煉獄の歌 

文月 沙織

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「ほら、いけ」
「い、いや、だ、も、もう……」
 敬は全身に力を入れて抵抗し、男によって引きずりだされ、はじけさせられつつあるみずからの欲望と対決するべく奮闘したが、十八の肉体は主をあっさりと裏切る。
「こいつ、本当に生意気な奴だな」
 瀬津の手に力がこもる。
「はぁっ!」
 もはやせきは持ちこたえられないところまで来ていた。
「あっ、あああっ! や、やめ、やめろ!」
 刹那せつな、敬は全身を雷につらぬかれたような声を出していた。 
「ああああっ!」

 屈辱と羞恥と恐怖に、視界が黒く染まり、敬は一瞬、意識をうしなっていた。
「ほら、どうした?」
 パチパチ、と優しく頬を打たれて気づいたとき、すぐ目の前に瀬津の顔があった。
 肌を刺す冷気に一瞬にして完全に覚醒した敬は、嶋の心配そうな目や二人の男の視線を感じて、あらたな羞恥に身をよじった。太腿のあたりに感じる湿ったしたたりにも、いたたまれない想いにさせられる。
「ほら、坊や、しっかりしろ」
 引きずられるようにして、崩れていた身体を再び膝立ちの姿勢に起こされ、さらにまた放ったばかりの肉茎に手をあてがわれ、敬は悲鳴をあげそうになった。
「な、なにするんだ?」
 絶頂前に言われた不吉な言葉が頭によぎる。たしか、瀬津は言わなかったか。「一回出しておけ」と。一回、と言うことは……。
 まさか、と思いはしたが、背後の瀬津はしごくあっさり返す。
「馬鹿餓鬼が。俺の仕置きが、たった一回で終わるわけがないだろう。ほら、もう一回頑張れよ」
「や、やめろ!」
 こんなおぞましい事をまたいられるのかと思うと、敬は背筋が凍り付く気がした。
「い、いやだ、もう嫌だ!」
 不覚にも声が涙声になる。
「うるせぇ」
 瀬津は面倒くさそうに言っただけで聞く耳もたない。
「あっ……、や、やめ」
 立てている膝を背後から手で広げられるようにされ、敬はあわてた。
「ほら、行くぞ」
「い、いやだ……!」
 敬の気持ちなどまったく無視して、瀬津は先ほどとおなじ刺激をあたえ、敬を悶絶させる。
「いや、いや、いや!」
 敬は見栄も忘れて、子どものように首を左右に振りつづけて拒絶をしめしたが、なすすべもなく、じきに恥辱のしたたりを絞り取られて、またも羞恥に喘いだ。
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