明日は明日の恋をする

春野いろ

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私の選んだ道

ストーリー38

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「いってらっしゃい」

 仕事に行く進藤さんを見送り、今日もいつもと変わらない一日が始まった。

 海への一泊旅行から戻った後も、私と進藤さんは何事もなかったかのように振る舞い、毎日を過ごしている。

 ただ私の脳裏から離れない、進藤さんが言った『これで最後だ』の意味。

 私なりに考えてみた。そして答えは一つしか思い浮かばなかった。

『結婚』

 進藤さんと美玲さんの結婚が決まったか……もしくは、何かしら進展があって私に構ってる状態ではなくなったか。

 きっとそうだ。私は大きなため息をついた。考え込むと目頭が熱くなってくる。

 泣くな、泣くな……私。

「よし、仕事だ。クリーニングに出してたスーツを取りに行こう」

 私は気を取り直して外に出る。クリーニング店に行く前に、ふと視界に入ったコンビニへ立ち寄った。そこである雑誌を手に取りパラパラっとめくる。

「良い仕事紹介しましょうか?お姉さん」

 雑誌をめくる私の後ろから聞き覚えのある声が話しかけてきた。私は手に持っていた雑誌……求人誌を慌てて元に戻し、後ろを振り向く。

「偶然だね、明日香ちゃん」

 やっぱり高瀬さんだ。まさかコンビニで会うなんて、本当に偶然って怖い。

「偶然……ですね。今日お仕事は?」

 私は引きつった笑顔で聞いた。

「俺は用があって外出してて、会社に戻る前に水分補給しようと思ってここでジュース買ってたら明日香ちゃんが入ってきたんだ」

 高瀬さん、先に店内にいたのか。全然気づかなかった。

「じゃあ取り敢えず、外で話そうか。何で求人誌を見てたのかも知りたいし」

 出た、ドSな笑顔。私は観念し、高瀬さんとコンビニの近くにある公園で話をした。

「今日も暑いね~」

 高瀬さんはネクタイを少し緩めて、手でパタパタと仰ぐ。2人で座っているベンチは木の影に隠れているが、それでもやっぱり汗が止まらない。

「それで、何で求人誌なんか見てたの? ケイスケと何かあった?」

 買ってきたジュースを一本取り出して私に渡してくる。私はそれを受け取り、質問に答えた。

「一泊旅行の後から、何だか進藤さんの様子がおかしい気がするんです。普段通りって言えば普段通りなんですけど、何か私との間に一枚壁を作ってるというか……」

「マジ? へぇ、もしかしてアイツ……」

 心当たりがあるのか高瀬さんはニィっと笑い、一人で納得したような顔をする。

「何か心当たりがあるんですか? やっぱり美玲さんとの結婚が決まったとか?」

「結婚? あぁ、だから明日香ちゃん求人誌なんか見てたんだ」

「だって結婚が決まったなら、私がハウスキーパーする必要ないじゃないですか。だから早く仕事と住むところを探さなきゃって思って」

「まぁ結婚の話はどこまで進んでいるか分からないけど、ケイスケも何か今疲れきってるからさ、時間がある時にゆっくり話し相手にでもなってあげて。じゃあ俺は仕事に戻るわ」

 高瀬さんはそう言うとベンチから立ち上がり、少し歩いてまた立ち止まる。

「またデートしようね」

 振り返ったかと思ったら笑顔で投げキッスをして、手を振りながら公園を後にした。

「相変わらずだな、高瀬さんは」

 高瀬さんから少し元気を貰った気がする。私はジュースを飲みながら青く澄み渡った空を眺めた。
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