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10 悪役令嬢相手にしたら、堪忍袋の緒が切れた④
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「わたしも誘われたことがあるわ。あなたの優しいティモシーに」
「………嘘よ!」
ヴァイオレットは信じられない思いで叫ぶ。
「本当よ? ”あなたにはヴァイオレット様という婚約者がいるでしょう?”って言ったら――
”やめてくれ、あの女は結婚してもいないのに、女房気取りで口うるさく説教するんだ。全く……、つまらない女だよ”
”その割にはいつも一緒にいるし、仲良さそうにしているわよね?”
”まぁ、一応婚約者だし、なるべく一緒にいないと外聞が悪いだろう? それにチヤホヤしてやらないとすぐヒステリーを起こすんだ” って、言ってたわ」
「嘘よ……」
「ミランダの時は
”君は女神のようだ。派手できつい性格のヴァイオレットとは雲泥の差だ”
そこに居るアンジェラの時は
”君は天使のようだね、派手できつい性格のヴァイオレットとは雲泥の差だ”
語彙が乏しいから、同じことしか言えないのよね」
「そんなの信じないわ」
ヴァイオレットが握り締めた扇はギシギシと音を立て、今にも折れてしまいそうだ。
「誘われた時にわたし聞いたの。
”わたくしでいいの? ヴァイオレット様は華やかで、綺麗な方なのに”
”ああ、確かに綺麗だが……、美人って飽きるんだよな。その点君は野の花のように可憐で飽きもこないし、一緒にいると安らぎを感じるよ”
”それなら婚約を解消すればいいのでは?”
”彼女は俺に惚れているんだ。そんなことをしたら、可哀そうだろう?”って」
「うそよ! うそ、うそ、うそ!!」
ショックだった。
それ以上に衝撃を受けたのは、エリカにまで手を伸ばしていたことだ。
ミランダやアンジェラなら、ティモシーが誘うのも分かるし、まだ許せる。しかし自分よりずっと格下だと思っていたエリカにまで……。
ヴァイオレットは裏切られただけでなく、プライドまでもがずたずたに引き裂かれた。
唇を噛んで、声も無く俯く。
エリカが痛ましいものを見る目つきで、ヴァイオレットの顔を覗き込んだ。
「憐れね――」
かッとなったヴァイオレットは持っていた扇を振りかざし、エリカの顔めがけて一気に振り下ろす。
「危ない!!」
ミランダが叫び、歯を食いしばってエリカは目を瞑ったが、一向に扇が落ちてこない。
そうっと目を開けてみると、逞しい手がヴァイオレットの手首を掴んでいた。
「一体、何をしている――」
怒気を含んだ低い声が、場を支配した。
「………嘘よ!」
ヴァイオレットは信じられない思いで叫ぶ。
「本当よ? ”あなたにはヴァイオレット様という婚約者がいるでしょう?”って言ったら――
”やめてくれ、あの女は結婚してもいないのに、女房気取りで口うるさく説教するんだ。全く……、つまらない女だよ”
”その割にはいつも一緒にいるし、仲良さそうにしているわよね?”
”まぁ、一応婚約者だし、なるべく一緒にいないと外聞が悪いだろう? それにチヤホヤしてやらないとすぐヒステリーを起こすんだ” って、言ってたわ」
「嘘よ……」
「ミランダの時は
”君は女神のようだ。派手できつい性格のヴァイオレットとは雲泥の差だ”
そこに居るアンジェラの時は
”君は天使のようだね、派手できつい性格のヴァイオレットとは雲泥の差だ”
語彙が乏しいから、同じことしか言えないのよね」
「そんなの信じないわ」
ヴァイオレットが握り締めた扇はギシギシと音を立て、今にも折れてしまいそうだ。
「誘われた時にわたし聞いたの。
”わたくしでいいの? ヴァイオレット様は華やかで、綺麗な方なのに”
”ああ、確かに綺麗だが……、美人って飽きるんだよな。その点君は野の花のように可憐で飽きもこないし、一緒にいると安らぎを感じるよ”
”それなら婚約を解消すればいいのでは?”
”彼女は俺に惚れているんだ。そんなことをしたら、可哀そうだろう?”って」
「うそよ! うそ、うそ、うそ!!」
ショックだった。
それ以上に衝撃を受けたのは、エリカにまで手を伸ばしていたことだ。
ミランダやアンジェラなら、ティモシーが誘うのも分かるし、まだ許せる。しかし自分よりずっと格下だと思っていたエリカにまで……。
ヴァイオレットは裏切られただけでなく、プライドまでもがずたずたに引き裂かれた。
唇を噛んで、声も無く俯く。
エリカが痛ましいものを見る目つきで、ヴァイオレットの顔を覗き込んだ。
「憐れね――」
かッとなったヴァイオレットは持っていた扇を振りかざし、エリカの顔めがけて一気に振り下ろす。
「危ない!!」
ミランダが叫び、歯を食いしばってエリカは目を瞑ったが、一向に扇が落ちてこない。
そうっと目を開けてみると、逞しい手がヴァイオレットの手首を掴んでいた。
「一体、何をしている――」
怒気を含んだ低い声が、場を支配した。
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