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ヘーゲルツ王立学園
初授業
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いよいよ最初の授業日。まずは教師陣への紹介だ。
仲良くできると良いな、特に同じ生物学の先生と は揉めたくない。
そんなことを思いつつ服装を整える。人の第一印象は見かけだと言うし気をつけなきゃ。本当は前髪とこ切ったほうがいいんだろうけどそれはどうしても駄目だ。切った後の自分なんて想像できないし僕の顔は人を不快にするから。
忘れ物はない。意を決して部屋からでる。
まだ朝の7時だが、校内にはもう人がまばらにいて、すれ違う人が僕を見る。新しい教師が物珍しいのか、それとも不審者に見えているのか。真偽は定かでないがとりあえず足を動かす。
そうして特に迷うこともなく職員室にたどり着く。意を決してノックをしてドアを開ける。
「失礼します」
パーンパパーン!!
突然物凄い音とともに火の粉のようなものが降りかかってきた。しかも煙で前が見えない。おもわず身構えローブの中に隠した剣へ手をおき、警戒態勢に入る。
しかし煙の向こうから聞こえた声は予想外の言葉を発した。
「えっちょっ待って、まさかのノーリアクション!?」
「おい、やっぱやり過ぎだったんじゃないのか?」
?これは…?
「ふぇ……?」
多分この年一番のマヌケ面を晒したと思う。
漸く煙がはけ、その先にいたのは同じ教師のローブを着た先生方だったのだ。
「ほら、見ろよこの顔。固まってるっつーの。」
「ふん、貴様が考案した案だろう。責任はとれ、私は知らん。」
全員が口々に話していて、何がなんだか分からない。呆然としていると昨日会ったドリトン先生が肩を組んで話しかけてきた。
「よーこそ!ヘーゲルツへ。」
「あっドリトン先生、これは…」
「決まってるだろ?アサギリの歓迎会さ!」
歓迎会…。
そこら中に広がるクラッカーの残骸、そして元からこんなデザインだったと思いたいくらい変色したタオル、そして散乱した紙…。どこに何があるのか皆さん把握しているのだろうか。
いや、というか元の世界の職員室ってこんなに汚かったっけ?
「ゴホン。」
昨日会った教頭先生が咳払いをする。
漸く場が落ち着き、僕に視線が集まる。自己紹介する流れだ、これ。
「本日よりここで働かせていただくことになりました。朝霧と申します。専門は生物・魔獣学です。これからよろしくお願いします。」
すると口々に僕に声をかけ、散っていく。
最後に僕に声をかけてきた人は同じ生物学の先生でナナルと名乗った。眼の下に濃い隈があるその人は「ようやく、ようやく、増員された…」、と言いながら涙ぐんでいた。
そんなに辛いのかこの仕事…、なんだかまた不安になってきた。
そうこうしているうちに授業の始業予告を伝えるチャイムがなり、僕はナナル先生に従って教室へ移動する。
「生物学は最近人気なんです。騎士科の脳筋どもとか文官コースの奴らとかなんでも良いけれど何かしらの単位は取らなきゃ行けない生徒達が混ざって大所帯になってしまったんです。昔はこんなことなかったのに。ですのでアサギリ先生が来てくださってとても助かっているんです、ほんとに。いや~あの日は忘れられませんね。教頭から増員の言葉を聞いた時のあの感動!!」
「そうなんですか…。ご期待に添えるよう頑張りますね。」
僕がそういうとその人はまじまじと僕を見つめてきた。なんかこのシチュエーション、昨日もあった気がする。
「アサギリ先生良いねぇ。まさしくこの学園に必要な人材!素晴らしい!いやホントに、うちの学園ヤバいやつしかいないからなぁ…」
どこか興奮気味に語り現実を思い直し遠い目をして語るその人は苦労性の気が見られた。
「あっそうそう、言い忘れてました。アサギリ先生に担当してもらうのは騎士科です。本来ならどこの科の生徒にも一気に教えたいのですが、なんせ専門がこうもバラバラだと時間割が上手く組めず…」
「分かりました。何処の範囲を教えるとこは事前に伺っていたのですが、何か注意しなければならないことなどありますか?」
「……………。うん、まぁ頑張って。実力行使しても諦めても良いから、まあドウニカナル。うん。」
「えっ」
「じゃあ私は行くね!教室は毎回あそこ!じゃあね!」
そう言って見かけからは想像できないスピードで去っていった。
心のなかで思う。どうか不安しかない言葉を残して何処かに消えないでください、と。
だけどいくらここで絶望していても時間ほ進むわけで。本日3度目の意を決し、扉を開けた。
中は想像以上だった。席に着いている学生は皆無。皆逞しい筋肉をしていて大声で話している。特に訓練のことについてなど。
もう予鈴なってたよね、もう始業チャイム鳴るよね。
これどうすればいいんだ?カーチェス、第二王子殿下、僕には荷が重そうです。
まもなく始業チャイムがなり何人かの学生が僕に気づく。
「えっナナルじゃなくなったの!?」
「でも見たことないよ?あの先生。」
「新任じゃね?」
逃げたい。無理そう。
だけど僕は今教師だ。教師をしなきゃいけない。
「おはようございます。今日からナナル先生の代わりにこのクラスの生物・魔獣学を担当することになりました、朝霧です。どうぞよろしくお願いします」
騒がしいので仕方なく声を風魔法に乗せて教室に響かせる。
それでも教室は止まないが、とりあえず授業を始めてみる。すると何人かはまじめにノートをとり始める。
しかし、大体は頬杖をつきぼーとしていたり隣の人と話していたりだ。ナナル先生が言っていたのはそういうことか。そして極めつけは僕をみる見下したような人間として見ていないような、眼だ。
感じる方に眼を向けるとそこには酷く美しく冷淡な眼をした学生が一人いた。
仲良くできると良いな、特に同じ生物学の先生と は揉めたくない。
そんなことを思いつつ服装を整える。人の第一印象は見かけだと言うし気をつけなきゃ。本当は前髪とこ切ったほうがいいんだろうけどそれはどうしても駄目だ。切った後の自分なんて想像できないし僕の顔は人を不快にするから。
忘れ物はない。意を決して部屋からでる。
まだ朝の7時だが、校内にはもう人がまばらにいて、すれ違う人が僕を見る。新しい教師が物珍しいのか、それとも不審者に見えているのか。真偽は定かでないがとりあえず足を動かす。
そうして特に迷うこともなく職員室にたどり着く。意を決してノックをしてドアを開ける。
「失礼します」
パーンパパーン!!
突然物凄い音とともに火の粉のようなものが降りかかってきた。しかも煙で前が見えない。おもわず身構えローブの中に隠した剣へ手をおき、警戒態勢に入る。
しかし煙の向こうから聞こえた声は予想外の言葉を発した。
「えっちょっ待って、まさかのノーリアクション!?」
「おい、やっぱやり過ぎだったんじゃないのか?」
?これは…?
「ふぇ……?」
多分この年一番のマヌケ面を晒したと思う。
漸く煙がはけ、その先にいたのは同じ教師のローブを着た先生方だったのだ。
「ほら、見ろよこの顔。固まってるっつーの。」
「ふん、貴様が考案した案だろう。責任はとれ、私は知らん。」
全員が口々に話していて、何がなんだか分からない。呆然としていると昨日会ったドリトン先生が肩を組んで話しかけてきた。
「よーこそ!ヘーゲルツへ。」
「あっドリトン先生、これは…」
「決まってるだろ?アサギリの歓迎会さ!」
歓迎会…。
そこら中に広がるクラッカーの残骸、そして元からこんなデザインだったと思いたいくらい変色したタオル、そして散乱した紙…。どこに何があるのか皆さん把握しているのだろうか。
いや、というか元の世界の職員室ってこんなに汚かったっけ?
「ゴホン。」
昨日会った教頭先生が咳払いをする。
漸く場が落ち着き、僕に視線が集まる。自己紹介する流れだ、これ。
「本日よりここで働かせていただくことになりました。朝霧と申します。専門は生物・魔獣学です。これからよろしくお願いします。」
すると口々に僕に声をかけ、散っていく。
最後に僕に声をかけてきた人は同じ生物学の先生でナナルと名乗った。眼の下に濃い隈があるその人は「ようやく、ようやく、増員された…」、と言いながら涙ぐんでいた。
そんなに辛いのかこの仕事…、なんだかまた不安になってきた。
そうこうしているうちに授業の始業予告を伝えるチャイムがなり、僕はナナル先生に従って教室へ移動する。
「生物学は最近人気なんです。騎士科の脳筋どもとか文官コースの奴らとかなんでも良いけれど何かしらの単位は取らなきゃ行けない生徒達が混ざって大所帯になってしまったんです。昔はこんなことなかったのに。ですのでアサギリ先生が来てくださってとても助かっているんです、ほんとに。いや~あの日は忘れられませんね。教頭から増員の言葉を聞いた時のあの感動!!」
「そうなんですか…。ご期待に添えるよう頑張りますね。」
僕がそういうとその人はまじまじと僕を見つめてきた。なんかこのシチュエーション、昨日もあった気がする。
「アサギリ先生良いねぇ。まさしくこの学園に必要な人材!素晴らしい!いやホントに、うちの学園ヤバいやつしかいないからなぁ…」
どこか興奮気味に語り現実を思い直し遠い目をして語るその人は苦労性の気が見られた。
「あっそうそう、言い忘れてました。アサギリ先生に担当してもらうのは騎士科です。本来ならどこの科の生徒にも一気に教えたいのですが、なんせ専門がこうもバラバラだと時間割が上手く組めず…」
「分かりました。何処の範囲を教えるとこは事前に伺っていたのですが、何か注意しなければならないことなどありますか?」
「……………。うん、まぁ頑張って。実力行使しても諦めても良いから、まあドウニカナル。うん。」
「えっ」
「じゃあ私は行くね!教室は毎回あそこ!じゃあね!」
そう言って見かけからは想像できないスピードで去っていった。
心のなかで思う。どうか不安しかない言葉を残して何処かに消えないでください、と。
だけどいくらここで絶望していても時間ほ進むわけで。本日3度目の意を決し、扉を開けた。
中は想像以上だった。席に着いている学生は皆無。皆逞しい筋肉をしていて大声で話している。特に訓練のことについてなど。
もう予鈴なってたよね、もう始業チャイム鳴るよね。
これどうすればいいんだ?カーチェス、第二王子殿下、僕には荷が重そうです。
まもなく始業チャイムがなり何人かの学生が僕に気づく。
「えっナナルじゃなくなったの!?」
「でも見たことないよ?あの先生。」
「新任じゃね?」
逃げたい。無理そう。
だけど僕は今教師だ。教師をしなきゃいけない。
「おはようございます。今日からナナル先生の代わりにこのクラスの生物・魔獣学を担当することになりました、朝霧です。どうぞよろしくお願いします」
騒がしいので仕方なく声を風魔法に乗せて教室に響かせる。
それでも教室は止まないが、とりあえず授業を始めてみる。すると何人かはまじめにノートをとり始める。
しかし、大体は頬杖をつきぼーとしていたり隣の人と話していたりだ。ナナル先生が言っていたのはそういうことか。そして極めつけは僕をみる見下したような人間として見ていないような、眼だ。
感じる方に眼を向けるとそこには酷く美しく冷淡な眼をした学生が一人いた。
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