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条件付きです

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「我をどうするつもりだ。」

「そうですね……。条件をのむのであれば、無傷で帰しますよ。一つは強制的に言うことを聞いてもらいますが。」

「何っ…だと?」

「『私が剣を扱えることは誰にも伝えてはならない。』」

「っ……。っは!何をした!?」


私が言葉を発すると、ビクンと身体を震わせ、一瞬固まった。
そして我に返ると、目を見開いて聞いてきた。


「『呪言』です。強制系魔法の1種であり、呪いの魔法でもあります。先程も言ったように、私が剣を扱えることは誰にも伝えてはなりませんよ。伝えようとすれば、即座に死んでしまいますから。」

「なっ!?」

「本当ですよ?『伝える』とは、言葉で話すことは勿論、紙に書くことも何らかの魔法で伝えることもしてはなりません。このことを覚えておくようにお願いしますね。」

「……分かった…。それで、条件とは?」

「簡単な事です。私からの警告を、皇帝陛下にお伝えください。『これ以上私を調査するのならば、容赦はしない。』と。周辺をうろつかれては、迷惑ですので。それと……。」

「それと…?」

「この国に引き続き探りを入れるというのならば、私やエフェン様が知っているそちらの情報についても、国王陛下に伝えさせていただくことになります。よく考えて行動することです。では行って良いですよ。」


私は笑顔で『魔光縛』を解いた。
皇帝直属騎士団の副団長は、顔を引き攣らせながら帝国へと戻って行った。
彼は走りながら思う。


(絶対にヴァリフィアに手を出してはならない…!戦って分かった……あれは化け物だ!強がっていたのは我だ……。分かっていてあのような態度を取っていたが、万一にも勝ち目はなかった。皇帝陛下に全て伝えなければ、彼女や情報屋から情報を得たツィレイル王国に、攻め滅ぼされかねん……。)


不味いと思いつつ、一刻も早く皇帝陛下に伝えるべく急ぐ。
しかし、もう1つ思うところがある。


(それにしても、よく国のトップである皇帝陛下に脅しのような言葉を告げられるな……。しかし二つ名を持つ彼女の言葉は、時には国王陛下や皇帝陛下よりも意味を持つ。無下には出来ない……。)


物怖じしない態度に、少し敬意を覚えてしまうほどなのだった。
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