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第一章

8.懺悔と幸福

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ずり、ずりりと床をトウカは這っていた。
ずっと起き上がって居ないせいか、身体中が堪らなく重い。
軋む。
頭に霞がかかったように、ぼんやりしている。

手を伸ばした先に香炉の冷たい感触があった。
この香炉のせいだ。
身体が動けない。
この香炉から出る煙のせいだ。
手に力が入らない。
それでもそれを思いっきり横に倒す。

金属音があがり、灰と煙が一瞬広がったが、すぐに火の気が消えた。
トウカはほっとして、顔を上げた。

「何をしているの?」
「ひっ・・・・・・」
にっこりと笑うアスランが、トウカを見ていた。
トウカがガタガタと震えだした。
殺される・・・・・・っ

「ああ、こんなに散らかして。駄目だよ、トウカ」
灰を踏みながら、ゆっくりとアスランが近づいた。
床に失禁したトウカを、アスランは抱き上げた。
「いや・・・・・・」
「おしっこしたかったの?だから、外に出たかったのかな?」
「ごめんな、さ・・・・」
腕の中でトウカが震えている。
「おいたをしたら駄目だよ。身体を綺麗にして、遊ぼうね。トウカが昼間、一人で寂しそうだったから、さぼってきちゃった」
クスクスと笑いながら、片手でタオルを掴み、浴室に向かう。
言葉の端に怒りを感じ、トウカの歯がカチカチなる。
「ご、ごめんなさい・・・・・」
「何故、謝るの?謝るようなことをしたの?私に黙って、外に出ようとしたの?」
トウカが顔を横にふった。
「ああ、香炉を倒したことを謝ってるの?大丈夫だよ。すぐに片付けさせるから」
「・・・・・・」
「今度は、もっと強くて気持ちよくなる香を焚いてあげるね」
「や・・・・・・」
「何をむずがっているの?・・・・逃げようとしていたの?」
ゾッとするような冷たい目のまま、にっこりと微笑んだ。



向かい合わせの格好で、アスランはトウカを抱いていた。
トウカの中心に、自分の楔を打ち込み、ゆるゆると腰を動かしている。
「あっ、あっ、あっ」
腰の動きに合わせ、トウカが鳴く。
薬のせいか痛みはなく、ただ強くむず痒い快感だけがある。
どんなに、トウカが達っても、アスランは止めてくれない。
体格差も体力差も歴然としてあるのだが、アスランは、トウカが何度イっても、トウカが抱き潰れるまで、離そうとはしない。
すでにトウカの身体は、快感を植え付けられていたが、毎晩抱き潰されていて、泣き叫んでも終わらない快感は、苦痛であった。
「トウカ、口をあけて」
トウカが素直に口を開けた。
アスランが嬉しそうに、トウカの口を吸う。
「いい子になってきたね、トウカ」
「・・・・シュナーダ、神父、様・・・・」
「なあに?」
「助け・・・・」
その言葉に不思議そうに、アスランは首を傾げる。
こんなに気持ちいい事をしているのに、トウカは何を言ってるのだろう?
「トウカ、今日はトウカの玩具を用意したんだよ」
きっと喜んでくれる。
「・・・・・・」
トウカの答えを待たずに、ずるりと無造作にトウカから肉棒を抜いた。
トウカが力無く、シーツに落ちた。
アスランは、立ち上がると部屋から出ていく。
トウカは、何が起こっているのかもう分からず、甘く焚かれた香に包まれていた。


どさりと床に何かが投げ込まれた。
のろのろとトウカが顔をあげる。
何か、〝それ〟が叫んでいた。
けれど、霞が掛かったトウカの目には、それがなんなのかよく分からなかった。
「トウカ、続きをしよう」
アスランに抱きあげられ、トウカが胸板に顔を寄せる。
今まで散々アスランを入れていたのだ。
あっけなくアスランの肉棒を受け入れる。
「あああ・・・・・」
朦朧とした意識の中、トウカが反射的に反り返る。


「トウカを離せっ」
両腕を後ろ手に結ばれたアークが、地べたに座りこみ、アスランを睨んだ。
身体中に青アザが付いていた。
目の下に大きな隈が出来ていたが、緑色の瞳は憎しみでぎらぎらとアスランを睨み付けていた。
アスランはトウカの背中に手を回しながら、鼻で笑う。
「何を言ってるんだい?トウカから、抱きついてるのに」
トウカは、すがり付くように抱きついていた。
トウカはずっと許しを乞うていた。
それでも、アスランは止めずにずっと腰を動かしていた。

トウカは、アークが見たことがない蕩けるような顔をしていた。
アークは、アスランを睨み付けた。
トウカが罰を受けたと聞いた日に、アークはアスランに猛抗議した。
その夜、アークは夜道で襲われた。
冷たく光の入らない部屋に閉じ込められら、数人がかりにぼこぼに殴られ、怪しげな薬を飲まされた。
髪を捕まれ、ここに引きずられ連れてこられたが、うまく立ち上がれないし、音や色彩が頭の中に反響して、気分が悪い。
「トウカっ!目を覚ませっ!」
「黙れ。トウカが怖がるだろう?目玉を抉られたいのか?」
本気の殺気にアークが息を飲む。
「・・・・・・っ!」
アークの声に、腕の中のトウカがぴくりと反応した。
アスラン以外の声を聞いて、助けを求めるように声を出そうとしたが、アスランの指で塞がれた。
アスランは嫉妬で、ぎらりとアークを睨み付けた。

悔しい悔しい。
トウカが、ずっと私以外を気にしている。
私の神様なのに。
私の奴隷なのに。


こいつはトウカの足拭きにしてやろう。
トウカに踏みつけられるのがお似合いだ。
腕っぷしが強いなら、去勢してトウカの近辺を護らせてやる。
無様に死んでいけばいい。


「放せよ!い、嫌がっているだろうっ!」
「嫌がる?」
「こんなによがり狂って、惚けているのに?」
「あああ・・・・」
腰を突き上げると、トウカは人形のようにがくがくと震え、力なく痙攣した。
「トウカ、私の名前をいってごらん?」
「アスランだ。言ってごらん」
「アス、ラ、・・・・」
その言葉に優越感に浸りながら、アスランはアークを睨み付けた。

「こんなに、トウカと愛し合ってるんだ」
力失くすがるトウカを抱き上げ、繋がっている場所を見せつけ、ゆっくりとトウカから肉棒を抜いた。
「はっ・・・・・・」
「トウカっ」
「トウカ、私ので、お腹いっぱいだね」
アスランの長い指をいれると、たらたらと白い液体がアスランの腕を伝った。
「ひゃあ、やめ・・・・・・っ」
散々出尽くしたトウカの性器は、後ろから前立腺を擦られるだけで力なくたらりと透明な液体を溢した。
指先だけで、トウカはぶるぶると震える。
「ふふ、もういきすぎて、なにもわかっていないんだ。可愛いだろう?」
「トウカ・・・・・・」
アークは目が放せなかった。
軽いメスイキを繰り返し、足指の先が震える。
白い滑らかな肌は、汗でしっとりと濡れている。
まるで誘っているように、虚ろな瞳がアークを見つめる。
トウカの股間が膨らんでいるのを、アスランは気付き薄く笑う。
アスランがトウカを後ろから抱き抱え、トウカの両太ももを左右に開いた。

「アーク、仲直りの証しに、トウカを可愛がらせてあげる」
「何を・・・・・・」
「トウカ、『舐めてください』だ。言ってごらん」
「・・・・舐めて、くだ、 んんんっ!」

「お願、い、・・・・もう、やめ」
「トウカ、『アーク、舐めて』言いなさい」
突き上げると、トウカが泣いた。
「やああああっ!」 
「『アーク、舐めて、お願いします』」
「アー、ク、舐め・・・お願、い・」
ひくひくとトウカの中心は、もう大きくならずたらたらと透明な液体を流すのみだった。

「トウカ・・・・・」
まるで憑かれたように、ふらりとアークが近づいた。
吸い付くように、アークがトウカの中心を咥えた。
「ひっ」
柔らかな生き物のような舌が、優しく包み込んだ。
トウカが悶え苦しんだ。
アークの口は、トウカの股間から離れない。
トウカの大きくならないそれは、ただむず痒い快感と言う痛みだけを伝えてくる。
「ひっイイイイイ・・・・・・」
逃げれない地獄に、トウカが泣き叫ぶ。

アスランが腰を動かしながら、楽しそうに笑った。
トウカが逃げようとしたが、アスランが腰を掴んで離さない。
ぐちゅぐちゅと口の中で、ねぶる音が聞こえる。
「いい子だねえ、アーク。トウカが喜んで、ぎゅんぎゅん、私を締め付けてる。お利口にしていたら、次もご褒美をあげるよ。勝手にトウカに触るなら、殺すからね?」

トウカが泡を吹いて気絶した。
痙攣する内壁にアスランゆっくりと欲望を出す。
アークはトウカの股間から離れない。
「トウカ、ちょっと待ってね。すぐ硬くするから。後で、お風呂で綺麗にしてあげるからね」
ぶるりと震えながら、出しきり、トウカの中でうっとりと余韻に浸る。

「ふふ・・・・いつもと違って、反応が早いね」
「もう、やぁ・・・・・・」
硬くなりだした肉棒を感じ、トウカは震える。
トウカの目は焦点が合っていない。

後一回位いけるかな?
トウカの玩具は、少し壊れかけているようだが頑丈そうだ。
アスランは、夢中でしゃぶり続けるアークの髪をきつく握り、睨み付けた。
痛みで軽く呻くが、虚ろな目のまま、口を離さない。
「・・・・殺してやるからな」
今はまだ、殺さない。
トウカが哀しんでしまう。
トウカがアークの命乞いをしただけでも重罪なのに。
アークを物だと認識させてから、消してやらないと。
トウカの優しい世界を壊しては駄目だ。



トウカが眼を覚ますと、目の前の床に虚ろな眼差しをしたアークが座り込んでいた。
トウカが叫んだ。
「アーク、離れてっ。殺されちゃうっ」
アークに近づこうとして、隣にいたアスランに抱き締められる。
アークはぼんやりと、少し笑み浮かべトウカを見た。

「・・・・・・」
「こいつは、貴方の護衛にしたんだ」
アスランがにっこりと笑う。
「ご、えい・・・・?」
トウカが訳が分からないように、アスランを見上げた。
「今、お利口になる薬をあげてる。何でも私の言うことをきくようになったよ。トウカはこれから、私の側にずっといるから、悪い人間が近付いてくる事があるかもしれない。だから、アークをトウカにあげる。盾にすればいいよ」
「アーク?」
トウカの問いに、アークは何も答えない。

「・・・・・・」
アスランが肩を竦めた。
「少し強かったかもね。すぐ効くように沢山入れたんだ。壊れるかなと思っていたのだけどね。なかなか潰れない」
「ひ・・・・・・」
トウカが絶望の色を乗せ、アスランを見た。
その瞳に、アスランが首を横に振り、安心させるように頭を撫でた。
「大丈夫。こんな悪い薬、貴方に入れる訳がないだろう。ボロボロになる」
「アーク、を助け、て、くださ・・・・」
自分のせいだ。
自分のせいで、アークが死んでしまう。
トウカが泣きながら、呟いた。

「何を言ってるの?〝これ〟は、貴方の足拭きだ。貴方は私の黒神だから、崇拝者が居なければいけないだろう?私がトウカをずっと愛してあげるけど、崇める愚者は必要だろう?」
「・・・・・・」
「トウカ・・・・・」
アークが幸せそうに、トウカに微笑んだ。
「アーク・・・・・」
まるで恋人同士にも見え、それを見て、アスランがアークを蹴りつけた。

「許可なくトウカに触るなっ!」
「やめてください!」
踞るアークを庇うように、トウカが前に出た。
「・・・・なんで庇うの?」
ぎらりとトウカを、アスランは睨んだ。
殺気にも似た狂気に、トウカはびくりとなる。
「やめて、ください・・・・」
がたがた震えながら、トウカが言った。
「アークがいいの?私よりも」
アスランが愕然としながら、震える声で呟いた。
「ち、違い、ます。アスラン、様の足を、汚すまでも、ありません・・・・」
その言葉に、アスランの顔がぱぁと明るくなった。
「あ、ああ、そうだよね。こんな奴、蹴る価値もない」
「・・・・・・はい」
トウカはほっとした。

「ね、ねえ、また言って」
アスランは少し頬を染め、もじりとした。
「?」
「アスラン様、て、言って」
「・・・・アスラン様」
アスランが、震えるように身体をぶれさせ、喜びを爆発させた。

トウカがアスランて、呼んでくれた。

「うん、なあに?トウカ」
満面の笑みで、アスランが愛しげに見つめた。
「・・・・アークを、放って、あちらで、遊び、ましょう」
これ以上、アークに興味を抱いたら、アスランは、本当にアークを殺してしまう。

「うん、そうだね。トウカ」
うっとりとトウカを見つめ、アスランは抱き上げた。
「あっちで、二人っきりで遊ぼうね。そうだ、勉強もしないと。読み書きに、今日は歴史を学ぼう」
アークを蹴りアスランは歩き出した。
「はい・・・・」


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