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3.ヤンデレからの贈り物は危険物です
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頭痛がする……
寝不足の為か頭が重い。
「おはようございます、お嬢様。着替えが終わりましたら旦那様がお呼びです」
朝からお小言なの?……薔薇か。あれの意味を知りたいのね。
「分かったわ。執務室かしら」
「はい」
「では、モスグリーンのドレスにするわ」
鏡に映った自分に顔が赤くなる。
「……ごめんなさい。やっぱり濃紺の、襟高の方にして。……お父様には言わないで?」
「畏まりました」
殿下の馬鹿!キスマークなんか付けないでよ!
忌々しいピアスを投げ捨てたくなったが、彼はやると言ったら絶対にやる。1時間も耳朶を弄くり回されたら羞恥で死ねるわ。
「お父様、お呼びでしょうか」
「ああ。座りなさい」
座るのか。長くなりそうね。
「昨日、殿下と何かあったのか」
「既に解決しております」
「君が殿下の私室で過ごしたと連絡があったが」
……はは。ぶっ殺す。
「そうですね。少々揉めましたが、このピアスを譲られて終わりました」
仕方なくピアスを付けた耳を見せる。
「それは……」
「殿下が手ずから付けてくださいました」
「では、ハンカチの破瓜の血は」
馬鹿なのっ!?破瓜の血を偽装しないでっ!
「ピアスホールを開けて下さった時のものでしょう」
「いや、確かに君の血だと反応が」
「私の耳からの血です。当然でしょう。なんなら処女検査を行いますか?それなら王家の息が掛かっていない女医を希望します」
よりによって破瓜の血を証明する精霊の布を使ったわね?花嫁の血か如何かを判断する道具だけど、どこからの出血かは分からないのよね。
そんな半端なものではなく、純潔かどうかが分かる道具があればいいのに。
「……いや、すまなかった。ただ、『君を傷つけてしまったが愛ゆえだ』というメッセージカードとこのハンカチが入っていたからてっきり」
「私はそんなにもふしだらな娘に思われていたのですね。残念です」
殿下め。まるで処女を奪ったかのようにメッセージを書いたわね?でも、明確な言葉は無いという腹立たしさ。
「そんな匂わせに騙されないで下さいませ」
「すまん。だが、多少早まったところで」
「絶対に嫌です。早める必要性を感じません。私はまだデビュタントを終えていない子供ですよ。殿下が変態だと思われます!」
本当に変態だけどっ!
「…そうか。いや、陛下も早く孫が見たいと言っておられたから」
「結婚前に孫が登場したら一大事ですわ」
ああ、味方がいない……。お父様には相談するだけ無駄ね。お母様も無理。あとは、
「兄様はそろそろ戻ってくるのですよね?」
「ん?ああ、来週には帰ってくる予定だ」
留学していた兄のスターリングは無事卒業した。
我が家で味方といえば兄だけだろう。早く帰って来て欲しい。
「ああ、午後に殿下がいらっしゃるから」
「……何の為に?」
「私はてっきり、その婚姻が早まるのかと「無いと言っていますでしょうっ!」
「分かってるっ!昨日は勘違いしていたというだけだ」
「……お父様?簡単にいらないお約束をしたら……覚悟しておいて下さいね」
「何をっ!?」
父は脇が甘いのだ。不安でしかない。
「あんなことやこんなことを世間にばら撒いてやる」
「それはどんなことだ!?」
「…私。知ってますから」
本当は知らない。でも、こうやってニッコリ笑えば大概怯えるものだと……殿下に教えられた技だ。使ってしまったことがちょっと悔しい。
♢♢♢
「ようこそお越し下さいました」
「突然の訪問を許して欲しい。アリアネルが心配だったんだ。昨日は……無理をさせてしまったから」
おい。頬を染めるとか器用だな?
「殿下の言うアリアネルとは私以外にもいるのでしょうか」
「まさか!君以外いるはずがないだろう?ああ、まだ痛むから怒っているのかい?その…優しくしたつもりだが、初めてだとどうしても痛みや血が…ね?」
凄いわ。ここまでそれっぽく演技が出来るなんて。
「はあ。初めて耳にピアスホールを開けたのですから、血は出るでしょう。ただ、針で穴を開けるのに優しさなんて関係ないかと思いますけど?」
「ハハッ、アリアネルは面白いね」
「殿下が何に対して笑われたのか理解出来ず申し訳ございません」
お父様。そこでオロオロしない!
「体が大丈夫なら少し散歩でもしよう」
したくない。だけど、断れば体に問題が…、もしや本当は?と疑われかねない。
「耳が痛くて歩けないなど言うはずがないでしょう。体は元気ですので何なら遠乗りでも行けますわよっ!」
「そうなのか。では、遠乗りに行こう」
「…………はい。いつか」
「今日は時間があるんだ。支度しておいで。待っているから」
やられたっ!私が誤解を解くために元気さをアピールすると分かってて、……悔しいっ!!
「……湯浴みとマッサージから始めても」
「ああ。手伝おうか」
「お父様。殿下とお茶でもどうぞ。至急着替えて参ります!」
手伝いって何。気持ち悪いんですけどっ!
寝不足の為か頭が重い。
「おはようございます、お嬢様。着替えが終わりましたら旦那様がお呼びです」
朝からお小言なの?……薔薇か。あれの意味を知りたいのね。
「分かったわ。執務室かしら」
「はい」
「では、モスグリーンのドレスにするわ」
鏡に映った自分に顔が赤くなる。
「……ごめんなさい。やっぱり濃紺の、襟高の方にして。……お父様には言わないで?」
「畏まりました」
殿下の馬鹿!キスマークなんか付けないでよ!
忌々しいピアスを投げ捨てたくなったが、彼はやると言ったら絶対にやる。1時間も耳朶を弄くり回されたら羞恥で死ねるわ。
「お父様、お呼びでしょうか」
「ああ。座りなさい」
座るのか。長くなりそうね。
「昨日、殿下と何かあったのか」
「既に解決しております」
「君が殿下の私室で過ごしたと連絡があったが」
……はは。ぶっ殺す。
「そうですね。少々揉めましたが、このピアスを譲られて終わりました」
仕方なくピアスを付けた耳を見せる。
「それは……」
「殿下が手ずから付けてくださいました」
「では、ハンカチの破瓜の血は」
馬鹿なのっ!?破瓜の血を偽装しないでっ!
「ピアスホールを開けて下さった時のものでしょう」
「いや、確かに君の血だと反応が」
「私の耳からの血です。当然でしょう。なんなら処女検査を行いますか?それなら王家の息が掛かっていない女医を希望します」
よりによって破瓜の血を証明する精霊の布を使ったわね?花嫁の血か如何かを判断する道具だけど、どこからの出血かは分からないのよね。
そんな半端なものではなく、純潔かどうかが分かる道具があればいいのに。
「……いや、すまなかった。ただ、『君を傷つけてしまったが愛ゆえだ』というメッセージカードとこのハンカチが入っていたからてっきり」
「私はそんなにもふしだらな娘に思われていたのですね。残念です」
殿下め。まるで処女を奪ったかのようにメッセージを書いたわね?でも、明確な言葉は無いという腹立たしさ。
「そんな匂わせに騙されないで下さいませ」
「すまん。だが、多少早まったところで」
「絶対に嫌です。早める必要性を感じません。私はまだデビュタントを終えていない子供ですよ。殿下が変態だと思われます!」
本当に変態だけどっ!
「…そうか。いや、陛下も早く孫が見たいと言っておられたから」
「結婚前に孫が登場したら一大事ですわ」
ああ、味方がいない……。お父様には相談するだけ無駄ね。お母様も無理。あとは、
「兄様はそろそろ戻ってくるのですよね?」
「ん?ああ、来週には帰ってくる予定だ」
留学していた兄のスターリングは無事卒業した。
我が家で味方といえば兄だけだろう。早く帰って来て欲しい。
「ああ、午後に殿下がいらっしゃるから」
「……何の為に?」
「私はてっきり、その婚姻が早まるのかと「無いと言っていますでしょうっ!」
「分かってるっ!昨日は勘違いしていたというだけだ」
「……お父様?簡単にいらないお約束をしたら……覚悟しておいて下さいね」
「何をっ!?」
父は脇が甘いのだ。不安でしかない。
「あんなことやこんなことを世間にばら撒いてやる」
「それはどんなことだ!?」
「…私。知ってますから」
本当は知らない。でも、こうやってニッコリ笑えば大概怯えるものだと……殿下に教えられた技だ。使ってしまったことがちょっと悔しい。
♢♢♢
「ようこそお越し下さいました」
「突然の訪問を許して欲しい。アリアネルが心配だったんだ。昨日は……無理をさせてしまったから」
おい。頬を染めるとか器用だな?
「殿下の言うアリアネルとは私以外にもいるのでしょうか」
「まさか!君以外いるはずがないだろう?ああ、まだ痛むから怒っているのかい?その…優しくしたつもりだが、初めてだとどうしても痛みや血が…ね?」
凄いわ。ここまでそれっぽく演技が出来るなんて。
「はあ。初めて耳にピアスホールを開けたのですから、血は出るでしょう。ただ、針で穴を開けるのに優しさなんて関係ないかと思いますけど?」
「ハハッ、アリアネルは面白いね」
「殿下が何に対して笑われたのか理解出来ず申し訳ございません」
お父様。そこでオロオロしない!
「体が大丈夫なら少し散歩でもしよう」
したくない。だけど、断れば体に問題が…、もしや本当は?と疑われかねない。
「耳が痛くて歩けないなど言うはずがないでしょう。体は元気ですので何なら遠乗りでも行けますわよっ!」
「そうなのか。では、遠乗りに行こう」
「…………はい。いつか」
「今日は時間があるんだ。支度しておいで。待っているから」
やられたっ!私が誤解を解くために元気さをアピールすると分かってて、……悔しいっ!!
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