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レミリア
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目が覚める。
苦しい、胸が痛いし、息も、荒くなってる。
この国に来て20年、あっという間だった。
私はもう、あまり長く無いだろう。
病に気付いたのは、1年前、食欲が落ち、胃の痛みを感じるようになり、ある日、血を吐いた。
医者に診てもらった時は、もう手遅れだった。
今迄、色々な事があった。
悲しい事も、嬉しい事も。
今、こうして穏やかな気持ちで、最後の時を迎える事が出来るのは、ノアール様のおかげだ。
私の大切な夫。
彼が、支えてくれたから、私はここまで頑張る事が出来た。
絶望の底に落ちた私を引き上げてくれた。
私に子供達という幸せをくれた。
彼には、どんなに感謝しても、足りない。
いつまでも、レオの事を忘れない私を、レオを愛して、胸の中にずっと抱きしめている私を、まるごと包み込み、抱きしめて、愛してくれた。
そんな彼を、私もいつの間にか、愛していた。
彼の愛は、大きくて、深い。
その心地よさにいつの間にか、私の心も解かされていた。
最後に私の今の気持ちを、ノアール様に伝えたい。
もう、寝台から起き上がる事も出来ない。
最後の時が、近付いている。
「ノアール様、今迄ごめんなさい。」
彼の手を取り、手を繋ぐ。
「何を謝る事がある?お前は王妃として、私の妻として、夫である私を支えてくれた。それで、十分だ。」
そう言って、私の乱れた前髪を整えてくれる。
「いつまでも、レオの事を 忘れられなくて ごめんなさい…」
「死んで、勝ち逃げした者には敵わないさ。今、お前の側にいて、お前を抱きしめる事が出来るのは私だけだ。それだけで、十分 満たされている。」
彼が、私の手にキスをしてくれる。
「私を 絶望から 救って くれて ありがとう…」
声が途切れる。
「私は、お前の夫だ。お前を救うのは当たり前だろう。」
彼の瞳を見つめる。
「幸せに…してくれて ありがとう… 」
息が苦しい。
「3人も子を設けてくれたのだ。私の方が、ずっと幸せだったさ。」
彼の手に力が入る。
「私だけを…愛し て くれて、ありが…とう…」
目が霞む。
「婚姻の時、誓っただろう。私は嘘は言わない。」
彼の瞳が揺れている。
「この世で…いちば ん…あなたを…あい している…」
力が抜ける。
「ならば、もう少し、この世に留まってくれないか。」
·········
「ノア…ル… ありが… う あいし て る… 」
「レミリア…まだ早い…レミリア…レミリア…」
繋いでいた彼女の手から、ゆっくりと力が抜けてゆく。
やがて、彼女は、動かなくなった。
ノアールは最後に、彼女の額に、頬に、そして、唇に、名残を惜しむように、丁寧に1つずつキスをした。
そして「愛してる」
そう言って、彼女を抱きしめた。
苦しい、胸が痛いし、息も、荒くなってる。
この国に来て20年、あっという間だった。
私はもう、あまり長く無いだろう。
病に気付いたのは、1年前、食欲が落ち、胃の痛みを感じるようになり、ある日、血を吐いた。
医者に診てもらった時は、もう手遅れだった。
今迄、色々な事があった。
悲しい事も、嬉しい事も。
今、こうして穏やかな気持ちで、最後の時を迎える事が出来るのは、ノアール様のおかげだ。
私の大切な夫。
彼が、支えてくれたから、私はここまで頑張る事が出来た。
絶望の底に落ちた私を引き上げてくれた。
私に子供達という幸せをくれた。
彼には、どんなに感謝しても、足りない。
いつまでも、レオの事を忘れない私を、レオを愛して、胸の中にずっと抱きしめている私を、まるごと包み込み、抱きしめて、愛してくれた。
そんな彼を、私もいつの間にか、愛していた。
彼の愛は、大きくて、深い。
その心地よさにいつの間にか、私の心も解かされていた。
最後に私の今の気持ちを、ノアール様に伝えたい。
もう、寝台から起き上がる事も出来ない。
最後の時が、近付いている。
「ノアール様、今迄ごめんなさい。」
彼の手を取り、手を繋ぐ。
「何を謝る事がある?お前は王妃として、私の妻として、夫である私を支えてくれた。それで、十分だ。」
そう言って、私の乱れた前髪を整えてくれる。
「いつまでも、レオの事を 忘れられなくて ごめんなさい…」
「死んで、勝ち逃げした者には敵わないさ。今、お前の側にいて、お前を抱きしめる事が出来るのは私だけだ。それだけで、十分 満たされている。」
彼が、私の手にキスをしてくれる。
「私を 絶望から 救って くれて ありがとう…」
声が途切れる。
「私は、お前の夫だ。お前を救うのは当たり前だろう。」
彼の瞳を見つめる。
「幸せに…してくれて ありがとう… 」
息が苦しい。
「3人も子を設けてくれたのだ。私の方が、ずっと幸せだったさ。」
彼の手に力が入る。
「私だけを…愛し て くれて、ありが…とう…」
目が霞む。
「婚姻の時、誓っただろう。私は嘘は言わない。」
彼の瞳が揺れている。
「この世で…いちば ん…あなたを…あい している…」
力が抜ける。
「ならば、もう少し、この世に留まってくれないか。」
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「ノア…ル… ありが… う あいし て る… 」
「レミリア…まだ早い…レミリア…レミリア…」
繋いでいた彼女の手から、ゆっくりと力が抜けてゆく。
やがて、彼女は、動かなくなった。
ノアールは最後に、彼女の額に、頬に、そして、唇に、名残を惜しむように、丁寧に1つずつキスをした。
そして「愛してる」
そう言って、彼女を抱きしめた。
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