19 / 108
第六十三章 時のつながり
鍵の守護者キャンプ
しおりを挟む「あるじ殿、どこでキャンプするのか?ここは寒い、早くふもとまで降りよう」
「下着が蒸れますものね、早くおりましょう」
「でも寵妃ともなれば、貞操帯をいつもしているはず、あれでも蒸れるでしょうに?」
「寵妃の貞操帯は装身具、百合の会議など必ず必要ですが、女官の貞操帯とは別物です」
そんな話をしながら峠を下り、ふもとまで降りると日が暮れてきました。
「なんとか野営できるところまでたどり着きました」
「テントを設営して、夕食の準備でもしましょう」
ファミリー用のワンタッチテント、三組のシングルのエアベッドは足踏み式のポンプ内臓のもので、インナーシーツと寝袋も当然必要です。
「ツインはだめよ、揉める元でしょう」
「……」
テントの設営が終わり、夕食準備、まぁ私がしましょう。
あまりおいしいものを、作れないでしょうから。
電動ウッドストーブと、ファイヤースターターと木質ペレット、そしてクッカーをだして、まずはお湯を沸かします。
「なにかご希望はある?」
「最初の夜はココアとチョコレートと袋菓子でしたね」
「サリーさん、最初の食事を覚えているのですね」
「当然です、でもあの時はお菓子ばかりで、食事と呼べるものはなかったですね」
「私も緊張していたのですよ、目の前にものすごく綺麗な女性がいるのですから」
ウホン!
「私もいるのだがな、あてつけられるのは寂しいな」
「ビクトリアさん、そんなに妬かないの」
「そういえばアルジャの居酒屋、『ご機嫌な天使』のお客様感謝の日で、ビクトリアさんの希望で、お菓子をを作った記憶がありますね」
「ここではメイプルロールケーキは無理ですが、なにかお菓子でも作りましょうか」
「デザートにお願いする、私は一度、あるじ殿が女官長の方々と一緒に、キャンプファイヤーで出された料理を食べたい」
ビクトリアさん、昔のことを覚えているのですね。
「私もそれを希望します、あの時は、私たちは呼ばれなかったのですから」
「でもサリーさん、後でダフネさんたちに怒られますよ」
「そうですね、今夜だけ限定で、皆を呼びましょう!」
「それはいい、エッチはなしとしても、たまには私たちだけであるじ殿とキャンプ!賛成だ」
で二人はあちこちにオルゴール通信を……
でもさすがに遠方の方は難しく、三日後にガルダ村の手前の忘れられた教会の野営地で、正午に集合、翌日正午の解散となったのです。
「でもあの野営地は、人がいっぱいではありませんか?」
「いまはシーズンオフ、それに巡礼山道を行くもののなど、ほとんどいません」
「神聖教の神官だけですよ、夜営などするのは」
「ガルダ村からは、あるじ殿だけが行くのだろう、私たちはガルダで待つのだから、増えてもいいではないか」
「臨時グランドツァーなのだから、『鍵の守護者キャンプ』開催ももっともだと皆思う」
肩をすくめるしかないようですね。
三日後の『鍵の守護者キャンプ』は、なかなか盛大に行われました。
一応内緒なので皆、神官見習服、18歳指定らしいので、ピチピチギャルばかり、十二名ですね。
カレー風味のブイヤベース、ミックスベジタブルと刻みハムのマヨネーズ和え、スパムステーキ、ポテトチップ添え、パンは食べ放題、乾パンですけどね。
で最後に、あの時、姉が無茶をいって作らされたオムライス、デザートとのプリン三種。
あとはココアやチョコレート、スナック菓子の類ですが、ここでビクトリアさんのために、手作りのお菓子を作らなくてはなりません。
オムライスは、ダッジオーブンを三つ出して、食事の途中から作り始めています。
チーズケーキとフルーツケーキ、三十分ぐらいかかりますからね。
最後にね、メイプルケーキ、ロールケーキは難しいのですが、丸いパウンドケーキみたいなものですが、味は一押ししますよ。
アンリエッタさんが、
「あの時よりおいしいように感じますね、それに最後の三種のケーキは絶品です、あれの作り方を教えてください」
などと、いってくれます。
嬉しいですね、でも腹の立つことを吐くやからもいますよ。
「マスター、アリス足らない!」
「アナーヒター、もっとガツとした物を所望です」
「アリス、鉄板を出しなさい、材料もね、チケットはアナーヒターに請求ね、いっぱいたまっているのだから!」
「姉上様、いいのですか?」
「私が許します!お酒もどんどんだして、アナーヒターのつけでね♪」
「皆さん、通販カタログで、好きなものを出したら良いそうよ、アナーヒターがおごってくれるって!」
高い酒類をどしどしと……チケットが……ためていたのに……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる