煉獄の歌 

文月 沙織

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 一瞬、傍観者たちは同時に息を飲んでいた。
 雪白の柔肌やわはだにところどろこ桜を散らしたような身体が、見た目にもあきらかに硬直し、そして弾けたように伸びた瞬間、敬はあられもない声を振りしぼり、悔しげに、切なげに眉を寄せ、うなじを見せて……。
(ああ……)
 恥ずかしい姿を嶋や男たちの目に見られているのかと思うと、そのまま自分自身まで引きちぎられて彼らの目に吸い取られてしまいそうだ。
「ふむ……」
 瀬津は一瞬、考え込むように呟くと、やおら、あぐらをかいて、その上に敬を抱きかかえた。
「うわっ」
 敬はあわてて逃れようとしてが許されるわけもなく、幼児のように瀬津の膝上にかかえあげられてしまう。
「こっちの方がよく見えるだろう。ほうら、坊や、可愛い格好をよく見てもらえ」
 瀬津の膝上で、背後からまわされた手で両ひざを大きく広げられてしまった。
 あまりの羞恥と恥辱に、敬は我をうしなった。
 今度こそ、舌を噛もうとしたが、それを察した陸奥が指を敬の口腔に押し込んできた。
「ぐぅ……!」
 思いっきり二本の指を血が滲むほどに噛んでやったが、相手は動じない。
 眉をしかめたのは瀬津だ。
「まったく懲りない餓鬼だ」
 罰だ、との一言とともに、晒された中心は男たちの目の前で激しく責めたてられた。
「あううう!」
 どんなに嫌がってはみても、敬のはちきれんばかりの若さは瀬津の手に素直になってしまう。
 全身の血がそこへ集まるようで、四肢から力が萎える。
「は……あっ……」
 それを見越して、陸奥の指が離れたが、自由になった口は、今度は瀬津によって屈服の言葉を引きずりだされた。
「ほら、どうだ?」
「あっ、も、もう……駄目だ」
 常時であれば、けっして口にしないような弱い呟きがもれてしまう。
「なにが駄目なんだ? え? 言ってみろ」
 敬の頬に涙が流れた。
 もはや強気にふるまう気力もない。
「あ、あっ、も、もう……よ、よせ、やめ、やめて……くれ。も、はなし……」
 言葉も弱くなっていく。
「お、ちょっとは素直になったような」
「あ、そ、そこ、触るな……やめて、もう、」
「駄目だ。陸奥の指を噛んだ罰だ。思いっきり恥を晒せ。ほら、遂け」
「はぁ……ん」
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