【R-18】キスからはじまるエトセトラ【完結】

田沢みん

文字の大きさ
74 / 169

73、誕生日の夜に (2) *

しおりを挟む
 
 ズン!

「ああっ!」

 一番奥まで到達する感覚があって、楓花は思わず顔を歪めて大声を出した。

「キツいか?……」

 もう止められないと言いつつ、天馬は腰を打ち付けるのをやめて、浅いところでゆるゆると腰を揺すって様子を窺っている。楓花を気遣ってくれているのだ。

「だい……じょぶ…だから……続けて…」
「でも、お前……」

「少しずつ……慣れてきた気が…するから……お願いだから、やめないで……」

 少しずつ2人でステップアップをして、漸くこの日を迎えたのだ。天馬を散々待たせた挙句、今度は中断だなんて、そんなことはさせたくない。
 それに楓花自身だって、貫かれた痛みよりもやっと一つになれた喜びの方が大きいのだ。
 ずっとこのまま繋がっていたい、離れたくない。だから……。

「天にいとくっついてたいの。もっと天にいを感じたい。だから……動いて……」

 途端に楓花の中で天馬自身がビクンと跳ねた。
隘路の中で質量が増し、隙間なくギッチリと埋め尽くされる。

「ああっ!」

「ほんっとに煽ってくれるよな……マジでセーブ出来なくなるぞ……」
「セーブいらない……」

「くそっ!もう知らん!」

 入口の辺りで腰を回してグリグリ擦り付けてから、ギリギリまで引き抜いて……ズンッ!と最奥まで突き上げた。

「あーーーっ!」

 シーツに爪を立てていたら天馬に手を取られた。指を絡め、力強く握られる。
 そのまま天馬はゆっくりと腰をグラインドさせ、奥にズンと挿し込むを繰り返している。

「なんだこコレ……ヤバっ、気持ち良すぎる……」

 下から見上げる天馬は、目を薄っすらと閉じて口を半開きにした恍惚の表情を浮かべている。
 吐息に混じって時折聞こえて来る喘ぎ声が色っぽく、それだけで奥の方から濡れて来るのが分かる。グチュッ、グチュッ……と水っぽい音が聞こえだす。

「うっ……ごめん楓花……締め付けが凄くて持ってかれる……もう……」

 言うが早いか急に腰の動きが速くなり、規則的なピストン運動が始まる。その度に中が擦れてゾワゾワする。
 いつの間にか痛みは消えて、代わりに甘い疼きが芽生え始めていた。

「あっ……あっ……凄い…っ」
「楓花……気持ちいい……もう……っ!」

  パンッ、パンッ、パンッ……

 肌と肌がぶつかり合い、汗を弾く音が響き渡る。
 打ち付けるリズムが徐々に速くなり、快感の波が押し寄せる。

「あっ……もうっ……もう駄目っ!」
「うっ……イくっ!」

 達したのは同時だった。
 中で天馬の漲りが大きくブルンと跳ね、そのあと少し間隔を置いて何度かビクン、ビクンと精を吐き出すのを感じた。

 暫くすると手が離され身体が離れ、ズルッと肉棒が引き抜かれる。
 自分の一部が取り出されてしまったように感じて、なんだか寂しくなった。

 天馬はゴムを外して処理をしながら、苦々しい顔で小さく「くそっ」と呟いている。

「楓花、もしかして早漏野郎とか思ってる?……言っとくけど、いつもはこんなに早くないからな」

「えっ、早漏って……そんなの分からないよ。私は天にいしか知らないし、速いか遅いかなんて比較のしようが無いし……」

「……そうか……そうだよな…」

 そこで漸く天馬はいつもの不敵な笑みを浮かべ、楓花を見下ろす。

「1回出したからもう大丈夫だ。今度こそじっくり可愛がってやれる。思う存分イきまくれよ」

ーーえっ?! イきまくるって……

「本当に気持ちよくなるのはこれからだ。……マジで啼かせるから」

「あ……きゃっ!」

 天馬は慣れた手つきで避妊具を装着すると、楓花の膝をグイッと開き、再び腰を沈めてきた。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...