14 / 79
14 先触れです! 早!
しおりを挟む
***再び昼下がりのティールーム***
(まだ記憶を取り戻していなかったから、ダニエルのことを男性だと思って、ドキドキしたんだった……)
「あの時のエリカ、本当に格好良かった」
「そう言ってくれて嬉しいけど、頬に傷がついていたら取り返しのつかないことになっていたわ」
「でも上手くいったじゃない! あの後から嫌がらせもパッタリやんだし、みんなエリカのお陰よ! 傷がつくかもしれないのに、私の為にあそこまでしてくれて……、本当にありがとう!」
「もう泣かなくていいのに、ミランダったら……美人が台無しよ?」
エリカに抱きついて滝のような涙を流すミランダに、ハンカチを差し出した。
ハンカチでミランダは顔をふきふきする。
「話が逸れちゃった……だからダニエル様、絶対エリカに気があるわよ」
「頬に触れたこと? あれは心配して下さったのよ」
「だって王子が公衆の面前で、年若い女性の肌に触れたのよ!? 今まで女性に興味が無くて、ゲイ疑惑まで浮上していたダニエル様がよ!?」
「待って。前半の言い方は誤解を招く」
「エリカ様!」
ミランダが握り拳で熱弁を振るっている最中に、侍女が飛びこんできた。
「今日は何だか騒がしいわね。どうしたの?」
「先触れです! ダニエル王子がいらっしゃるそうです!」
「……は?」
「エリカ様!」
開いたドアから二人目の侍女が飛びこんできた。
「今度はなに?」
「お着きになりました。いま執事がお迎えしています!」
「早! 先触れの意味ないじゃない!」
ミランダが荷物をまとめてすっくと立つ。
「それじゃあエリカ、わたしはこれで失礼するわ。あっ、送らなくていいから。裏口の場所分かるし」
「なんで裏口!? それより一緒にいてよ!」
「人の恋路を邪魔したくないもの」
「ダニエル様はお友達だってば!」
「お嬢様! 殿下には客間でお待ち頂いてます! 10分で身なりを整えますよ!」
侍女長のメアリーが鼻息も荒く、その他大勢を引き連れて、部屋になだれ込んできた。
それぞれが手に、ドレスやメイク道具やブラシやらを持っている。
「10分は無理ぃいいいい!」
叫ぶエリカの声は完全に無視され、嵐のように身なりは整えられていった。
整えられると同時に、またもや客間に問答無用で連れて行かれる。
ドドドと後からついてきた侍女たちが、エリカの周りを取り囲んでチェックした。
「髪は?」
「よし!」
「香りは?」
「よし!」
「メイクは?」
「紅がまだです! エリカ様。こちらを向いて唇を突き出して……、それではゴリラです! キスする時みたいに愛らしく出して下さい!」
「キスなんて(前世でも殆ど)したことないから分からない」
「家族にするキスでいいんですよ」
初心なエリカに侍女たちが朗らかに笑い、エリカは恥ずかし気に頬を赤らめる。
「ウエストのリボンが曲がっています! ……なおしました! よし!」
「さぁ、抜かりはない!?」
「イエスマム!」
確認を入れる(鬼教官)メアリーに侍女たちが返事をし、ぽんっと部屋の中に放り込まれた。
(まだ記憶を取り戻していなかったから、ダニエルのことを男性だと思って、ドキドキしたんだった……)
「あの時のエリカ、本当に格好良かった」
「そう言ってくれて嬉しいけど、頬に傷がついていたら取り返しのつかないことになっていたわ」
「でも上手くいったじゃない! あの後から嫌がらせもパッタリやんだし、みんなエリカのお陰よ! 傷がつくかもしれないのに、私の為にあそこまでしてくれて……、本当にありがとう!」
「もう泣かなくていいのに、ミランダったら……美人が台無しよ?」
エリカに抱きついて滝のような涙を流すミランダに、ハンカチを差し出した。
ハンカチでミランダは顔をふきふきする。
「話が逸れちゃった……だからダニエル様、絶対エリカに気があるわよ」
「頬に触れたこと? あれは心配して下さったのよ」
「だって王子が公衆の面前で、年若い女性の肌に触れたのよ!? 今まで女性に興味が無くて、ゲイ疑惑まで浮上していたダニエル様がよ!?」
「待って。前半の言い方は誤解を招く」
「エリカ様!」
ミランダが握り拳で熱弁を振るっている最中に、侍女が飛びこんできた。
「今日は何だか騒がしいわね。どうしたの?」
「先触れです! ダニエル王子がいらっしゃるそうです!」
「……は?」
「エリカ様!」
開いたドアから二人目の侍女が飛びこんできた。
「今度はなに?」
「お着きになりました。いま執事がお迎えしています!」
「早! 先触れの意味ないじゃない!」
ミランダが荷物をまとめてすっくと立つ。
「それじゃあエリカ、わたしはこれで失礼するわ。あっ、送らなくていいから。裏口の場所分かるし」
「なんで裏口!? それより一緒にいてよ!」
「人の恋路を邪魔したくないもの」
「ダニエル様はお友達だってば!」
「お嬢様! 殿下には客間でお待ち頂いてます! 10分で身なりを整えますよ!」
侍女長のメアリーが鼻息も荒く、その他大勢を引き連れて、部屋になだれ込んできた。
それぞれが手に、ドレスやメイク道具やブラシやらを持っている。
「10分は無理ぃいいいい!」
叫ぶエリカの声は完全に無視され、嵐のように身なりは整えられていった。
整えられると同時に、またもや客間に問答無用で連れて行かれる。
ドドドと後からついてきた侍女たちが、エリカの周りを取り囲んでチェックした。
「髪は?」
「よし!」
「香りは?」
「よし!」
「メイクは?」
「紅がまだです! エリカ様。こちらを向いて唇を突き出して……、それではゴリラです! キスする時みたいに愛らしく出して下さい!」
「キスなんて(前世でも殆ど)したことないから分からない」
「家族にするキスでいいんですよ」
初心なエリカに侍女たちが朗らかに笑い、エリカは恥ずかし気に頬を赤らめる。
「ウエストのリボンが曲がっています! ……なおしました! よし!」
「さぁ、抜かりはない!?」
「イエスマム!」
確認を入れる(鬼教官)メアリーに侍女たちが返事をし、ぽんっと部屋の中に放り込まれた。
0
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
死を回避するために筋トレをすることにした侯爵令嬢は、学園のパーフェクトな王子さまとして男爵令嬢な美男子を慈しむ。
石河 翠
恋愛
かつて男爵令嬢ダナに学園で階段から突き落とされ、死亡した侯爵令嬢アントニア。死に戻ったアントニアは男爵令嬢と自分が助かる道を考え、筋トレを始めることにした。
騎士である父に弟子入りし、鍛練にいそしんだ結果、アントニアは見目麗しい男装の麗人に。かつての婚約者である王太子を圧倒する学園の王子さまになったのだ。
前回の人生で死亡した因縁の階段で、アントニアは再びダナに出会う。転落しかけたダナを助けたアントニアは、ダナの秘密に気がつき……。
乙女ゲームのヒロインをやらされているダナを助けるために筋トレに打ち込んだ男装令嬢と、男前な彼女に惚れてしまった男爵令嬢な令息の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。表紙は、写真ACよりチョコラテさまの作品(作品写真ID:23786147)をお借りしております。
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
変人魔術師に一目惚れされて結婚しました
ミダ ワタル
恋愛
田舎領主の娘で行儀見習に王宮に出されたはずが、王妃様に気に入られ第一侍女として忙しくも充実の日々を送っていたマリーベル。
国中の有力者が集まる王の誕生祭の日、王宮の廊下ど真ん中で突然求婚され、彼女の意思も婚姻を結ぶにあたって重要な諸問題もそっちのけであっと間に結婚することに。
しかも相手は最強の魔術使いにして変人と名高い男だった―。
麗しい美貌と胡散臭い話術で周囲を丸め込み、地位と財力を駆使してマリーベルを追い込んでくる魔術師に抵抗・反発しているはずなのに、穏便に離婚どころかなんだかどんどん周囲からは素敵な夫婦扱いに……どうしてこうなるの?!
※サブタイトルに*がついているのはR回です。
※表紙画像はまるぶち銀河さん(Twitter: @maru_galaxy)に描いていただきました。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる