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玖
強制捜査2
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「きゃあああ!」
俺が中に転がり込むと、中年の女が悲鳴を上げていた。息子と思われる幼児が、女の足にしがみ付いている。
これが窃盗団? どう見ても違うよな。
ガツ! 何かにヘルメットを叩かれたようだ。窃盗団は背後か?
銃を手にして振り向く……え? 女の子?
高学生ぐらいの女の子が、竹刀を振り上げていた。
金氏家の女性が証言していた若い娘って、この女の子か?
女の子は、今にも泣きそうな顔でブルブルと震えている。
「こ……これ以上、食べ物を持っていかないで!」
食べ物? 何を言っているのだ?
「これ以上持っていかれたら、あたし達死んじゃいます」
なにか、勘違いしているようだが……
母親が俺のわきをすり抜け、女の子の前に立ちはだかった。
「お願いです。子供に手を出さないでください。残りの食べ物は、すべて上げます」
「お母さん。ダメよ! これ以上食べ物を持っていかれたら、あたし達何を食べて行けば……」
「お母さんが、身体を売るわ」
ガン! 俺は拳銃で壁を叩いて大きな音を立てた。
親子が驚いて、黙り込む。
「ちょっと、こっちの話を聞いてもらえませんか。私は泥棒ではありません。インターホンで伝えた通り、札幌政府より任命された保安官です。ここへは、事情を聞きに来ただけです」
「事情? いったい、何を聞きたいのです?」
「このシェルターの所有者は、初狩信夫氏という方。しかし、初狩氏は現在、奥さん子供と一緒に六本木のシェルターにいる。本来なら無人のはずのシェルターで暮らしているあなた達は、いったい何者ですか?」
俺が中に転がり込むと、中年の女が悲鳴を上げていた。息子と思われる幼児が、女の足にしがみ付いている。
これが窃盗団? どう見ても違うよな。
ガツ! 何かにヘルメットを叩かれたようだ。窃盗団は背後か?
銃を手にして振り向く……え? 女の子?
高学生ぐらいの女の子が、竹刀を振り上げていた。
金氏家の女性が証言していた若い娘って、この女の子か?
女の子は、今にも泣きそうな顔でブルブルと震えている。
「こ……これ以上、食べ物を持っていかないで!」
食べ物? 何を言っているのだ?
「これ以上持っていかれたら、あたし達死んじゃいます」
なにか、勘違いしているようだが……
母親が俺のわきをすり抜け、女の子の前に立ちはだかった。
「お願いです。子供に手を出さないでください。残りの食べ物は、すべて上げます」
「お母さん。ダメよ! これ以上食べ物を持っていかれたら、あたし達何を食べて行けば……」
「お母さんが、身体を売るわ」
ガン! 俺は拳銃で壁を叩いて大きな音を立てた。
親子が驚いて、黙り込む。
「ちょっと、こっちの話を聞いてもらえませんか。私は泥棒ではありません。インターホンで伝えた通り、札幌政府より任命された保安官です。ここへは、事情を聞きに来ただけです」
「事情? いったい、何を聞きたいのです?」
「このシェルターの所有者は、初狩信夫氏という方。しかし、初狩氏は現在、奥さん子供と一緒に六本木のシェルターにいる。本来なら無人のはずのシェルターで暮らしているあなた達は、いったい何者ですか?」
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