありません。」


そして私は指を鳴らす。
すると一瞬で王城へと着いた。


「流石リフィだね。」

「ここまで魔法を極めているとは……オタク感が伺えるね。」

「エフェン、殴りますよ?」

「おぉっ、コワイコワイ。」

「???」

「殿下。早速書記官の方を探しますよ!」

「あ、ああ…。」


ディルジアに「オタクとは何か」と聞かれる前に、話を逸らしておいた。
そして30分後に、書記官を見つける事が出来た。
ディルジアのみで話しかける。
私とエフェンは後ろで待機だ。


「こんにちは。」

「ディ、ディルジア殿下!?ご、ご機嫌麗しゅう…。」

「貴方が、男爵家の書記官ですね?」

「そうですが…なにか御用ですか?」

「お話を伺いたいのですよ。貴方が提出した、秘密のものについての。」

「……!分かりました。協力させていただきます。」


終始王子スマイルを崩さないディルジア。
それを見て私達は顔を見合わせる。


「ディルの王子スマイル……怪しく見えちゃうね…。」

「まぁあのスマイルで、他の貴族令嬢達は落ちちゃうけどね。」

「ははっ。怪しく見えるのは私達だけか。」

「全く、その通りだよ……。」


苦笑しながら小声で話していると、ディルジアが書記官を連れてこちらへと来た。


「何を仲良さそうに話していたのですか……?」

「いえ、殿下は流石だなと、関心していたのです。」

「……無駄話は程々にして、こちらがかの貴族の書記官です。」

「お初にお目にかかります。」

「初めまして。私はエフェンと申します。こちらは『賢華』の二つ名を持つヴァリフィアです。」

「その紹介の仕方、やめていただけますか…?」

「笑顔で言うの止めてくれ…。結構怖いから。」

「ふふっ。……改めまして。紹介に預かりました、ヴァリフィアと申します。よろしくお願いしますね。」

「私はゴーデと申します。以後お見知り置きを。話をお聞きしたいとの事でしたが……。」

「はい。ゴーデさんから、直接お話を伺いたかったのです。とりあえず場所を移しましょう。」


そして私は、全員を先程の小屋へと瞬間移動させたのだった。
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