20 / 181
十一
しおりを挟む
朦朧としてきた敬の意識に、すべりこんだのは、嘲笑をふくんだ岩田の声だった。
「すごい格好だな」
かすかに残っていた敬の矜持が最後の抵抗をもたらして、どうにか瀬津の手を払おうと動いたが、ぴしゃり、と悪戯をたしなめるように瀬津の左手によって打ちはらわれる。
同時に、右手による追い込みが激しくなった。敬の白い太腿や足が震える。脱がされることない靴下に守られた足先も、小刻みに震えた。
信じられないほどに猥雑で、滑稽でもあれば、残酷で、そして官能に満ちた姿だった。
「あ、はぁ……!」
やがて襲ってきた絶頂に、敬はとうとうと、またほのかな雄の臭いを放ってしまった。
「ああああ……」
もはや悪態をつく元気もなく、己をいましめる男の腕に身を預けるよにして啜り泣いていた。
そんな弱気な一面を見せる敬をどう思ったか、瀬津は指で敬の頬にながれる涙を拭ってくれた。だが、後始末をさせてもらえない敬の身体には、恥ずかしい痕跡がのこったままで、それがまた敬を切なく追い詰める。
「あ、あの、もう、それで許してやってください」
嶋がおずおずと言うのに、瀬津はそっけない一瞥をくれてから、言い放った。
「もう一回だ。これで終わりにしてやる。坊や、今度は自分でやってみせてみろ」
「な……!」
さすがに弱っていた敬も瀬津の残酷な命令に、なけなしの気力を取り戻して、顔をこわばらせた。
「ほら、やれ。自分の手でちゃんとやってみせてみろ。ちゃんとやれたら、今日のところは帰してやる」
「こ、この野郎……!」
「なんだ? 嫌か? できないのか?」
敬は目に力を込め、身体をよじって相手を睨みつけた。
「出来るわけないだろう!」
「そうか。それじゃ、仕方ないな。俺がしてやるか」
さらに瀬津がつづけた言葉は敬から血の気を引かせた。
「おい、岩田、店行って、暇そうにしている女の子がいたら、二、三人呼んでこい」
言われた岩田は目をたぎらせた。
「二、三人でいいんですか?」
「ああ。まぁ、客でも好きそうな奴がいたら呼んできてやれ。こんな面白いショー、見逃せないと言ってな。安賀組の坊やの可愛い姿が見れるんだからな。あっという間に評判になっちまうかもな」
「や、やめろぉ!」
敬は蒼白になって、不利な体勢なのもかまわず、瀬津につかみかかっていた。
「すごい格好だな」
かすかに残っていた敬の矜持が最後の抵抗をもたらして、どうにか瀬津の手を払おうと動いたが、ぴしゃり、と悪戯をたしなめるように瀬津の左手によって打ちはらわれる。
同時に、右手による追い込みが激しくなった。敬の白い太腿や足が震える。脱がされることない靴下に守られた足先も、小刻みに震えた。
信じられないほどに猥雑で、滑稽でもあれば、残酷で、そして官能に満ちた姿だった。
「あ、はぁ……!」
やがて襲ってきた絶頂に、敬はとうとうと、またほのかな雄の臭いを放ってしまった。
「ああああ……」
もはや悪態をつく元気もなく、己をいましめる男の腕に身を預けるよにして啜り泣いていた。
そんな弱気な一面を見せる敬をどう思ったか、瀬津は指で敬の頬にながれる涙を拭ってくれた。だが、後始末をさせてもらえない敬の身体には、恥ずかしい痕跡がのこったままで、それがまた敬を切なく追い詰める。
「あ、あの、もう、それで許してやってください」
嶋がおずおずと言うのに、瀬津はそっけない一瞥をくれてから、言い放った。
「もう一回だ。これで終わりにしてやる。坊や、今度は自分でやってみせてみろ」
「な……!」
さすがに弱っていた敬も瀬津の残酷な命令に、なけなしの気力を取り戻して、顔をこわばらせた。
「ほら、やれ。自分の手でちゃんとやってみせてみろ。ちゃんとやれたら、今日のところは帰してやる」
「こ、この野郎……!」
「なんだ? 嫌か? できないのか?」
敬は目に力を込め、身体をよじって相手を睨みつけた。
「出来るわけないだろう!」
「そうか。それじゃ、仕方ないな。俺がしてやるか」
さらに瀬津がつづけた言葉は敬から血の気を引かせた。
「おい、岩田、店行って、暇そうにしている女の子がいたら、二、三人呼んでこい」
言われた岩田は目をたぎらせた。
「二、三人でいいんですか?」
「ああ。まぁ、客でも好きそうな奴がいたら呼んできてやれ。こんな面白いショー、見逃せないと言ってな。安賀組の坊やの可愛い姿が見れるんだからな。あっという間に評判になっちまうかもな」
「や、やめろぉ!」
敬は蒼白になって、不利な体勢なのもかまわず、瀬津につかみかかっていた。
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる