秋の風 冬の色

 秋元早和は、小学生の頃、風邪をこじらせ、左耳の聴力と、左の腎臓の機能を失った。
 ある日、高校時代の同級生だった涼子の赤ちゃんが、早和の勤務するNICUにやってきた。
 涼子は子宮頸がんの手術を受けるために、妊娠8ヵ月になるのを待って、子供を出産したが、母子共に出産後数日で亡くなってしまう。
 結婚や出産に、希望が見えなくなってきた早和は、NICUにいる事が、だんだんと辛くなってくる。
 亡くなった涼子は、早和の前に時々現れ、何もかも失ったのは、早和のせいだと責め続ける。
 早和の体をくれないのなら、大切な人を奪っていくと、涼子は言った。
 6年目の医師、澤口奏は、人と距離を置こうとする早和に、少しずつ近づいて、心を開こうとしていた。自分もまた、家族のと距離に悩んでいた。
 少しずつ打ち解けていった2人の前に、涼子が現れる。
 NICUを辞め、養護学校へ就職した早和は、そこで出会う子供達と、想像もつかない毎日を送っていた。世間の常識にとらわれず、自分らしく生きる事を教えてる教師達に囲まれながら、自分の気持ちに向き合える様になってきた。
 奏と離れてから3ヵ月。生徒の付き添いで病院を訪れた時、小児科医として外来にいた奏と再会する。
 奏に対して素直になれない早和は、同僚の凌に、奏が会いに来ると言った日の夕方、一緒にいてほしいと頼んだ。
 玄関で凌を待つ早和を見つけた奏は、体調が悪そうな早和を病院へ行くように説得した。
 大学の前にあるイチョウ並木に吹く風が、またひとつの出会いを運んでくる。
24h.ポイント 0pt
120
小説 220,894 位 / 220,894件 恋愛 64,417 位 / 64,417件

あなたにおすすめの小説

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

上手に騙してくださらなかった伯爵様へ

しきど
恋愛
 アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。  文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。  彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。  貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。  メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。

さよならも言わずに消えたあなたを

阿里
恋愛
「幸せになれ」なんて、そんな勝手な願い、受け入れられるわけがない。 私を人間界へ突き放し、一人で死んでいった大馬鹿な魔王様。 彼が守ったこの平和な世界で、私は毎日あなたを思い出して泣いていた。 けれど、魔石の脈動が告げている。あなたはまだ、そこにいる。 今度こそその手を離さない。たとえ姿が変わっていても、私はあなたの瞳を見間違えたりしない。

一妻多夫の獣人世界でマッチングアプリします♡

具なっしー
恋愛
前世の記憶を持つソフィアは、綿菓子のような虹色の髪を持つオコジョ獣人の令嬢。 この世界では男女比が極端に偏っており、女性が複数の夫を持つ「一妻多夫制」が当たり前。でも、前世日本人だったソフィアには、一人の人を愛する感覚しかなくて……。 そんな私に、20人の父様たちは「施設(強制繁殖システム)送り」を避けるため、マッチングアプリを始めさせた。 最初は戸惑いながらも、出会った男性たちはみんな魅力的で、優しくて、一途で――。 ■ 大人の余裕とちょっと意地悪な研究者 ■ 不器用だけど一途な騎士 ■ ぶっきらぼうだけど優しい元義賊 ■ 完璧主義だけど私にだけ甘えん坊な商人 ■ 超ピュアなジムインストラクター ■ コミュ力高めで超甘々なパティシエ ■ 私に一生懸命な天才年下魔法学者 気づけば7人全員と婚約していた!? 「私達はきっと良い家族になれます!」 これは、一人の少女と七人(…)の婚約者たちが、愛と絆を育んでいく、ちょっと甘くて笑える逆ハーレム・ラブコメディ。 という異世界×獣人×一妻多夫×マッチングアプリの、設定盛りだくさんな話。超ご都合主義なので苦手な人は注意! ※表紙はAIです

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

後宮の死体は語りかける

炭田おと
恋愛
 辺境の小部族である嶺依(りょうい)は、偶然参内したときに、元康帝(げんこうてい)の謎かけを解いたことで、元康帝と、皇子俊煕(しゅんき)から目をかけられるようになる。  その後、後宮の宮殿の壁から、死体が発見されたので、嶺依と俊煕は協力して、女性がなぜ殺されたのか、調査をはじめる。  壁に埋められた女性は、何者なのか。  二人はそれを探るため、妃嬪達の闇に踏み込んでいく。  55話で完結します。